整数a、b、cに対し次の条件を考える
。   (*)a≧b≧0かつa2-b2=c
(1)c=24、25、26それぞれの場合に条件(*)をみたす整数の組(a,b)をすべて求めよ。
(2)pは3以上の素数、nは正の整数、c=4p2nとする。このとき、条件(*)をみたす整数の組(a,b)をすべて求めよ。
(注)
a2→a×a
b2→b×b
正の→0より大きい
2n→2×n
4p2n→4と「pを2n個掛け合わせた数」の積

 

「和と差の積=2乗の差」(南山中学校女子部2024年算数第1問(4)の解答・解説を参照)を利用して約数のペアの議論に持ち込みます。

その際、偶奇性を利用すると簡単に処理できます。

偶奇性を利用する問題は中学入試でも昔からよく出されています(神戸女学院中学部2003年算数第2問南山中学校女子部2025年算数第7問など)

(1)の3問と(2)で同じことを繰り返し問うているだけで、簡単な問題です。

小学生の場合、(2)の指数の処理が若干難しいでしょう。

名大の受験生のレベルを考慮すると、pを単に素数とし、2とそれ以外の素数の場合分けを怠ったら減点するような問題でもよかったような気がします。

素数の問題では、2(唯一の偶数)と3(唯一の3の倍数)に常に注意を払うべきであって、中学入試でもそういうことが問われていますからね(南山中学校女子部2022年算数第4問(2))。

南女の好きそうな論点がちりばめられた問題なので、南女の受験生は、少なくとも(1)ぐらいはさっと解けるようにしておいた方がいいでしょうね。

因みに、a2-b2=2026を満たす(a,b)はありません。

詳しくは、下記ページで。

 名古屋大学2025年理系数学第2問・文系数学第2問(問題)

 名古屋大学2025年理系数学第2問・文系数学第2問(解答・解説)

大阪星光学院の高校入試で(1)の数値が変わっただけの問題が出ているので、解いてみます。

(問題)

 大阪星光学院高等学校2020年数学第1問(4)
 x2-y2=80となる正の整数x、yの組(x,y)をすべて求めると、(x,y)=[          ]である。
(注)
正の→0より大きい
(解答・解説)
与えられた条件より、(x+y)×(x-y)=80となります(和と差の積=2乗の差の利用)。
(x+y)+(x-y)=x×2(偶数)だから、x+yとx-yの偶奇は一致します。
x>0、y>0だから、x+yはx-yより大きくなります。
80の約数のペアがx+yとx-yということですね。
最初に述べたことに注意すると(x+y,x-y)=(40,2)、(20,4)、(10,8)となります。
(x+y,x-y)=(40,2)のとき、和差算を解くと、x=(40+2)/2=21となり、y=21-2=19となります。
(x+y,x-y)=(20,4)のとき、和差算を解くと、x=(20+4)/2=12となり、y=12-4=8となります。
(x+y,x-y)=(10,8)のとき、和差算を解くと、x=(10+8)/2=9となり、y=9-8=1となります。
したがって、、(x,y)=(21,19)、(12,8)、(9,1)となります。

 

今回取り上げた問題は平方数-平方数の問題ですが、立方数-立方数の問題が京都大学などで出されています。

小学生の場合、因数分解はできないので、平方数-平方数の問題の場合、和と差の積=2乗の差を利用したり、面積図をかいたりして処理することになり、立方数-立方数の問題の場合は、体積図をかいて処理することになります。

京大の(理系のほうの)問題(負の数の答えを排除したもの)が解けた小学生の教え子も過去に何人かいます。

 

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 右の図1のような2n個のマスのそれぞれに〇、×のいずれかの記号を入れる入れ方を考える。ただし、180°回転して同じになるものは1通りと考えることにする。たとえばn=1のとき、記号の入れ方は図2のように3通りある。
(1)n=2のとき、記号の入れ方は[ ]通りある。
(2)n=3のとき、記号の入れ方は[ ]通りある。
(3)nが自然数のとき、2n個のマスに記号を入れる入れ方はnを用いて[   ]通りと表せる。
(注)
2n→2×n
自然数→1以上の整数(小学生は無視して考えればよいでしょう。)

 

 

「180°回転して同じになるものは1通りと考える」という条件があるので、ダブりに注意する必要があります。

解説ではあえてダブらせて後で調整するという方針で解いています。

この方針は非常に大切なので、最難関中学校の受験生はしっかりマスターしておく必要があります。

下の問題を解いてみるとよいでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

大阪星光の問題に戻ります。

n=1のとき(問題の例)とn=2のとき((1))を理論的にきっちり分析することができれば、メインの(3)の問題も同様にしてすぐに解けます。

(1)と(2)だけなら、書き出して解くという方針でも解けないこともないですが、その方針では、(3)は厳しいでしょう。

何も考えずに書き出しても意味はないですが、n=2の場合を書き出したときに、はじかれたものがどういうものであるかということと問題文の例ではじかれたものがどういうものであるかということを考えれば、解説の方針にたどり着ける可能性は十分あります。

