日本で一番好きな球場は、楽天生命パーク宮城だ。
高校までを過ごした地にある、ご贔屓イーグルスの本拠地だからというのはもちろんだが、毎年のようにアップデートを重ね、今季時点でおよそ70種もの席種を擁し、珍席種マニアを魅了し続けてくれる「席種の宝庫」っぷりも、大きな理由である。
先日の休場日の今季最初で最後の仙台遠征でも、もちろんぬかりなく未踏の新席種を潜入調査してきたので、ここに簡単に紹介させていただく。
今回初潜入を果たしたのはこちら。
『Asahi CHAMPIONS BARボックス7A』である。
反対側から撮った写真で、球場内の位置を説明すると……
三塁側スタンドの、中央に見える照明塔のちょうど根本。
スーパードライの黄色い看板が目印のこの一角にある。.
照明塔の背後にもスーパードライの看板が見えるように、このあたりはアサヒビールがネーミングライツを取得している席種が、上段にいたるまでの広範囲にわたって広がっている。
いずれも『Asahi CHAMPIONS BAR』の名が冠されているそれらの席種の中から今回選んでみたのは、コンコースから一段上がったところにある7名ボックスである。
コンコースから『Asahi CHAMPIONS BARボックス7A』へは、この区画専用のらせん階段を使って上がる。
このらせん階段の真下にあるのが、ボックス席のネーミングライツになっているアサヒビール直営売店『Asahi CHAMPIONS BAR』である。
いまやどこの球場でも珍しくなくなったボックス席種だが、ここ『Asahi CHAMPIONS BARボックス7A』は、皆様が想像するような作りとはたぶんちょっと違う。というのも……
ご覧のとおりボックス内が上下に分かれているのだ。
上段のボックスはこうなっている。
3名+2名でL字に配されたビニールソファーと、だいぶ小ぶりなテーブル。
カップホルダーも変則的に無理やり人数分用意されている。
そして下段のボックスがこちら。
座面が回転する背もたれ付きの椅子が2脚と、カウンター型のテーブルという構造。
そんな前列2名+後列5名という構造は、なにやらロボットアニメのコクピットのようで子供が喜びそうな、あまり他で見たことのない変則7名ボックス席。
それが横並びに3ボックス。そしてその後方、一段高い位置にあるのは『Asahi CHAMPIONS BARボックス7B』という名のボックス席で、定員は一緒だが区画は長方形で、照明塔の関係で一部見切れになっており、『A』に比べてチケット価格がちょっと安い。
つまりらせん階段上のこのエリアは、合計4ボックスで総定員28名ということになる。
「球団の言う定員通りでつかうとめちゃくちゃ狭い」という「楽天生命パークボックス席種あるある」の例にもれず、たぶん大人7名で利用したら結構きつい。
体格にもよるが、大人5名くらいが適正人数であろうか。この日は3名利用という贅沢な使い方をしたので、ノーストレスだった。
試合中の席からの眺め、上段編。
三塁側上段スタンドの一番前に、いわばテラスのように設置されている席なので視野が広く、視界を通行人に妨げられたりすることもないので、すこぶる快適である。
それが下段になると……
普通に腰かけると目の前の鉄柵が見事に視界に入ってきてしまうので、グループ利用の際は座高上位2名を前列に配するのがよさそうだ。
独立区画のためか、基本的に売り子さんは来ないが、呼べば上がってきてくれるようだ(隣のボックスの方々が呼んでた)。もちろんアサヒ以外でも。
自分はせっかくアサヒビールの席に座ったのだからと妙な義理を感じ、試合中の全ビールを足元の『Asahi CHAMPIONS BAR』で購入。それで気付いたが、売店まで徒歩20秒という席の立地は、地味だがわりと大きなメリットだ。
そんなわけで今回初潜入を果たした、世にも珍しい二段式ボックス『Asahi CHAMPIONS BARボックス7A』。
せっかくのグループ観戦なのに区画内で分断されてしまっては……?と思われるかもしれないが、高低差は多少あるが距離は近く会話に困ることはないので、そこまでの隔絶感はない。
むしろ一度の観戦でテーブルボックスとカウンターシートの両方を一度に楽しめる席種と考えると、珍しいしお得感もわいてくる。
ボックス席ならではの半個室感も十分あるし、フィールド方向の眺めも(上段ならば)良好であり、数ある楽天生命パークのボックス席種の中では、比較的良席の部類かと思う。
チケット価格は7名18900円(@2700円)~32200円(@4600円)の変動制で、この日は月曜ということもあって18900円。
この球場の他のボックス席種と比べ、チケット価格がリーズナブルに設定されているのも高ポイントだ。
ちょっと変わったグループ観戦をしてみたい方にはお勧めできる、総合的に見てなかなか良い珍席種である。
冒頭でも触れたように、個人的に「席種の宝庫」と呼んで愛している楽天生命パーク宮城。
その「宝庫」っぷりを如実に物語る、この10シーズンの席種調査リストは以下のとおり。
⑥「セブンイレブン・ピクニックボックス(芝)」(2016.05)
⑧「エキサイティングフィールドシート(三塁側)」(2016.07)
⑳「レフトEウィング ピクニックボックス(芝)」(2019.4)
もうない席種や、ただの遊具なども含まれてはいるが、初めて楽天生命パーク宮城に足を運ぶ方、たまには変わった席種に座りたいとお考えの方がいらっしゃれば、何かの参考にして頂ければ幸いである。
コロナ禍の影響で、3シーズン続けて年に一度しか足を運べなかった、ゆえに席種開拓も思うように進められていない楽天生命パーク宮城。
完全なる平和、かつての日常が戻った暁には、まだまだ残っている未踏の席種をガンガン攻めたいと思う。
11年目を迎える来季は、仙台に限らず多くのご無沙汰球場に足を運べる平和が戻ることを願ってやまない当スタジアムへの皆様のご来場を、引き続き心よりお待ちしております。