昼食で外に出たとき、「代」と付く青いナンバープレートを見かけた。
ちょうど人が降りるところで、お見受けしたところ、欧米系のキャリアウーマンでいらっしゃる。
同じようなナンバーで「外」の文字が付くものは良く見かけるが、長く東京に居る私でも「代」の文字プレートは、ついぞ観たことがない。
同行の人に聞くも判らず。
「代議士用の車じゃないかな?」
・・・・でも、国会の廻りでも見かけないぞ。
「外交官の車が故障したから代車なんでしょ。」
・・・・そうかぁ、車検とかもあるしね。
「代々木一帯しか走れないんだよ。」
・・・・おいおい。
いろいろ、発想が出る。「代」の文字一つで色々発展するものだ。
結局その場では、「外交官車両の代車なんでしょう」ということで収まった。
だが、国土交通省が発行しているナンバープレートなのに、代車を国交省が用意するだろうか。または、国交省が代車用のナンバーまで発行するのだろうか。そこまで日本の政府は面倒見が良いだろうか。甚だ疑問である。
デスクに戻って早速調べる。
すると何のことはない、「代表部」の車両らしい。
日本には、
欧州連合代表部
国際連合日本代表部
香港経済貿易代表部
台北駐日経済文化代表處
経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部
などがあり、中には、
オレゴン州政府駐日代表部
バイエルン州駐日代表部
ダライラマ法王日本代表部
ドイツワイン基金駐日代表部
フランダース政府代表部
というものもある。
これらすべての代表部がこうした車両を保有しているのかわからないが、「代」の付くナンバープレートはそうした団体の車両を意味するらしい。
ちなみに外交官車両について述べれば、「○」のなかに「外」と書かれたものは、その大公使館の長、すなわち大使・公使の車両を指し、「○」の無い、「外」の付くものは大公使館員の車両を指す。
図は3桁時代のものを私なりにアレンジしたものだが、
車両が多くなった現在では4桁または5桁が多く、最初の2桁ないし3桁が国番号を表すとか。
領事館のナンバーはこれが反転していて白地に青文字。
京都や福岡、札幌といった地方大都市でよく見かける。
さて、この「外」や「領」、「代」の車両、日本の国民にとってこれほど迷惑な車両は無い。
発行者は国交省だが、管理は外務省。 それはよいとして、地方税となる自動車税、国税としての重量税など、納税の義務は発生しない。 ここまでは別段迷惑ではない。
問題なのは、どこへ止めても駐車違反とならず、スピード違反も検問も受けなくてよい。事故を起こしても警察は対応しないということ。(だが、人道的見地からすると、救急対応はするのだろう)
その神聖ともいえるナンバーをつけた車の内部は、その国の領土内という扱いを受け、いかなる日本の国家権力も入ることが出来ない、いわゆる「治外法権」が適用されているからである。
さらに問題なのは、車検の義務も負わないということ。どんなクラシックカーであろうと、動く車であれば、許されるということ。路上でエンスト起こして大渋滞を作っても責任はないわけである。
もっとも、そういう車両を扱う側もそれなりの配慮で運転をしているようなので、表立った面倒騒ぎや事件事故は起きていないようだが。(公表されないから?)
ちなみにこちらは皇室用ナンバー。
直径10センチの円形プレートに「皇」の文字と1・2桁の番号。
天皇・皇后さま用の車両に金の菊紋が付いているのをテレビなどでよく見かけるが、それは御料車であって、おそらくこの御車のどこかにもつけられているのだろう。皇族方の車をお見かけしたことはあるが、このナンバーではなかった。道路運送車両法施行規則第11条第2項によって、その対象となるのは「宮内庁の所管に属する自動車であつて、専ら天皇、皇后又は皇太后の用に供すべきもの」であるとされている。
国の所有であるので、地方税となる自動車税は免除されるが、国税としての重量税の納付義務は発生する。
数日前、通勤途中の丸の内で見つけた、大使専用車。
向かいには、外国銀行があるので、そのお国の大使が来ているのだろう。
やはり堂々と路上駐車をしている。
まあ、いわば日本にいらしてるお客様の代表ですし、これくらい許されてもよいのでしょうけれど。