藤井七冠応援ブログ

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藤井七冠の対局速報などを発信しています。

※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。

 

将棋検討ソフト「スーパー水蓮」

 雲母は、取材を受けるために会館の応接室にいた。隣には、師匠でもある中根会長が座っていた。
「雲母君、今日の取材はTBC放送だよ。」
「えっ、テレビ局なんですか!」
「うん、放送局の社長が将棋の大フアンでね。連盟もお世話になっているんだよ。名人戦の スポンサーでもあるんだ。そういうことで、断れなくてねえ。すまん、付き合ってくれよ。」

「そうでしたか。承知しました。」
程なくして、ドアがノックされて、会館の職員が入ってきた。
「中根会長、テレビ局の方々がお見えになりました。」
「そうですか。お通してください。」
すると、テレビ局の放送ディレクターの田中が入ってきた。
「中根会長、お久しぶりでございます。」
「やあ、田中さん、久しぶりですねえ。お元気そうで何よりです。」
「今回は、無理なお願いをお受けいただき、ありがとうございます。」
「雲母先生、TBC放送の田中でございます。ご多忙の中、取材をお受けいただきありがとうございます。本日は、どうぞよろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。一つお願いが・・・」
「何でございましょうか。」
「その『先生』という呼び方は・・・普通に『さん』でお願いします。」
「いや~、中根会長どうしたものでしょうか。」
「ははは、雲母君の望み通りで頼みますよ。」
「承知いたしました。それでは、失礼だと思いますが、『さん』で進めさせていただきます。これから、撮影のセットを組みますので、少しお時間をいただきます。」
 すると、撮影スタッフがぞろぞろと入ってきて、セッティングを始めた。背景やら何やらで、応接室はあっという間にスタジオへと変わってしまった。雲母は、これからどういう形の取材となるのか、やや不安な気持ちになったのだった。

 

 

 

【これまでの主な登場人物】

雲母 岳
35歳独身
ランキング外棋士四段
ランキング外所属10年目で引退が迫る





 
町田 凛子
30歳独身
女流棋士
雲母とは、錬成会の同期
雲母のランキング昇格を心から願う存在
居酒屋「凜」の女将


 
臥龍岡 拓磨
名人位、龍将位、十段位の三つを保持している棋界の第一人者
雲母とは錬成会の同期






 
水原 連
元錬成会三段
東都大学の准教授
将棋AIソフト「水蓮」の作者
雲母の後輩






 

中根 誠
将棋連合会会長
第20世名人
雲母の師匠






 

 

 

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 レースのカーテンからこぼれる微かな光に促され、雲母はゆっくりと体を起こした。昨夜の記憶が蘇り、部屋を見渡した。しかし、そこには凛子の姿はなかった。テーブルの上に、置き手紙があった。
(岳ちゃん、おはよう。よく眠れたかしら。昨夜は、膝枕をした途端に寝落ちしたのよ。よ ほど疲れていたのね。でも、とても嬉しかった。岳ちゃんがこの手紙を読んでいる頃は、 私は飛行機の中だと思うわ。仕事で北海道へ。鍵は、ポストの中に入れておいてね。じゃ あ、またねえ。)手紙を読んだ雲母は、頭をかきながら呟いた。
「いやあ、まいったなあ。完全に意識が飛んでしまった。凜ちゃんに悪いことしたなあ。しかし、相変わらずの忙しさだなあ。」
雲母は、飛行機の中にいるであろう凛子にメールした。
(凜ちゃん、おはよう。昨夜はごめんね。途中から意識が飛んでしまったよ。)
(岳ちゃん、おはよう。どういたしまして。よく眠れたかしら。)
(うん、凜ちゃんの膝枕で最高の睡眠だったよ。)
(それはよかった。今日は、会館に行くの?)
(そう、いろいろと手続きもあるみたいだし、中根先生との話もあるんだよ。)
(じゃあ、今日もお互いがんばりましょ!じゃあ、またね!)
(うん、またね!)

 

 メールのやり取りが終わると、雲母は将棋会館へと向かった。到着すると同時に、会館の職員が声をかけてきた。
「雲母先生、おはようございます。実は、テレビ局からの取材の申し込みが来ているのです
が。中根会長にもお話を通していますので、会長とお話くださいますか。」
「取材ですか。分かりました。会長と今日会う約束がありますので、その時に。」
「ありがとうございます。では、よろしくお願いします。」

 取材と聞いた雲母は、自分の昇級のことだろうと思った。同時に、取材を受けるほど注目されていたことに驚いた。その後、中根会長と打ち合わせを行い、取材対応についても連盟が全面的にバックアップしてくれることになった。
 雲母の新しい棋士人生の始まりを告げるかのような出来事であった。そして、これから始まる奇想天外な棋士人生の幕開けでもあった。

 

 

 

【これまでの主な登場人物】

雲母 岳
35歳独身
ランキング外棋士四段
ランキング外所属10年目で引退が迫る





 
町田 凛子
30歳独身
女流棋士
雲母とは、錬成会の同期
雲母のランキング昇格を心から願う存在
居酒屋「凜」の女将


 
臥龍岡 拓磨
名人位、龍将位、十段位の三つを保持している棋界の第一人者
雲母とは錬成会の同期






 
水原 連
元錬成会三段
東都大学の准教授
将棋AIソフト「水蓮」の作者
雲母の後輩






 

中根 誠
将棋連合会会長
第20世名人
雲母の師匠






 

 

 

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長いキスだった。二人の思いを確かめるための時間でもあった。唇が離れた時、凛子が言った。
「さあ、飲み直しましょ。岳ちゃん。」
「うん。飲もう。」
「どう、このウイスキーの味は?」
「うーん。凄くいいねえ。最高だよ。何という銘柄かな?」
「これは、マッカラン。素敵な味でしょ?」
「うん。凄く美味いねえ。」
「今日のために用意してたのよ。」
「そうかあ。ありがとう。」
「疲れたでしょ。今日は朝から大変だったから。」
「うん、疲れた。でも、こうして二人でいると疲れが吹き飛ぶよ。凜ちゃんは、僕の天使だよ。ありがとう。」
「私も嬉しい。あなたと二人でこうしていると・・・」
「凜ちゃん、膝を貸してくれる?」
「どうぞ。お安いご用よ。」
雲母は、凛子の膝に頭を置いた。そして呟いた。
「最高の気分だなあ。」
「そう、嬉しいわ。ねえ、岳ちゃん・・・。」
そう語りかけた凛子は、雲母の顔をのぞき込んだ。そこには、寝落ちした雲母の安堵に溢れた顔があった。
「まあ、寝ちゃった・・・」
凛子は、雲母の寝顔を見ながら呟いた。
「岳ちゃん、お疲れ様。よく頑張りました。ゆっくり休んでね。」
二人の特別の時間がゆっくりと過ぎていった。

 

 

 

【これまでの主な登場人物】

雲母 岳
35歳独身
ランキング外棋士四段
ランキング外所属10年目で引退が迫る





 
町田 凛子
30歳独身
女流棋士
雲母とは、錬成会の同期
雲母のランキング昇格を心から願う存在
居酒屋「凜」の女将


 
臥龍岡 拓磨
名人位、龍将位、十段位の三つを保持している棋界の第一人者
雲母とは錬成会の同期






 
水原 連
元錬成会三段
東都大学の准教授
将棋AIソフト「水蓮」の作者
雲母の後輩






 

中根 誠
将棋連合会会長
第20世名人
雲母の師匠






 

 

 

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