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22.面会交流権に法的な権利はあるのか?――親に会えない40〜50代のあなたへ

 

1. はじめに:会えない時間が心を蝕む

 

「元気にしているだろうか」

「何を食べているのだろう」

「私のことを忘れてしまったのでは…」。
 

大人になってから、しかも40代・50代という年齢になって、実の親と会うことができない――。この現実は、多くの人にとって想像以上に深い心の痛みを伴います。

親が高齢であればあるほど、「もしかしたら、これが最後のチャンスかもしれない」という焦りが募ります。
 

しかし現実には、きょうだいの一人や親の配偶者、親の施設関係者などが“会わせない”状況を作ってしまうことがあります。こうしたケースは「高齢親の囲い込み」と呼ばれ、近年社会問題化しつつあります。

 

ここで気になるのが「面会交流権」という言葉。
果たして、親に会う権利は法律で守られているのでしょうか。

 
 

 

2. 面会交流権は誰のための権利か

 

法律上、「面会交流権」という用語が明確に定義されているのは、主に離婚後の親と未成年の子どもの関係においてです。
 

民法766条では、離婚時に「子どもと離れて暮らす親が、子どもと会ったり交流したりする権利」が定められています。

つまり、一般的な法体系では「面会交流権=未成年の子どものための権利」とされ、大人の子どもと親の間で直接適用される規定はありません。

 

このため、40代・50代のあなたが「法律に面会交流権があるから、会わせろ」と主張しても、そのままでは法的根拠にはなりにくいのです。

 

 

3. 高齢親との面会は「法的権利」として認められるのか

 

現行法では、大人の子どもが高齢の親に会う権利について、明文での規定はありません。
しかし、いくつかの法制度や判例の中で、間接的に認められる余地があります。

 

(1) 成年後見制度との関係

 

親が認知症や判断能力の低下により、成年後見制度の対象になっている場合、後見人が財産管理や身上監護を行います。
このとき後見人が面会を制限することがありますが、家庭裁判所に申立てを行い、面会制限の是非を判断してもらうことが可能です。

 

(2) 施設入所中の面会

 

親が介護施設や病院に入っている場合、施設は感染症対策や本人の体調を理由に面会制限をすることがあります。
ただし、これは原則として「本人の利益」のためであり、他の親族の意向による恒常的な遮断は、本来の施設運営方針に反します。
施設への文書照会や、行政(市区町村の高齢者福祉課など)への相談が有効な場合があります。

 

(3) 憲法上の権利

 

日本国憲法13条(個人の尊重、幸福追求権)や14条(法の下の平等)を根拠に、「家族としての交流は人間の基本的権利である」と主張することも理論的には可能です。
ただし、裁判での立証や具体的な命令にはハードルが高く、弁護士による戦略が必要です。

 

 

 

4. なぜ「法的権利」として争うのが難しいのか

 

現行制度の課題は、「親子間の交流」が未成年を想定しており、高齢親と成人子の交流は制度の想定外になっていることです。
また、民事的な争いに発展すると、証拠(面会拒否の経緯や親の意思など)の収集が難しいという現実もあります。

さらに、親が明確に「会いたくない」と意思表示している場合、本人の自己決定権が優先されるため、外部からの介入は一層難しくなります。
 

このため、「法的権利」だけで戦うよりも、複数のアプローチを組み合わせた方が現実的です。

 

 

5. 取れる可能性のあるアプローチ

 

40〜50代で親に会えない状況から抜け出すには、法律・制度・心理の3つの視点から行動するのが有効です。

 

(1) 法律面

  • 成年後見人や保佐人が関与している場合は、家庭裁判所への申立て
  • 弁護士を通じた内容証明郵便での面会要請
  • 面会制限の正当性に関する行政への相談(地域包括支援センター、福祉課など)

 

(2) 制度面

  • 介護施設の運営規程・面会方針を確認
  • 行政や第三者機関(介護相談センター、人権擁護委員)による介入依頼
  • 成年後見制度の利用状況や後見人の業務報告の閲覧請求

 

