将棋小説「背徳の棋譜」人生を賭けた三番勝負⑧ | 藤井七冠応援ブログ

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※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。

 

  水原はこの一件後、将棋が指せなくなった。水原は、親しい先輩の雲母に、やるせない気持ちを吐き出すかのように話した。
「雲母先輩、僕は、もう将棋を指せません。こんな状況で、錬成会にいても、苦しいだけで す。」
「水原君、気持ちは分かるよ。少し、休養してはどうかな。幹事会に休会届を出してみては どうだろう。」
「私もそれは考えました。しかし、精神的に持たない気がして・・・。」
「そうかあ。もったいない なあ。君のようは逸材が・・・。」
「雲母先輩、ありがとございます。そう言ってくださるだけで・・・。」
「決心は固いようだなあ・・・。」
「はい、大学で研究に打ち込もうと思います。」

 雲母は、久しぶりの再会を楽しみながらも、十年前の出来事が頭を何度も過る。すると、水原が言った。
「雲母先輩、何を考えているのですか?」
「いや、あのことがねえ・・・。」
「先輩、過ぎたことは忘れましょう。こうして久しぶりに楽しい時間をいただいています。」「そうだなあ。すまん。よし、今宵は飲むぞ~。」
「はい、飲み明かしましょう!」
三人は大いにはしゃぎ、再会を楽しむのだった。そして、雲母は、この再会が彼の将棋人生を大きく変えていくなど、知るよしもないことであった。

 

 

 

 

【これまでの主な登場人物】

 

雲母 岳
35歳独身
ランキング外棋士四段
ランキング外所属10年目で引退が迫る





 
町田 凛子
30歳独身
女流棋士
雲母とは、錬成会の同期
雲母のランキング昇格を心から願う存在
居酒屋「凜」の女将


 
臥龍岡 拓磨
名人位、龍将位、十段位の三つを保持している棋界の第一人者
雲母とは錬成会の同期






 
水原 連
元錬成会三段
東都大学の准教授
将棋AIソフト「水蓮」の作者
雲母の後輩






 

 

 

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