ときどき、偉人でもなんでもないごくフツーの知人が、用事と用事の間みたいな、名前もついてないような時間に、名言というんじゃないんだけど、いい言葉っていうのでもないんだけど、そのときそこだけで起こる魔法みたいにキラッとするようなことを、無意識にしゃべることがありますよね。
で、あとからそのときの無性に嬉しい感じだけが残って、具体的にどんな言葉だったかは忘れちゃって、あれなんだったっけ?とか思いながらずーっと思い出せない、みたいなさ。
そんなことを、私の代わりにたくさんすくい取って書き留めてくれてるような、小説でした。ものすごい好き!っていうふうにならないところがまた好きです。
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●芥川賞受賞作の本(隠居の本棚より)