ところで、解説では、n=1のときとn=2のときにぎりぎりまで計算していませんが、これは非常に大切なことです。

計算してしまうと見えなくなってしまうことがありますからね。

例えば、次のような問題を低学年の子に解いてもらうことがあります。

 最初の数が3で、2ずつ増えていく数を左から順に並べます。左から20番目の数は何ですか。

初めて教えた子は、たいてい3、3+2=5、5+2=7、・・・というようなことをして答えを出そうとします。

これで答えを出せること自体はいいことですが、計算はしなくてもいいから、番号と式だけ書いてくれればいいよと必ず言います。

すると、

 ① 3

 ② 3+2

 ③ 3+2+2

 ④ 3+2+2+2

 ⑤ 3+2+2+2+2

というように書いてくれるので、⑤って数字が何個並んでいるか問うと、5個とすぐに答えてくれ、2は何個並んでいるか問うと、4個とすぐに答えてくれます。

これをいくつかの番号でやった後、⑳はどうかなと問うと、数字は全部で20個で、2は19個だと答えてくれ、3+19×2=41が答えだと言ってくれます。

最初が2だったら楽だったよねと言うと、2×20+1=41としたほうが楽だとたいていの子が気付いてくれます。

低学年のうちはこういう勉強法が非常に大切で、等差数列の□番目の公式を覚えせてそれを当てはめて解くなどという学習法では、高学年で破綻することがあります(公式を忘れたと言って手が(思考も)止まってしまうような状態です)。

もちろん、等差数列の□番目の公式を自分で導き出せるのであれば問題ありません。

詳しくは、下記ページで。

 大阪星光学院高等学校2025年数学第4問(問題)

 大阪星光学院高等学校2025年数学第4問(解答・解説)

 

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 正の整数x、y、zを用いて
  N=9z2=x6+y4
と表される正の整数Nの最小値を求めよ。
(注)
正の→0より大きい
9z2→9×z×z
6→xを6個掛け合わせた数
4→yを4個掛け合わせた数

 

昨年の東大入試と京大入試では小学生でも解ける問題が結構出されました(東大の文科で2問、京大の文系で2問、京大の理系で1問)。

東大の文科などは、4問中1問しか取れなくても受かる人がそれなりにいるのが現実なので、2問も出されたことにはさすがに驚かされました。

今年の東大、京大の入試で小学生が解ける問題は今回取り上げた京大の理系の問題ぐらいです。

知識が必要な分野を出されると厳しくなりますからね。

京大の文系の確率の問題(第3問)のnが具体的な値であれば、小学生でも解ける問題です。

実際、私が作成した灘中対策演習問題などに同じような問題が入っていますからね。

 

nが具体的な値であっても、きっちりとした解き方をすれば、京大の問題でも通用します。

最後に漸化式を解くという高校で習うルーティンワーク的な作業をするだけですからね。

さて、今回取り上げた京大の理系の問題ですが、N=9z2を見た瞬間に答えが2025かなと感じた受験生が結構いたでしょうね(実際、今年京医を受験した教え子も答えがすぐにわかったので、それを示すだけだったと言っていました)。
2025は平方数で9の倍数ですからね。

x、yを3で割った余りを考えれば、x、yがともに3で割り切れることが分かるので簡単に解決します。

詳しくは、下記ページで。

 京都大学2025年理系数学第2問(問題)

 京都大学2025年理系数学第2問(解答・解説)

 

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 図の三角形ABCと三角形DEFは正三角形で、AFとBDの交点をGとします。BEとECの長さの比は1:2で、ECとCFの長さの比は4:5です。三角形ABGと三角形DFGの面積の差は22cm2です。
(1)三角形ABFの面積を求めなさい。
(2)三角形ABGの面積を求めなさい。

  

 

 

 

 

 

上記のように、算数オリンピックレベルの平面図形の問題が出されることもある東海中学校ですが、この問題は簡単な問題です。

入学後のことを考えずに、算数は5割ぐらいで理科と社会で稼ぐというような方針で東海を受験しようとする子が結構多くて驚かされますが、そういう子にとっても合否を分ける問題でしょうね。

因みに、小6で算数ができないのであれば、一時的な妥協として算数5割ぐらいという上記の方針でとりあえず中学受験をクリアしようというのはありだと思います(合格後は、医学部などの理系を目指すのであれば、周りの子の2倍努力するぐらいの気持ちで数学を勉強しないといけないでしょう)が、小5からそういう方針で東海を受験しようとするのはやめておいた方がいいでしょうね。

仮に合格したとしても、後々苦労しますからね。

さて、今回取り上げた問題について考えてみましょう。

(1)は、面積の差の標準問題で、つけたしを考えておしまいです。

面積の差の問題で、単につけ足しを考えるだけではうまくいかない問題(麻布中学校2024年算数第2問など)もあります。

東海の受験生なら、しっかりマスターしておくべきでしょう。

(2)は、相似(ピラミッド相似とちょうちょ相似)といわゆる等高図形の面積比と等底図形の面積比を駆使して、(1)の面積の利用に持ち込みます。

相似、面積比の分野の基本的な解法がマスターできているか確認するのにちょうどいい問題だと思います。

詳しくは、下記ページで。

 東海中学校2025年算数第4問(問題)

 東海中学校2025年算数第4問(解答・解説)

 

 

 

 

 次の□にあてはまる数を答えなさい。
  2/(5×7)+4/(7×11)+6/(11×17)+8/(17×25)=□

 

各分数の分母が部分分数分解を示唆してくれているので簡単な問題ですね。

15年ぐらい前にアップロードした下の計算問題と同じようなものですね(因みに、下の計算問題はフィボナッチ数列を登場させています)。

今となっては、2/35+4/77+6/187+8/425と出されたとしてもすぐに解法が思いつかないといけません。

部分分数分解の問題が出されたときに、部分分数分解の作業をさぼって、分母にある2数の積のうち隣同士のものを消して、最初と最後だけが残るというような説明をする塾講師がいますが、最悪なことなので、きちんと(頭の中で)部分分数分解をして解きましょう。

以前はそんな愚かなことをしなかった子が塾に行ってそういう愚かなことをしだすのでびっくりしますよ。

水は低いところに流れるということを感じずにいられません。

分母の積を構成する2数と分子の関係を確認しながら部分分数分解を行わないと、出題者がわなを仕掛けたら間違えてしまいます。

詳しくは、洛南高校附属中学校2025年算数第1問(1)の解答・解説で。

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