Tさんが昨年、商品Aと商品Bを合わせて10個買ったところ、全部の代金は20400円でした。今年になって、商品Aの値段が1.1倍に、商品Bの値段が1.5倍に値上がりしたため、商品Aを昨年の2倍の個数、商品Bを昨年の1/3倍の個数だけ買ったところ、商品Aと商品Bを合わせた個数も、全部の代金も昨年と同じになりました。
(1)今年は商品Aを何個買いましたか。
(2)今年の商品Bは1個いくらですか。

 

基本的な文章題です。

消去算で解くこともできますが、解説では、(1)も(2)もてんびん算で処理しています。

なお、(1)は整数条件(倍数条件)に着目しても簡単に解けます。

割合のつるかめ算として処理すると、次のようになります。

(1)

Bの個数も昨年の2倍であれば、AとBの合計個数も2倍の20個となったはずですが、実際は、Bの個数が1/3倍になっているから10個となっていて、20-10=10個少なくなっています。

これが昨年のBの個数の2-1/3=5/3倍に相当するから、昨年のBの個数は10×3/5=6個となり、今年のAの個数は(10-6)×2=8個となります。

説明のために長々と書いただけで、実際には、昨年のBの個数は(10×2-10)÷(2-1/3)=6個というように式だけですぐに求めることができます。

(2)

今年は、Aの代金総額が1.1×2=2.2倍、Bの代金総額が1.5×1/3=0.5倍となっています。

昨年のAの代金総額は

  (20400-20400×0.5)÷(2.2-0.5)

 =10200×10/17

 =6000円

となり、昨年のBの代金総額は

  20400-6000

 =14400円

となります。

したがって、今年のBの値段は

  14400×1/6×1.5

 =3600円

となります。

詳しくは、下記ページで。

 東海中学校2025年算数第3問(問題)

 東海中学校2025年算数第3問(解答・解説)

下の割合のつるかめ算の問題もぜひ解いてみましょう。

 

 

解説ページでは3つの解法を紹介しています。

 

 

 

 半径1の円周上に反時計回りに点A、B、C、Dを順にとり、線分ADは直径で、AC=CD、AB=BCが成り立つとする。
(1)∠ACBを求めよ。
(2)略
(3)略

 

(2)と(3)は三平方の定理とルートがからむので、省略しています。
一応高校の三角比の問題ですが、三平方の定理を利用して中学生の範囲で解けます。

(1)は小学生でも解ける角度の基本問題です。
図をかくと下のようになります。
  
三角形ACDは角Cが直角の直角二等辺三角形ですね。
2点B、Dを直線で結び、円周角の定理を利用すると、角ACB=角ADB=45/2度というように一瞬で解けますが、小学生の場合、円周角の定理を知らないので、円周角の定理を知らないふりをして解くことにします(西大和学園中学校など数学的な問題が出されることがある中学校を受験するのであれば、円周角の定理を知っておいた方が時間の短縮になっていいとは思いますが・・・)。
点B、Cと円の中心(点Oとします)をそれぞれ直線で結びます。
三角形COAは角COAが直角の直角二等辺三角形となりますね。
AB=BCだから、角COB=90/2=45度となります。
三角形OBCはOB=OCの二等辺三角形だから、角BCO=(180-45)/2=135/2度となり、角ACB=135/2-45=45/2度となります。

 

 

 

 以下の問いに答えよ。
(1)nを整数とするとき、n2を8で割った余りは0、1、4のいずれかであることを示せ。
(2)2m=n2+3をみたす0以上の整数の組(m,n)をすべて求めよ。
(注)
2→n×n
m→2をm個かけあわせた数

 

灘中などでよく出されるタイプの問題です(灘中学校2019年算数1日目第4問灘中学校2021年算数1日目第5問など)。

ご丁寧に8の平方剰余・非剰余を考えなさいというヒントまでついているので、差がつかないような気がしますが・・・

中学受験をしていない中学生でも、文字式の利用を習っていれば(1)を機械的に解くことができますからね。

(1)があれば、(2)は落としようがないですしね。

 〇は整数です。〇×〇を8で割った余りは0か1か4です。

 このとき、2×・・・×2(2を□個かけた数)=〇×〇+3となる□と〇を求めなさい。

こういう問題にして、小4の教え子に解いてもらったら、すぐに□=2、〇=1という答えを求められましたからね。

□がもっと大きくなることはないのとこちらが言うと、ちょっと(30秒ぐらいかな)考えて、8で割り切れちゃうからと答えてくれました。

なお、問題文に「すべて」と書いてあるのははったりで、むしろ答えが1つかもしれないと警戒すべきでしょうね(下の問題を参照)。

数学では何も書いていなくもすべて求めるのが当たり前で、わざわざ「すべて」と書くのは、答えが複数あるから気を付けてねという親切な出題者か・・・(あえて言いません)。