(3) 心理面

  • 面会の目的を「本人の安否確認と安心感の提供」と明確化
  • 感情的対立を避け、記録に残る形で冷静な交渉を続ける
  • 会える日を少しでも増やすための“小さな成功”を積み上げる
 
 

 

6. 感情と現実のバランスを取る

 

会えない日々が続くと、怒り・悲しみ・焦りが渦巻きます。
しかし、感情だけで動くと、相手側は「やはり会わせない方がいい」と判断し、状況が悪化しかねません。

 

ここで必要なのは、

  1. 自分の感情をしっかり受け止める
  2. 行動計画を事実と記録に基づいて立てる
    という二段構えです。

具体的には、日記や時系列記録を作り、いつ・誰が・どんな理由で面会を拒否したのかを整理しておきましょう。これは後に法的措置を取る際にも重要な証拠となります。

 

 

7. 「会うこと」がゴールではない

 

面会交流の目的は「会うこと」だけではありません。
親の生活環境や健康状態を把握し、必要ならサポートすることも大切です。

 

また、短時間の面会でも、写真や動画を残すことで記録になり、将来的に「自分ができることをやった」という心の支えになります。
ゴールを「親と再び安全で安心な関係を築くこと」と定めると、焦りや無力感が少し和らぎます。

 

 

 

8. 今後の社会への期待

 

高齢化社会が進む中、成人した子どもと親の面会交流に関する法整備は急務です。
欧米の一部では、家族間の面会拒否に関して裁判所が調停や命令を行う制度があります。日本でもこうした仕組みが導入されれば、親子の断絶を防ぐ大きな助けになるでしょう。

 

 

9. まとめ

 

  • 面会交流権は原則として未成年の子どものための権利
  • 高齢親と成人子の交流は明文規定がなく、直接的な法的権利としては弱い
  • しかし、成年後見制度や施設規程、行政介入などを通じて面会の可能性を広げられる
  • 感情的衝突を避け、事実と記録に基づく冷静な交渉が鍵
  • 社会全体での制度整備が望まれる

親に会えないことは、心の奥深くに重い影を落とします。
 

しかし、あなたが今日から一歩を踏み出すことで、その影を少しずつ薄くすることは可能です。
法的権利の限界を知った上で、できる行動を積み重ねる――その努力は、必ず未来の自分の支えとなります。

 

 

 

 

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21.成年後見制度と囲い込みの関係 ― 親に会えないとき、何が起きているのか ―

 

1. 「囲い込み」とは何か

 

親の介護や生活支援をしているきょうだいの一人が、他のきょうだいに対して「会わせない」「連絡を取らせない」状態を作ってしまうことがあります。

これを便宜的に「囲い込み」と呼びます。

 

囲い込みは、必ずしも悪意だけで起きるとは限りません。
親を守りたい気持ちや、介護の負担からくる苛立ち、不信感などが背景にあることもあります。
 

しかし、会わせない状態が長く続けば、親子の絆が断たれ、本人(親)や他の家族に深い心の傷を残すことになります。

 

そして近年、この「囲い込み」が成年後見制度と絡んでより複雑化するケースが増えています。

 

 

 

2. 成年後見制度とは

 

成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が十分でない方の財産や権利を守るための制度です。
 

大きく分けて2種類あります。

  1. 法定後見制度
    判断能力がすでに低下している場合に、家庭裁判所が後見人を選任します。
    後見人は財産管理や契約の代理、必要に応じて身上監護(施設入所の手続きなど)を行います。
  2. 任意後見制度
    判断能力があるうちに、自分が信頼できる人を「将来の後見人」として契約しておく仕組みです。

 

一見すると、とても安心できる制度です。

しかし現実には、この後見制度が“囲い込み”の道具として利用されてしまうこともあります。

 

 

 

3. 囲い込みと成年後見制度のつながり

 

