小川洋子さんの小説で、芥川賞受賞作。
主人公の「妹」は、いっしょに暮らす「姉」の妊娠をきっかけに、日記をつけはじめる。そこには、嬉しさもおめでたさも、嫉妬も羨望もなく、ただ「妊娠」を経て変化していく生理や体が、まるでモルモットの観察実験かなにかのように淡々と綴られる。そしてあるとき妹は、姉のためにグレープフルーツのジャムを作る。人体に有毒な農薬が含まれている、アメリカ産のグレープフルーツだと知りながら。
妹は、表向きはとっても姉思いの良い子。なんでも姉の言うこと聞いてあげる。でも、妊娠=めでたいもの、喜ばなければいけないものという図式への素直な拒否感、抵抗感みたいなものは、1ミリも捨ててない。真逆のような態度が違ったレイヤーで、一人の人間の中に共存する、不気味な小説でした。小川洋子さん、人体のとらえかたが独特でおもしろいな。
●芥川賞受賞作の本(隠居の本棚より)
・『首里の馬 』高山羽根子
・『蛇にピアス』金原ひとみ
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