沼田真祐さんのデビュー作で文学賞新人賞&芥川賞受賞作。

描写が楽しい!山や川や釣りの描写が、沼田さんの文章を読むとまるで5歳児がはじめて体験するようにすべてがキラキラ新鮮に見える。人間が出てこなくても、ただ自然の描写だけでいつまでも読めそうな…。

と、もちろんそれだけでなくて、人間もたくさん出てきます。主人公今野(♂)の、元同僚日浅(♂)に対する、注意深く隠された恋心がたまらんいじらしい。がんばって釣りと晩酌の準備したのに、楽しい時間にできなくて拗ねるところなどよかった。日浅が津波に飲み込まれるところを想像するシーンもよかった。

この日浅ってやつが曲者で、どーしよーもないやつなのに、なぜかみんな気になって好きになって(←ここまではいい)、お金出しちゃう(←ここからダメ)という…。

なんかこう、BL漫画みたいなわかりやすさじゃないところがまた小説好きの私にはグッときましたねぇ。でもBL棚入り決定。