囲い込みが起きる背景には、「情報と権限の集中」があります。
後見人になった人は、財産管理のほか、居住や施設入所に関する重要な決定権を持ちます。
 

これがもし、他の家族との関係が悪化している人に集中してしまうと、次のような事態が起きやすくなります。

  • 他のきょうだいに親の住所や施設名を教えない
  • 面会の日時や方法を一方的に制限する
  • 親の電話や手紙のやり取りを制限する
  • 親が「会いたい」と言っても、第三者の立ち会いや条件をつける

こうした行為は、成年後見制度そのものが目的ではなくても、結果的に親を孤立させる「囲い込み」になります。

 

 

4. なぜ裁判所は止められないのか

 

「家庭裁判所が監督しているのだから、止められるはず」と思う方も多いでしょう。しかし現実には、面会制限や交流遮断は“身上監護”の一環として後見人の裁量に委ねられてしまうことが多く、よほど明確な人権侵害や虐待の証拠がない限り、裁判所が介入することは稀です。

 

その理由は以下の通りです。

  • 裁判所は財産管理に重点を置き、家族間の感情的な対立には深入りしない傾向がある
  • 面会や交流の可否は「本人の利益」や「安全確保」の名のもとに制限されることがある
  • 証拠が乏しい場合、第三者から見て“やむを得ない対応”と判断されやすい

つまり、後見人が「本人が疲れるから会わせない」と説明すれば、その正否を確かめるのは容易ではないのです。

 

 

 

5. 囲い込みがもたらす心理的影響

 

親に会えない時間が長くなるほど、双方に精神的な負担が積み重なります。

  • 親側の影響
    • 愛着のある家族とのつながりが断たれ、孤独感や不安が増す
    • 情報が制限され、判断力の低下が加速する
    • 「あの子は来てくれない」と誤解し、感情的な距離が広がる
  • 子ども側(会えない立場)の影響
    • 無力感や怒り、悲しみが混ざった複雑な感情に苦しむ
    • 親の健康や生活状況がわからず、想像ばかりが膨らみ不安が増す
    • 長期化すると、再会の時に距離感や信頼関係を取り戻すのが難しくなる

こうした心理的ダメージは、時間が解決してくれるとは限りません。

 

 

6. 対応のステップ

 

もしあなたが今、親に会えない状況に置かれているなら、感情の揺れに流されすぎず、次のようなステップを踏むことが大切です。

  1. 記録を残す
    • 会えなかった日や理由、やり取りの経緯を時系列で残す
    • メールや手紙、録音なども可能な範囲で保存する
  2. 冷静な事実確認
    • 親の状況(施設、病状、介護サービス)を公式な書類や第三者経由で確認する
    • 推測や噂ではなく、事実ベースの情報を集める
  3. 第三者の介入を検討する
    • 地域包括支援センター、成年後見監督人、弁護士などに相談
    • 必要に応じて家庭裁判所に「後見人の変更」や「監督の強化」を申し立てる
  4. 自分の心を守る
    • 信頼できる友人やカウンセラーに気持ちを話す
    • 会えない状況が長引くほど、自分の生活や健康を優先する意識を持つ
 
 

 

7. 望ましい成年後見のあり方

 

本来、成年後見制度は本人の生活と尊厳を守るための制度です。
そのためには以下の点が重要です。

  • 面会や交流は本人の意思を最優先にする
  • 後見人が一方的に判断せず、可能な限り家族全体で情報を共有する
  • 裁判所も財産管理だけでなく、交流制限の妥当性をチェックする仕組みを整える

これらが当たり前になれば、囲い込みのリスクは大きく減ります。

 

 

8. まとめ成年後見制度は高齢の親を守るための制度ですが、
運用の仕方次第では「囲い込み」を強化してしまう危険があります。特に後見人と他のきょうだいとの間に信頼関係がない場合、
情報や面会の制限が制度の名のもとに正当化されてしまうことがあります。

 

もしあなたが親に会えずに苦しんでいるなら、まずは事実を集め、第三者の力を借りながら、少しずつでも交流を取り戻す道を探していくことが大切です。

 

そして、何よりも忘れないでほしいのは、
「親子のつながりは、制度のためではなく、人の心のためにある」ということです。
 

制度は本来、そのつながりを守るために存在しているのです。

 

