小川洋子さんの小説で、芥川賞受賞作。


主人公の「妹」は、いっしょに暮らす「姉」の妊娠をきっかけに、日記をつけはじめる。そこには、嬉しさもおめでたさも、嫉妬も羨望もなく、ただ「妊娠」を経て変化していく生理や体が、まるでモルモットの観察実験かなにかのように淡々と綴られる。そしてあるとき妹は、姉のためにグレープフルーツのジャムを作る。人体に有毒な農薬が含まれている、アメリカ産のグレープフルーツだと知りながら。


妹は、表向きはとっても姉思いの良い子。なんでも姉の言うこと聞いてあげる。でも、妊娠=めでたいもの、喜ばなければいけないものという図式への素直な拒否感、抵抗感みたいなものは、1ミリも捨ててない。真逆のような態度が違ったレイヤーで、一人の人間の中に共存する、不気味な小説でした。小川洋子さん、人体のとらえかたが独特でおもしろいな。


 

 




・『首里の馬 』高山羽根子

・『乳と卵』川上未映子

『推し、燃ゆ』 宇佐見りん


・『蛇にピアス』金原ひとみ


・・・・・・・・・・・・・・・


●メルマガはじめました!


主に新刊の連載と、購読者さんからのおたよりにお返事するコーナーなどあり〼。


ご購読はこちらからできます! 初月は無料なので、登録・解除はお気軽に~。

↓↓↓

大原扁理のやる気のないラジオ メルマガ版 (mag2.com)


メルマガタイトル:大原扁理のやる気のないラジオ メルマガ版
対応機器    :PC・携帯向け
表示形式    :テキスト・HTML形式
発行周期    :毎月 第2金曜日・第4金曜日
創刊日     :2021/4/9
登録料金    :550円/月(税込)


・・・・・・・・・・・・・・・・・