感情より理性のほうが優れていると思っている超論理的な人ってたまにいますよね。その思いがつよすぎて、俺ルールみたいなのを設定してめちゃめちゃストイックにがんばって、でも自分の想像をはるかに超えたことや人に出会ったときについボロっと人間らしさが噴出しちゃって、「あんなに見下していた感情に一瞬支配されちゃった俺」に慌てふためいて、なかったことにしたりとかするのがまた人間らしくて、そういうのをときどき目の当たりにすると、プッ、てなるんです。読んでてそれを思い出しました。
この主人公がそう思ってるかは別として、図らずもプッ、てさせる人間的なとこがかわいい! 抱かれたい! だけど「人間、バランスが大事だよ」とか余計なことは言わない。それは控えめだからとかじゃなくて、そのまま突っ走ってくれたほうが、見てて面白いからです。
スクラップ・アンド・ビルド (文春文庫) 594円 Amazon |
●芥川賞受賞作の本(隠居の本棚より)