仲俣申喜男さんの『夜の鳥』。
楽譜を解読中に見えてきたことがあります。
この曲なにしろ楽譜が読みにくい。
電卓とメトロノームを駆使して、複雑極まりないリズムを少しずつ音にしていく。
神経質なまでに細かい指示を反映していく。
すると、そこに、夜の森が立ち現れてきました。
光のない世界のの圧倒的な存在感。
息をひそめたような深夜の森の静寂の音。
なにか命が息づいている気配。
沈黙を破る、水の音、鳥の声、葉ずれの音。
仲俣申喜男さんは、夜の森そのものを楽譜に生き写しにしたのかもしれません。
自然が脈動するゆらぎを、正確な数値や記号として楽譜に残そうとすると、こうも複雑になるのだな。
そして、気付きました。
この曲の中に仲俣さんがいないことに。
作った本人の主義主張どころか、人間の痕跡がない。
彼が最後に達した境地なのかしら?
★本日の即興演奏★
(一日一即興779日目2019年1月26日)
一日ひとつ即興演奏をしています。
なにも考えず、その時その空中に漂っているものをピアノに渡す実験です。
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