 

 

 

 

 

 

詳しくは、下記ページで。

 九州大学2025年前期理系数学第3問・文系数学第3問(問題)

 九州大学2025年前期理系数学第3問・文系数学第3問(解答・解説)

 

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 コイン①、…、⑥が下図のようにマス目の中に置かれている。
   

 

 これらのコインから無作為にひとつを選び、選んだコインはそのままにし、そのコインのあるマス目と辺を共有して隣接するマス目のコインを裏返す操作を考える。例えば、①を選べば、②、④を裏返し、②を選べば、①、③、⑤を裏返す。最初はすべてのコインが表向きに置かれていたとする。正の整数nに対し、n回目のの操作終了時点ですべてのコインが裏向きである確率をpnとするとき、以下の問に答えよ。
(1)p2を求めよ。
(2)コイン①、…、⑥をグループA、Bに分けることによって、n回目の操作終了時点ですべてのコインが裏向きであるための必要十分条件を次の形に表すことができる。
 n回目の操作終了時点までにAに属する各コインはそれぞれ奇数回選ばれ、Bに属する各コインはそれぞれ偶数回選ばれる。
 どのようにグループ分けすればよいか答えよ。
(3)p4を求めよ。
(注)
確率→小学生の場合、とりあえず、すべての場合に対してある場合が起こる割合と考えればよいでしょう。
正の→0より大きい
(2)の問題文が小学生にはわかりにくいですが、要するに、コイン①、…、⑥をそれぞれ選んだ回数は奇数回か偶数回か答えなさいということです。(3)を解くためのヒントに過ぎないので、小学生の場合無視してもよいでしょう。(3)を解こうとすれば、このことを考えることになりますからね。

 

メインの(3)の問題は、確率の問題を場合の数の問題にすれば、中学入試にそのまま出せそうな問題です。

実際、同じような考え方で解ける問題が中学入試で出されていますからね(ラ・サール中学校1994年算数2日目第3問慶應義塾中等部2016年算数第7問など)。

本質的には何も変わりません。

(1)は簡単すぎますね。

文系の人が大問を丸々落としたらかわいそうという出題者の配慮かもしれませんね。

(2)は、(3)を解こうとしたら当然考えることで、名大の理系に合格するようなレベルの受験生ならこのヒントがなくても解けるでしょうね。

(3)は、上で紹介した慶應中等部の解説のように、式を作って消去算に持ち込むこともできますが、慶應中等部の問題ほど設定が複雑ではないので、わざわざ式を作るまでもないということで、式を作らずに解いています。

詳しくは、下記ページで。

 名古屋大学2025年理系数学第4問・文系数学第3問(問題)

 名古屋大学2025年理系数学第4問・文系数学第3問(解答・解説)

因みに、今年の名古屋大学の問題は、文系は3問中2問、理系は4問中2問が小学生が解けるものでした(いずれの問題も高1で配当される数Aの問題)。

 

 

文系の残り1問は数Ⅱの微積で、理系の残り2問は数Ⅲの微積で、出題範囲がかなり偏っていますね。

 

 

 

 次の[ ]にあてはまる適切な数値を解答欄に記入せよ。
 1個のさいころを3回続けて投げるとき、k回目に出る目をXk(k=1、2、3)とする。このとき、
 ・積X123が10の倍数になる確率は[ア]、
 ・和X1+X2、X2+X3、X3+X1が、いずれも6の倍数にならない確率は[イ]
である。
(注)
確率→小学生の場合、とりあえず、すべての場合に対してある場合が起こる割合と考えればよいでしょう。

 

いずれの問題も小学生でも解ける問題です。

前半の問題は東京工業大学(現在は、東京科学大学)の過去問(東京工業大学2012年数学第1問(2))と同じ問題です。

余事象を考えて解いています。

後半の問題は前半の問題と比べるとかなり面倒そうなので、6×6の表をかいてねじ伏せています。

さいころを3個振る問題で、6×6の表をかいて処理する方法をマスターしていれば、2、3分でできますよ。

因みに、前半の問題を6×6の表をかいて解くと、{6×6+3×5+1×(6×6-4-5-6)}/(6×6×6)=1/3となります。

 
解くのに1分もかかりません。
図を見ながらこの式の意味を考えてみるとよいでしょう。

詳しくは、下記ページで。

 東京慈恵会医科大学2025年数学第1問(問題)

 東京慈恵会医科大学2025年数学第1問(解答・解説)

 

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