 

 

 

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高齢親と「最期にちゃんと向き合えなかった」悔しさを抱える人へ

——囲い込みや確執の中で、親を看取れなかったあなたに届けたい言葉——

 

「もっとちゃんと話しておけばよかった」
「本当は、最期に一目でも会いたかった」
「親に、ありがとうもごめんねも言えなかった…」

 

これは、私がこれまでご相談を受けてきた中で、たびたび聞いてきた言葉です。
人生の終わりに向き合う「親」との関係は、ある日突然終わりを迎えることがあります。
 

それが、親の病気や事故などの避けがたい事情であればまだしも、「家族の事情」「きょうだい間の確執」「囲い込み」など、自分ではコントロールできなかった事情で親と会えなかった——。その悔しさは、なかなか癒えるものではありません。

 

今回は、高齢の親と最期に向き合えなかったという後悔を抱えたあなたに向けて、「どう気持ちを整理していけばいいのか」「これからの人生にどう向き合えばいいのか」を、専門家の立場から、そして一人の人間として、言葉を紡いでみたいと思います。

 
 

 

1. 「ちゃんと向き合えなかった」理由のほとんどは、あなたのせいではない

 

まず最初に、どうか心に留めていただきたいことがあります。
それは、「あなたが親とちゃんと向き合えなかったことは、必ずしもあなたの責任ではない」ということです。

 

親が入退院を繰り返すようになった頃から、きょうだいの誰かが連絡を取らなくなった。
施設に入ったと思ったら、連絡先が知らされず、住所も教えてもらえなかった。
会いに行っても、「面会謝絶です」と職員に言われて引き返すしかなかった——。

 

これは今、日本中で起きている「囲い込み」の一場面です。

 

私のところにも、「親の最期に立ち会えなかった」「親が亡くなったことすら、後日知らされた」というご相談が増えています。

 

このような状況において、いくら「もっとできることがあったのでは」と自分を責めても、心がすり減っていくだけです。

 

あなたができることは、会いたいと願ったこと。手紙を書いたこと。戸惑いながらも、親のためを思って行動したこと——そのすべてが、親への愛情の証なのです。

 

 

 

2. 親は、あなたの想いに気づいていたかもしれません

 

「でも、親は私の想いなんて知らずに逝ってしまった」
そう思っている方も少なくありません。

 

けれど、私はこう考えます。
親という存在は、たとえ言葉に出さずとも、子の気持ちを感じ取る力を持っているものです。

 

誰かに囲い込まれていたとしても、「あの子は本当は会いに来たかったんじゃないか」
電話も手紙も届かなかったとしても、「何か事情があるのかもしれない」
そう受け止めていた親御さんも、きっといるはずです。

 

私がこれまで接してきた高齢の方々も、決して一面的な受け取り方をしてはいませんでした。
むしろ「本当はみんなに会いたい」「きょうだい仲良くしてほしい」と願っている方が圧倒的に多かったのです。

だからどうか、伝えられなかったことがあるからといって、あなたの想いが届いていなかったと決めつけないでください。

 

 

3. 「悔しさ」は、これからの人生を照らす灯にもなる

 

人は、消化しきれない感情を「悔しさ」や「後悔」というかたちで心に残します。
それはとてもつらいことですが、同時に、そこには大切なものが眠っていると私は思います。

 

・あのとき、もっと声をかけていれば
・もっと早く動いていれば
・ちゃんと、会いに行けばよかった

——そう思うからこそ、次に出会う誰かと、もっと誠実に向き合えるようになる。
 

今度は、自分の子どもに、こんな思いはさせたくない。
残された家族やきょうだいに、同じような苦しみを味わってほしくない。

「悔しさ」は、自分の人生を内省し、深めていくための大きな力になるのです。
それは、決して無駄にはなりません。

 

 

 

4. 今からでも「向き合う」ことはできる

 

人は、亡くなった人に対しても、あとから向き合うことができます。
それは、墓前に手を合わせることかもしれませんし、手紙を書いてみることかもしれません。
あるいは、親が好きだった料理をつくって、その味を思い出すことかもしれません。

