川上未映子さんの、2008年第138回芥川賞受賞作。


大阪弁の怒涛の語り倒しに独特の体言止め!のスタイルが心地よくて、私はこれ、つらつらと流れるようにどこまでも読めそうな気がして好き。


内容は、東京で暮らす主人公の夏ちゃんの家に、姉の巻子と、姪の緑子がやってくる。姉は豊胸手術をもくろみ、姪は言葉を発しない。そこには女性が女性に生まれたことで引き受けなければならない身体的・社会的なしち面倒臭さが織り込まれ、大阪弁のユーモアも合わさって、滑稽でつい笑ってしまう。


緑子が利発で、でも本当はお母さん思いで、でもそれをまっすぐのびやかにさせない女性性が立ちはだかる。これ、男性版だと『根と精』とかになるのかな。


川上未映子さんのこの独特の語り口、三作目の『ヘヴン』以降は鳴りを潜めてしまったけど、またこういう怒濤の大阪弁語りの小説読みたいな。


 

 


・『首里の馬 』高山羽根子

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