第33期銀河戦:藤井六冠 vs 永瀬九段!伝説の一戦を振り返る
将棋界の頂点を争う棋士たちの熱戦は、常にファンを魅了してやみません。とりわけ、藤井聡太六冠と永瀬拓矢九段の対局となれば、その一挙手一投足に将棋ファンの視線が集中するのは当然の摂理と言えます。 2025年12月23日に放送された第33期銀河戦決勝トーナメント準決勝は、まさにそんな期待に応える激戦でした。 実際の対局は同年10月9日に行われていましたが、その放送を心待ちにしていたファンも少なくないはずでした。本稿では、この記憶に残る一局の全貌を、多角的な視点から振り返ります。
決勝の舞台へ!藤井六冠、盤石の勝ち上がり!
本準決勝において、藤井聡太六冠は永瀬拓矢九段を見事に退け、銀河戦では2年連続となる決勝進出を果たしました。現在の藤井六冠は、竜王、名人、王位、棋聖、棋王、王将の六つのタイトルを保持しており、「藤井六冠」の呼称は、その圧倒的な実力を端的に示すものです。 この盤石な勝ち上がりは、その強さが単なる偶然ではなく、綿密な研究と卓越した実力に裏打ちされたものであることを如実に物語っています。
そして、来る決勝戦では、これまた将棋界のトップランナーである豊島将之九段との対決が決定しています。この両者の対局は、常に将棋史に残る名勝負となる傾向があり、12月30日の放送が今から待ち遠しいですね。
まさかの展開と藤井流の「神業」!
戦型は「角換わり相腰掛銀」という本格的な力戦となり、先手番の永瀬九段は堅固な「穴熊」囲いを志向した一方、後手番の藤井六冠は攻めを重視した「右玉」で真っ向勝負を挑みました。序盤から両者の駒組みは超ハイスピードで進行し、早指し戦ならではのテンポの速さが際立っていました。
特筆すべきは、中盤において藤井六冠が見せた「え、マジで!?」と解説陣をも驚かせた強手である。それは、角銀交換という駒損をあえて許容する大胆な作戦であった。この局面において、AIの評価値は互角付近を示していたものの、藤井六冠には持ち時間がたっぷり残されており、この時間的優位が、この「駒損」という一見すると不利に見える選択を許容する根拠となった可能性が指摘される。まさに、常識を覆す藤井流の指し回しと言えよう。
図は、76手目、先手の75歩に同角とした局面
しかし、永瀬九段の粘りもまた凄まじかったです。藤井六冠が一時的にわずかなミスを犯し、評価値が再び互角に戻る場面もありました。永瀬九段は穴熊の堅陣を最大限に活かし、粘り強く応戦しました。それでも、最終的に盤上を制したのは、やはり藤井六冠でした。永瀬九段が残り時間を使い果たし、時間切れに近づくにつれて、藤井六冠の指し手は再び精度を増し、そのまま快勝を収めました。なんと150手にも及ぶ長丁場の対局であったにもかかわらず、藤井六冠は終局時に考慮時間を3回も残していたという事実は、その並外れた読みの速さと正確性を雄弁に物語っている。解説を務めた増田康宏八段も「指し手が早かった。時間の差が出た」とコメントし、藤井六冠の完璧な差し回しを大絶賛しました。
図は、136手目、88銀とした局面。21手詰み。
藤井六冠の強さの秘密?
今回の対局を通じて、改めて藤井六冠の驚異的な強さが浮き彫りになりました。その核心は、「早指しなのに正確」という、通常では両立が困難とされる二つの要素を極めて高いレベルで実現している点にあります。短時間での深い読みと、それを支える終盤力は、将棋界の常識を覆すものと言えるでしょう。
この一局における勝利の鍵は、大胆不敵な駒損構想と、その背後にある圧倒的な時間管理の上手さにありました。AIが示す評価値が互角であっても、自身の残り時間と相手の残り時間を総合的に考慮し、最も勝利に近づく選択をする。これは、単なる計算力だけでなく、盤面全体の流れを読み解く洞察力と、精神的な強さがなければ成し得ない離れ業であると言えます。
ちなみに、この一局で永瀬九段との対戦成績は藤井六冠の30勝11敗となり、その絶対的な優位性が改めて示された形となりました。
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