 

「今さら何になるんだろう」と思われるかもしれませんが、心の中で親と向き合う時間は、あなた自身を癒すことにもつながります。

 

私の知る方で、親の死後に日記をつけはじめた方がいらっしゃいました。
その方は、「亡くなってからのほうが、むしろ親と会話できている気がする」とおっしゃっていました。

親の生前に果たせなかったことを、亡きあとに少しずつでも形にしていく。
それは、あなたの「人生の尊厳」を取り戻す、大切な行為だと私は考えています。

 

 

5. 「親は家族みんなのもの」——だからこそ、今あなたができること

 

私は、「親は家族みんなのもの」という信条のもと、「囲い込み」によって親に会えなくなった方の支援を行っています。
最期の瞬間に立ち会えなかったとしても、その後にできることは、たくさんあります。

 

・残されたきょうだいと、無理のない距離感で会話を再開してみる
・親の遺品やアルバムを整理して、想い出をたどる
・将来、自分の子どもに「会いたいときに会える関係」を残す

 

これらの行動は、過去を清算するためではなく、「悔しさ」を次に活かすためのステップです。
あなたが歩み出した一歩は、必ず誰かの人生にも光を与えるはずです。

 

 

 

おわりに——あなたの想いは、今も生きている

 

向き合えなかった後悔。
伝えられなかった言葉。
やりきれない思い。

そのどれもが、あなたが「親を大切に思っていた」証拠です。

そして、親がそれを知らずに逝ったとは、私は思いません。
 

あなたの想いは、たとえ届かなかったとしても、いまもあなたの中に生きている。
そしてそれは、これから出会う人との関係に、きっと温かさをもたらしてくれるはずです。

 

どうか、自分を責めすぎずに。

どうか、親との関係を「今からでも育てていける」と信じて。
 

あなたの心が、少しでも軽くなりますように。

 

 

 

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19.  “もう遅い”と諦めかけているあなたへ―親に会えないあなたの「心の声」に応えるために―

 

「もう遅いですよね。親に会えないまま何年も経ってしまいました……」

 

これは、私のもとに寄せられるご相談のなかで、もっとも切ない言葉のひとつです。
話し手の声には、悔しさと諦め、そして深い悲しみがにじんでいます。

 

あなたも、そんな気持ちを抱えてこの記事に辿り着いたのかもしれません。
たしかに時間は戻せません。親と過ごせる時間は有限であり、奪われた時間の重みは計り知れません。

 

でも、それでも、私はお伝えしたいのです。

「“もう遅い”は、あなたの心を黙らせる言葉であって、真実ではありません」

 

 

 

「もう遅い」と思ってしまう理由

 

多くの方が「もう遅い」と思ってしまうのは、こんな理由からです。

  • 親が高齢で、認知症も進んでいると聞かされた
  • 兄弟姉妹との関係が完全に壊れた
  • 法的な対処(例えば調停や訴訟)を考えるには、時間もお金も気力も残っていない
  • 親に自分のことを忘れられている気がして怖い

そして何より、「親に会いたい」と願い続けてきた年月が、自分を傷つけてきたからです。

本当は大切にしていた思いなのに、それを持ち続けるほど心がすり減っていく――
 

そのつらさに耐えきれず、「もう遅い」と自分に言い聞かせてしまう。
そのお気持ち、私には痛いほど伝わってきます。

 

 

それでも「遅くはない」と言える根拠

 

それでも私が「遅くありません」と申し上げるのは、希望的観測ではありません。
専門家として、いくつもの事例を見てきたからこそ断言できることがあります。

 

1. 親の意思は、見えなくても存在している

 

たとえ親が認知症になっていたとしても、「〇〇には会わせないでくれ」という言葉が本当に親の意思なのか、慎重に見極める必要があります。

 

中には、囲い込んでいるきょうだいが、「親はあなたに会いたくないと言ってる」と伝えているだけで、実際には本人はそんなことを一言も言っていないケースもあります。

 

