将棋小説「背徳の棋譜」プロローグ⑥ | 藤井七冠応援ブログ

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「話は変わるけれど、岳ちゃん、あと何勝で上がれるの?」
凛子は一番気になっていることをストレートに聞いた。雲母は、とびきり明るい声で言った。
「あと三勝だよ。正確に言えば、三連勝しかない。」
「人ごとのように明るい声ねえ。まあ、それが岳ちゃんの持ち味でもあるけれど。でも、厳しいわねえ。」
「うん。正直言って、無茶苦茶厳しいよ。相手は、七段・八段の大先輩たちばかり。気が重たいよ。」
「岳ちゃん、上がったら、とびっきりのプレゼントをするわ。とにかく耐え抜いて。」
凛子は、心の底から雲母が上がることを願っていた。雲母も、凛子の気持ちは痛いほどに理解していた。
「とびっきりのプレゼント!何かなあ。ワクワクしてきたよ。」
「ひ・み・つ!」
凛子は、敢えて茶目っ気たっぷりに言った。
雲母は、敢えて、明るく振る舞う凛子の気遣いを、心の底からありがたいと感じた。同時に、何が何でも這い上がらねばと、自らを鼓舞するのだった。

 

 

【これまでの登場人物】

 

雲母 岳
35歳独身
ランキング外棋士四段
ランキング外所属10年目で引退が迫る





 
町田 凛子
30歳独身
女流棋士
雲母とは、錬成会の同期
雲母のランキング昇格を心から願う存在
居酒屋「凜」の女将


 
臥龍岡 拓磨
名人位、龍将位、十段位の三つを保持している棋界の第一人者
雲母とは錬成会の同期






 

 

将棋小説「背徳の棋譜」バックナンバー

プロローグ⑤

プロローグ④

プロローグ③

プロローグ②

プロローグ①

 

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