◆ 「真の持統女帝」顕彰 
~反骨と苦悩の生涯~ (10)





体調不良が続く影響で、記事を上げる神社等が枯渇してきました。

昨年末辺りから慢性化しつつありますが。

上げるに上げられないほど、精力的に参拝を続けていたのは遠い過去に…。

体調もまだまだ万全ではないため、
無期限にて1日1記事のUPにとどめ、テーマ記事の割合を増やして凌いでいこうと思います。


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■過去記事
(1) … プロフィール 1
(2) … プロフィール 2
(3) … 出生~父天智天皇崩御
(4) … 壬申の乱 1
(5) … 壬申の乱 2
(6) … 壬申の乱 3
(7) … 天武天皇即位
(8) … 泊瀬斎宮と神宮派遣
(9) … 天武天皇と陰陽道

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■「龍田の風神」と「廣瀬の大物忌神」

◎天武天皇即位四年(675年)四月十日

━━小紫の美濃王、小錦下の佐伯連広足を派遣し風神を竜田の立野に祭らせた。小錦中の間人連大蓋(ハシヒトノムラジオオフタ)、大山中の曾禰連韓犬(オオソネノムラジカライヌ)を派遣して大忌神を廣瀬の河曲に祭らせた━━

以降、毎年四月四日と七月四日の年二回、「大忌祭(おおいみのまつり)」と「風神祭(かぜのかみのまつり)」が行われました。紀には
朝廷が行う「定例祭(四時祭)」にこの二祭が列記されています。

「竜田の立野」 → 風神 → 龍田大社

「廣瀬の河曲」 → 大忌神 → 廣瀬大社


これは天武天皇、その後を引き継いだ持統天皇にとって甚だ重要な祭でした。

一般に言われる「龍田大社の風神」と「廣瀬大社の水神」ではなく、「廣瀬大社の大物忌神」としていることが重要。
「悪神」である風神を「忌む」(押さえつける)大物忌神という構図になっていました。

表向きは稲作に被害をもたらす「悪神」である風神ということになっており、もちろんそれも重要なことですが、それよりも重要なことがありました。

いわゆるクーデターにより新政権を打ち立てた天武天皇。悉く都に対しての要衝を守る施策を行っています。
そしてもっとも危険な地であると判断したのが龍田大社の地。大和を取り囲む要衝のうち、この地のみが水陸両用の地であったからだろうと判断されます。

この「風神祭」と「大忌祭」は結局、平安末期まで続けられました。既に都は京へ、また天武天皇系の皇統は断絶していましたが。

一昨年末~昨年半ばにかけて計8回に渡り、これをテーマにした記事を上げ詳述しました。以下にリンクを貼っておきます。

◎【「龍田の風神」と「廣瀬の大物忌神」】

なお官職名「小錦」は、天武朝においては皇族ではない一般氏族の最高官位。


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(百濟王神社の境内掲示物より)



■対外政策

◎唐と新羅

当時の東アジアの海外情勢はというと…
中国は唐、朝鮮半島は新羅、この2国のみ存在しました。

百済は660年に唐の侵攻により滅亡。遺民たちが倭国と組み、662年に「白村江の戦い」を起こすも大敗し完全滅亡。
高句麗は668年に唐・新羅連合軍の侵攻により滅亡。旧領には唐により安東都護府が設置され
ています。

紀には新羅との密接な外交が事細かに記されています。
新羅側とすれば自国の保守に必死であったのだろうと思いますし、倭国側も新羅の反乱抑止や大国である唐の情勢の入手など、こちらも緊張感を持った上での密な外交であっただろうことは察っせられます。

中国の兵法には「遠交近攻」(遠きに交わり近きを攻む)という戦術があります。

これに従うなら唐は倭国と交わり新羅を攻めるということになります。もちろん新羅はそれを知っていたでしょうから、倭国とは親密に外交を行っていたことと思います。かなり必死だったのではないかと。

そもそも天武天皇が新羅の皇族説もあるのですが、ここでは触れないでおきます。

また「高麗」も天武天皇即位にあたり使者の朝貢があったからとの記述があります(当時は「高句麗」を「高麗」と表記する)。これは遺民たちからのものと思われます。
他に耽羅国からも朝貢等が度々みられます。こちらは朝鮮半島南西沖の小島「済州島」。

一方で唐からの使者による朝貢は無かったようです。倭国からの朝貢も行っておらず、天武天皇の御宇には唐とはほとんど外交を行っていません。唐とは対等の立場でいようとしたことが窺えます。


(百濟王神社の境内掲示物より)



今回はここまで。

持統天皇をテーマとしたテーマ記事ですが、ほとんど天武天皇の記事になってしまいました。

これらのことを含めての持統朝なので、流行る気持ちを抑えつつ取り組んでいます。
ご理解頂けましたらさいわいです。

次回は今回と大いに関わりますが、「国防政策」といったところに焦点を当ててみたいと思います。




*誤字・脱字・誤記等無きよう努めますが、もし発見されました際はご指摘頂けますとさいわいです。