41.「矢に学ぶ」①矢を分ける
今回からは、
私が教わった「矢に学ぶ」という考え方について、紹介していきたいと思います。
「矢に学ぶ」
①矢を分ける(今回)
②矢筋にのせる(次回以降)
③矢押し
④矢引き
⑤矢の離れ口
⑥矢妻をとる
⑦矢になる
昔の考え方なので、今では違和感があるところもありますが、原文のまま紹介したいと思います。
「矢に学ぶ」(原文)
S59.10.25
①矢を分ける
- 今までは押手で弓を押し、勝手で弦を引き、如何にうまく相分けするかを稽古してきましたが、今度は矢を左右に均等に分けて行く感覚をつかむ稽古をしてみたいと思います。これを「矢釣り合い」と申します。
- 矢は弓構えで「矢番え」したときが出発点で、垂直に打揚げ、水平に開いて大三に到り、大三では矢の均衡を左右の肘でよく確かめて矢を分けはじめることになります。
- 大三からは矢を水平に水平にと心掛け、左右均等に分けながら会に入ります。これは平凡なことのように思いますが、一度左右の均衡が破れたら修正できません。だから、左右の腕力だけで分けるやり方を止めて、息(吐息)で分けるよう奨めています。
ポイントは、以下のようです。
①左右均等に引き分ける
身体を中心に均等に引き分けることで、押しと引きのバランスを保って、会の詰め合いに入る。引き分けが持つ重要な役割を説明しています。
②大三では矢の均衡は、左右の肘で確かめる
大三からは左右の腕の形は非対称なので、両肘でないと、身体を中心とした均衡を確かめる方法が無いわけです。
③息(吐息)に合わせて引き分ける
息=丹田呼吸(横隔膜を使った呼吸)に合わせて動作を行うことで、一射一射の流れ(リズム)を創ります。試合や審査でいつもどおりに引くようにするには、呼吸に合わせた動作を身につけることが不可欠なのです。
一射の中での呼吸の方法は、流派や人によって違います。自分の納得のいく方法で行うことで良いと思います。私が習ったの方法は以下になります。
打起こし・・ゆっくりと吸いながら打ち起こす。(矢が空に上るイメージで)
↓ ゆっくりと吐きながら大三に移る。(両肘の均衡を意識する)
大三・・・・大きく息を吸う(呼吸と同時に胸を弓の中に割り込ませる感覚)
↓ 少しずつ息を吐きながら引き分ける(吐く息に合わせて引き分ける)
会・・・・・残った息(20%程度)を丹田に下ろし続ける。
(横隔膜を押し下げる、重い荷物を両手で持ち上げる時と同様です)
打起こしから残身までの丹田呼吸のイメージ
最近では、鬼滅の刃での全集中の呼吸と言えば、息に合わせて弓を引くことの大切さが伝わるのでしょうか・・・。
<まとめ>
引き分けにおいても、矢の均衡に注目することで、正常な状態からのバランスの崩れによって、何が違うのかに気づくことができます。正常な状態を練習によって身につけること、それには、息(丹田呼吸)に合わせて弓を引くことが大切なのです。
次回は、「矢に学ぶ」②矢筋にのせる を予定します。
的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。
もくじ
37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある