【旧廃道篇】より続く。
現れましたる、
素掘りの洞内をモルタルで巻いた、シンプルな廃隧道。扁額も銘板もないが、お名前は「柿ヶ野隧道」という。
坑口脇には、このような旧々道とおぼしき平場があるのだが、
5~6mほどでスパッと切れ落ちてしまっていた。
路盤が崩落してしまったか、あるいは桟橋でクリアしていたのか。後者だとしたらかなりのファイト一発系(古ぅ)だったに違いない。
かつて立ち塞がっていたはずのフェンスは、
今やこの状態。
その通りで、これ以上の立ち入りはお勧めしない。それはまあここからの写真で伝わると思うが。
洞内には剥落したモルタルが落ちているが、
こんなのは序の口で。
抜けた先とか…
えらいことに…
って、この写真を撮った直後に、ビクッとした。気づいてなかったところでいきなり目が合ってしまったから。
しばらく見つめながら接近したものの、向こうも目をそらさないので、
思わず背を向けて撮った、鉄板の構図。
…って、さっきから何を言ってるのだオマエは?って感じだと思う(笑)。
お見せしよう。
阿鼻叫喚の惨劇が展開されている隧道東側だが、その只中に…わかるかな?お気づきになった?
写真中央…、
このお方。ニホンカモシカ。
瓦礫のてっぺんで微動だにせず、まるで王のようにひたとこちらを見下ろしてくる。思わず平伏しそうになった(笑)。
まあそれでも1~2分くらいだったかなあ。
降りてきたので、もしかしてこっちに来るのか?と思ったが、川べりのほうに移動した後、いつしか立ち去った。
瓦礫の上のあの姿は、実に絵になってた。たぶん彼(彼女?)は、「これ以上こっちには来るなよ」と忠告してくれたのだと、そう解釈した。
もとよりこの壊滅具合を見ると足を踏み入れるのは憚られるし、すんなりとその忠告を受け入れることとした。
とまあそういうわけで、
隧道から先の旧道は完全に死んでいる。
現在進められている「上麻生防災」事業において、この隧道にまで手が及ぶ(新道に干渉する)のかどうかは不明だが、とりあえず行ってみたい方は早めのほうがいいだろう。
先ほどから気になっている、残骸の中をチェック。
波型ライナープレートが、見るも無残にひしゃげてしまっていた。
これは簡易なロックシェッドのなれの果て。数ある先人のレポートでも、うさネコサンドさんの記事では経年による崩落の過程がよくわかるので、興味ある方はどうぞ。(2004年、2007年、2018年)。
隧道の巻き立てそのものが
ごそっと落ちているところも。エゲツな…。
そこを見上げてみれば、
いや~ヤバイヤバイ。長居は無用だ。
よく見れば、アーチそのものにも、
あるまじき、軸方向のクラック(汗)。
これはかなり危険。静かなる圧壊が始まっているようだ(三子生隧道に比べればカワイイものだが)。わたくしなんかが申すのもアレだが、ここはみだりに立ち入らない方がいい。
改めての、
鉄板の構図。
近い将来、この景色の中にもう一本、真新しい橋が加わることになる。線形によっては、この隧道に致命的な影響を与えるこのなるかもしれない橋。瀕死のこの隧道は、その時どうなるだろうか。
この飛山橋との
位置関係も気になるところだ。
まあとりあえず繰り返しになるが、この旧道、柿ヶ野隧道、そして右岸歩道の隧道たちなど付近の旧物件を訪問するならば、可及的速やかに決行されることをお勧めする。予断を許さない状況だ。
以上。