親の意思がきちんと確認できていないまま、「もう無理だ」と思い込んでしまうのは、非常にもったいないのです。

 

 

2. 法的手段は「最後の砦」であり「入口」でもある

 

確かに、成年後見や調停などはハードルが高く、心理的にも大きな負担が伴います。
ですが、逆に言えばそれらの制度は、「会えない」という異常な状況を打開するために設けられている“最後の砦”です。

 

最近では、「親と面会できないこと自体が、法的に問題になりうる」という認識も、家裁や後見人の間で少しずつ浸透してきています。

それに、必ずしも裁判所で争う必要があるとは限りません。
 

私の支援してきた事例では、書面のやりとりや専門家からの介入だけで、きょうだいの態度が変わり、面会の道が開けたケースもあります。

つまり「遅くない」とは、「できることが残されている」という意味でもあるのです。

 

 

 

何よりも大事なのは「あなたの思い」

 

忘れないでほしいのは、あなたが今でも親のことを思い、「会いたい」と願っていること自体が、とても尊く、大切なことだということです。

 

周囲の人は「もう忘れなよ」「あなたの人生を生きなよ」と言うかもしれません。
たしかに、親に会えないことをずっと引きずって生きるのは苦しいことです。

 

でも、心の中にある“会いたかった”という思いを押し殺すのもまた、長い人生のなかで自分を見失ってしまう原因になります。

親と再会できるかどうかだけでなく、


「自分は会いたかったんだ」と、自分自身が認めてあげることが、癒しの第一歩なのです。

 

 

道は「今ここ」から開ける

 

あなたがこの記事をここまで読んでくださったということは、本当は、どこかでまだ諦めたくないと思っているのではないでしょうか。

 

たとえ今すぐに行動できなくても構いません。
その気持ちを「なかったこと」にしないであげてください。

 

そして、少しでも「動いてみようかな」と思えたなら、こんな行動から始めてみてください。

  • 親の介護施設や医療機関の情報を調べてみる
  • 昔の写真を見返して、親との思い出を振り返ってみる
  • 面会交流について、専門家の意見を聞いてみる
  • 今の自分の気持ちを、紙に書いてみる

こうした小さな一歩が、やがて「もう遅い」と思っていた心の扉を、そっと開いてくれることもあるのです。

 
 

 

最後に:あなたは独りではありません

 

高齢親を囲い込まれ、長年会えないまま過ごしてきた方は、全国に少なくありません。
「兄弟と争いたくない」「親が苦しまないか不安」――
 

その優しさが、かえってあなたを長く苦しめてきたことでしょう。

でも、あなたの苦しみは、あなたのせいではありません。


そしてその想いに、私は心から寄り添いたいと願っています。

どうか今日を「諦める日」ではなく、「何かが変わり始める日」にしてみてください。

それは、きっと遅くありません。

 


 

高齢親の囲い込み問題に悩む方へ――
 

私たちは「親は家族みんなのもの」という信念のもと、親子の再会を支援する活動を行っています。
どうぞ、ひとりで抱え込まず、お気軽にご相談ください。

 

 

 

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「親ともう一度笑い合いたい」気持ちをあきらめないで

——高齢親の囲い込みに苦しむあなたへ——

 

はじめに

 

「元気にしてるかな……」
 

ふとした瞬間、そうつぶやいてしまう。
最後に親と笑い合ったのは、いつだったか。
 

もう一度、あの穏やかな時間を取り戻したいだけなのに、叶わない。

あなたは今、「親の囲い込み」という見えない壁の前で、心を痛めているのではないでしょうか。

 

あるきょうだいが親を囲い込み、他の家族との面会や連絡を断絶している。
理由も告げられず、扉は閉ざされたまま。

 

そんな状況にいる方から、私は多くの相談を受けてきました。
そして、どの声にも共通する「願い」があります。

 

それが——
「もう一度、親と笑い合いたい」という思いです。

このブログでは、その気持ちをあきらめかけているあなたに向けて、心を支え直す視点と、行動のヒントをお伝えします。

 

 

 

「会えないのは自分のせい?」という自責のループ

 

