高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。
私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。
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(期間: 2025/8/2土~2025/8/31(日))
52.「親に見捨てられた」と感じるときに読む話
こんにちは。
高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。
これまで、数多くのご相談を受けてきた中で、とても印象に残っている言葉があります。
「母に会わせてもらえなくなってから、まるで親に見捨てられたような気持ちになるんです。」
この言葉を口にされた方の表情は、悲しみと絶望に満ちていました。
親子関係において「見捨てられた」と感じることは、人の心に深い傷を残します。
それは大人になってからも決して軽くはない痛みです。
今日は、この「親に見捨てられた」と感じるときにどう向き合えばよいのか、そして心を保つための考え方について、お話ししたいと思います。
「見捨てられた」という感覚が生まれるとき
親に会えない状況には、いくつかのパターンがあります。
- 施設や病院にいる親に、きょうだいが「会わせない」と言う
- 親自身が「もう来なくていい」と口にする
- 連絡をしても返事がなく、拒絶されているように感じる
どのケースも、胸が締めつけられるようなつらさを伴います。
親子の絆は、言葉では説明できないほど深いものです。
だからこそ、会えない・拒絶されるという出来事は、「自分という存在そのものを否定された」ような痛みとして感じられるのです。
ある50代の女性、Aさんはこう語りました。
「母に会いたくて何度も電話したけれど、兄から“母はもう会いたくないって言っている”と告げられました。最初は信じられませんでしたが、何度お願いしても同じ答えで……。
だんだん“母は本当に私を嫌いになったんだ”と思うようになりました。」
このように、「会えない状況=親に見捨てられた」と心が解釈してしまうのです。
本当に「見捨てられた」のか?
ここで一度、立ち止まって考えてみましょう。
「見捨てられた」という感覚は、事実でしょうか?
それとも、心が感じている“思い込み”でしょうか?
認知症や高齢による判断力の低下がある場合、親が直接発した言葉が必ずしも本心とは限りません。
また、きょうだいが親の意思を“代弁”して伝えるケースも少なくありません。
たとえば、親が本当は「疲れているから今は面会を控えたい」と思っていても、それが「もう来なくていい」に変換されてしまうことがあります。
このように、「見捨てられた」という言葉の背後には、誤解や伝達ミスが潜んでいる可能性があるのです。
感情は事実ではなく「心の反応」
心理学では、「感情は事実ではなく心の反応である」と言われます。
「見捨てられた」と感じるとき、実際に起きているのは
- 会えない
- 声を聞けない
- 言葉が届かない
という現象です。
しかし、その現象に対して心が「見捨てられた」とラベルを貼るのです。
つまり、現実と感情は同じではありません。
これは、「あなたが間違っている」という意味では決してありません。
むしろ、人は大切な人との関係が脅かされると、本能的に「見捨てられ不安」を感じるようにできているのです。
この「見捨てられ不安」は、私たちが子どもの頃から持っている、ごく自然な心の働きです。
だからこそ、自分を責める必要はありません。
自分を責めないでいい理由
Aさんは、母に会えない状況が続く中でこうつぶやきました。
「私が母を怒らせたからだと思います。昔から“あなたは冷たい子”って言われていたので……。」
しかし、私はこうお伝えしました。
「親に会いたいと思うこと、愛情を伝えたいと思うこと――
それはあなたが“親を大切にしている”証拠です。
その気持ちまで否定する必要はありません。」
親との関係には、必ず過去の出来事が影響しています。
小さな誤解やすれ違いが積み重なって、今の関係を複雑にしていることもあります。
でも、「親に会いたい」という純粋な気持ちは、何があっても尊重されるべきものなのです。
見捨てられた感覚を少し和らげる方法
では、このつらい感覚にどう対処すればよいのでしょうか。
ここでは、少し心が軽くなるためのヒントをお伝えします。
1. 感情を書き出す
頭の中でぐるぐるしている思いをノートに書き出してみましょう。
「悲しい」「怒り」「不安」など、そのまま言葉にするだけで気持ちが整理されます。
2. 「事実」と「解釈」を分ける
「母が私に会いたくない」と感じたら、
「母に会えていない」という事実と、
「母は私を嫌っている」という解釈を分けて考えてみましょう。
3. 信頼できる第三者に話す
親やきょうだい以外の人に気持ちを話すことで、自分を客観的に見ることができます。
カウンセラーや専門家に相談するのも一つの方法です。
親の心には「感情」が残っている
認知症や病気が進むと、親が子どもの名前を忘れてしまうこともあります。
しかし、心理学ではこう言われています。
「記憶は消えても、感情は残る」
つまり、言葉であなたを認識できなくなっても、
親の心にはあなたへの愛情や安心感が残っているということです。
私が関わったあるケースでは、母親が娘の名前を忘れてしまったにもかかわらず、娘が手を握ると安心したように微笑んだというエピソードがありました。
これは、理屈を超えた「心の記憶」が生きている証拠です。
「親はもう私を忘れてしまった」と思うときも、その人の中には確かにあなたへの想いが存在しているのです。
まとめ:あなたは見捨てられていない
「親に見捨てられた」と感じるとき、心は深く傷つきます。
しかし、それはあなたが親を大切に思っている証拠でもあります。
今日お伝えした大切なポイントは3つです。
- 「会いたい」という気持ちは当然で尊いもの
- 感情と事実は別もの。見捨てられたと感じても、それが現実とは限らない
- 記憶が消えても、親の心には感情が残っている
あなたへのメッセージ
もし今、あなたが「見捨てられた」と感じて苦しんでいるなら、まずは自分の気持ちをそのまま受け止めてあげてください。
「私は親に会いたい。大切に思っている。」
その想いは、誰にも否定できません。
そして、その想いがある限り、あなたは決して本当の意味で見捨てられてはいないのです。
どうか一人で抱え込まず、必要なときには周囲の力を借りてください。
あなたの心が少しでも軽くなりますように。
自己紹介など
1. 自己紹介
https://www.ameba.jp/profile/general/release-advisor/
2.高齢親の囲い込み問題について体系的な説明(ChatGPT DeepResearchより)
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12919635429.html
3.出版済の電子書籍キンドルリストはこちら
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12920372756.html
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ブログのご紹介
ブログ主宰 しらいわ は以下のブログも作成しています。併せてご覧ください。
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