またしても、連載中に割り込み御免。
世界中が大混乱に陥って数ヶ月。アメリカのやり方、無茶苦茶ですやん。世界規模でどんだけの悪影響を及ぼしているのか、想像もつかない。これを書いてるのは4月19日で、停戦合意がなされるのかどうかの微妙な段階。
トランプ大統領に思うところはいろいろあるが、世界最大の影響力を持つ国のリーダーがこんな情緒不安定では、怖すぎる。
今宵は、改めてこの時代に鳴り響くべき楽曲をご紹介。アメリカはアリゾナ州フェニックスのバンド、Sacred Reichの"THE AMERICAN WAY"、1990年にリリースされた、彼らの2ndアルバムのタイトル曲である。
バンドのメインソングライターであるフィル・リンド(B・Vo)が、今から36年前ごろのアメリカ(ブッシュ父大統領政権下、冷戦時代が終わり、景気の後退が始まった)を彼なりの視線で捉えたその歌詞は、改めて読むとまるで昨日今日に書かれたのでは?ってほどに、切迫した「アメリカの惨状」が歌われており、かなり、相当に、痛烈に、切り刻んでる。
以下、歌詞とその対訳。
※対訳は、英詞をChat GPTに読み易く意訳してもらった。
"THE AMERICAN WAY"
WORDS AND MUSIC BY PHIL RIND
Truth and honor, faith and pride
All convictions surely died
Honesty′s time has passed
Time for lies is here at last
Truth is false, I'm so fed up
How did we come to be so fucked?
Hate, fear, pain, and death
All our country has got left
Talk to children, hear them say
"Daddy left again today
Brother steals, and mommy lies"
Future lost before their eyes
The sun was lost behind the clouds
They wrapped it up and blacked it out
Acid rain fell today
It came and washed our hopes away
Chorus:
This was once the land of dreams
Now these dreams have turned to greed
In the midst of all this wealth
The poor are left to help themselves
A capitalist′s democracy
Why no one said that freedom's free
Lady Liberty rots away
No truth, no justice, the American way
Don't look past your TV
All of us are what we see
A looking glass into our lives
What we watch is what we buy
Priorities are out of whack
Who is next to stab our back?
Doesn′t it make you mad
To have lost all that we′ve had?
Chorus:
This was once the land of dreams
Now these dreams have turned to greed
In the midst of all this wealth
The poor are left to help themselves
A capitalist's democracy
Why no one said that freedom′s free
Lady Liberty rots away
No truth, no justice, the American way
Doesn't it fill you with disgust
That there′s no one left to trust?
Is this happening? Is this real?
My body numb, I cannot feel
Are you happy? Are you sad?
Are emotions a thing of the past?
I have no tears, I cannot cry
No one mourns for a world that's dead
Chorus:
This was once the land of dreams
Now these dreams have turned to greed
In the midst of all this wealth
The poor are left to help themselves
A capitalist′s democracy
Why no one said that freedom's free
Lady Liberty rots away
No truth, no justice, the American way
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真実と名誉、信念と誇り
すべての信条は確実に死んでしまった
正直さの時代は終わり
ついに嘘の時代がやってきた
真実は偽り、もううんざりだ
どうしてここまで堕ちてしまったんだ?
憎しみ、恐怖、痛み、そして死
この国に残ったのはそれだけ
子どもたちに話しかけてみろ、こう言うだろう
「パパは今日もまたいなくなった」
兄は盗みを働き、ママは嘘をつく
未来は目の前で失われていく
太陽は雲の向こうに隠され
包み込まれて、闇に閉ざされた
今日、酸性雨が降り
それはやってきて、希望を洗い流した
Chorus:
ここはかつて夢の国だった
だが今、その夢は欲望に変わった
これほどの富の中でさえ
貧しい者は見捨てられている
資本主義の民主主義
自由はタダじゃないなんて誰も言わなかった
自由の女神は朽ち果て
真実も正義もない、それがアメリカ流
テレビの向こうを見ようともしない
俺たちは見ているものそのものだ
それは人生を映す鏡
見たものをそのまま買う
優先順位は狂っている
次に裏切るのは誰だ?
腹が立たないのか
すべてを失ってしまったことに
Chorus:
ここはかつて夢の国だった
だが今、その夢は欲望に変わった
これほどの富の中でさえ
貧しい者は見捨てられている
資本主義の民主主義
自由はタダじゃないなんて誰も言わなかった
自由の女神は朽ち果て
真実も正義もない、それがアメリカ流
嫌悪で満たされないか?
もう誰も信じられないなんて
これは本当に起きているのか?現実なのか?
体は麻痺して、何も感じない
幸せか?それとも悲しいのか?
感情はもう過去のものなのか?
涙も出ない、泣くこともできない
死んだ世界を悼む者は誰もいない
Chorus:
ここはかつて夢の国だった
だが今、その夢は欲望に変わった
これほどの富の中でさえ
貧しい者は見捨てられている
資本主義の民主主義
自由はタダじゃないなんて誰も言わなかった
自由の女神は朽ち果て
真実も正義もない、それがアメリカ流
どうだろう。一部往時を感じさせる表現はあるものの、まんま現代アメリカに置き換えて聴くことができると思われないかね?「No truth, no justice, the American way/真実も正義もない、それがアメリカ流」という強烈なフレーズは、アメリカン・ヒーローの代表格たるスーパーマンの名セリフである“I'm here to fight for truth, justice, and the American way.” を皮肉ったものかな。
それでは聴いていただきましょう。Sacred Reichで"THE AMERICAN WAY"(笑)
VIDEO
ザクザクと切り刻む反復リフと畳みかけるサビがカッコいい~。全員黒Tと黒デニムで黙々とアタマ振るそのプレイスタイルも、いにしえのスラッシャー然としていて大好きだ。
当時のメタル…特にスラッシュメタル周辺では、社会的なメッセージ性の強い歌詞を歌うバンドは多かったものだった。激しく尖った音楽スタイルは、そういった歌詞表現にはとてもフィットしていた。
そんな潮流の中でも、フィル・リンドはポリティカルな題材を扱うことにかなり意識的だった印象。こういう歌詞を載せた激しい楽曲がシーンにはたくさんあり、それが、メジャーレーベル/インディーズレーベル問わず普通に流通していたんだから、よくも悪くも、日本でこんなことは起こらないだろうな(だからいいとか悪いとかの話ではない)。
現役リスナーをやめてしまったわたくしには、現代のアーティストたちがどんな歌詞を歌っているのかわからないが、今も危機感や理想をもって社会的メッセージを発する人やバンドはたくさんいるんだろうな、ジャンルを問わず(クドいが、いい悪いの話ではない)。
そういえば…わたくしの卒論テーマ、「ヘヴィメタルの歌詞と現代社会」だったわ(笑)。なかなかでしょ。
この2ndアルバム、とってもお気に入り。
全34分ほどっていう長さ(短さ?)もいいんだな~。
けっこう貴重と思われる、
帯付き日本盤。
こんな記事書いたけど、わたくし基本的にぜんぜん歌詞重視ではない。正確に言うと「歌詞に興味はあるし読んだり訳したりもする(してた)けど、それが当該曲の好き嫌いや良し悪しの評価には影響しない」ってところかな。クソみたいな内容でも別に構わんし。
たまにこういう記事書くと楽しい~。疲れるけど。