「もっと早く連絡すればよかったのかもしれない」
「親は、私よりあのきょうだいを信頼しているのかも」
「親が拒んでいるなら、私が引くべきなのか……」

 

そんな風に自分を責める言葉が、ぐるぐると心を巡るかもしれません。

 

しかし、冷静に見ていただきたいのです。
本当にそれは「親自身の意志」なのでしょうか。
それとも、きょうだいの一方的な都合で親が隔離されているだけではないでしょうか。

 

私が見てきた多くのケースでは、親自身が他のきょうだいとの関係を断ちたかったわけではなく、囲い込んでいる側が「親の代弁者」を名乗ってコントロールしている構図が見られます。

 

その支配構造のもとで、「親の本音」が封じ込められてしまうのです。

 

 

 

親の気持ちは、声にならなくてもあなたに届いている

 

高齢の親御さんは、自分の意思をはっきりと表明できないことがあります。
特に認知機能が低下していたり、生活の全てを囲い込み側に握られていたりすると、「会いたい」とさえ口にできない状態になります。

 

しかし、人の心はそんなに簡単に切り替わるものではありません。

昔、あなたと親が一緒に笑い合った思い出。
あの温かい時間が、親の中にも刻まれているはずです。
そしてそれは、完全に消えてなくなるものではありません。

 

だからこそ、あなたの「会いたい」「笑い合いたい」という気持ちには、親の中にも共鳴する何かがあると私は信じています。

 

 

「感情のあきらめ」が生む二次的な喪失

 

「どうせもう、会えない」
「親に忘れられてるかもしれない」
「今さら連絡しても迷惑がられるだけ……」

 

こうした思考は、防衛反応としては自然なものです。
ですが、それが習慣化すると、感情の麻痺を引き起こします。

そしてその結果、「親の死」に直面したときに深い後悔と喪失感に襲われます。

 

これは、親を失ったことそのものというより、「つながりを断たれたまま、気持ちを伝えられなかった」ことによる二次的な喪失です。

だからこそ、今、あきらめないことがとても大切なのです。

 

 

 

気持ちを持ち続けることは、あなたの尊厳でもある

 

「会えなくても、思い続けることに意味があるのか」と虚しさに襲われることもあるでしょう。

 

でも、思い続けることは「無力」ではありません。
それは、あなたの中の大切な人間関係を、一方的な分断から守ろうとする行為です。

 

会えない今でも、心の中で「お母さん、元気でいてね」「お父さん、ありがとう」と語りかけることはできます。

その言葉には、あなた自身の愛情と尊厳が込められているのです。

 

 

行動することで、気持ちに形を与える

 

では、何かできることはあるのでしょうか。
法的な手段や制度を使う前に、できる範囲で以下のような行動があります:

  • 手紙を書いてみる(感情的な文面ではなく、静かな語りかけとして)
  • 昔の写真を送ってみる(「一緒に笑った時間」の象徴として)
  • 共通の知人に近況を聞く(第三者的な目で状況を知る手段)
  • 市役所の高齢福祉課などに相談する(場合によっては訪問支援につながる)

そしてもし、「一方のきょうだいによる明確な隔離」が続いているのであれば、その構造に気づいている人とつながることも大切です。

孤独の中で悩まず、「これは私だけの問題ではない」という理解を持ってほしいのです。

 

 

 

おわりに:あなたの願いは、決してわがままではない

 

「もう一度、親と笑い合いたい」
その願いは、誰にとっても自然なものです。
決して身勝手な感情ではありません。

 

誰かがそれを「もう遅い」と否定してきたとしても、あなた自身がその気持ちを信じることに、なんの後ろめたさもいりません。

 

親は「家族みんなのもの」です。
その原則を忘れずに、心を閉ざさずにいてください。

 

そして、もしあなたが
「一歩踏み出したいけれど、どうすればいいかわからない」
という状況にあるなら、私がその一歩を一緒に考えます。

 

あなたのその願いが、再び誰かの手を通じて、親に届く日を信じています。

 

どうか、あきらめないでください。

 

 

 

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