こちらは「飛鳥板蓋宮跡」。ここに「飛鳥浄御原宮」が営まれたとされる。





◆ 「真の持統女帝」顕彰 
~反骨と苦悩の生涯~ (7)





ずいぶんと間が開いてしまいました。

どこが月一をメドにや…。



天武天皇元年(672年)七月二十三日に大友皇子が自害し、「壬申の乱」は終戦を迎えました。前回の記事はそこまで。

この後、戦の論功行賞等が始まります。


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■過去記事
(1) … プロフィール 1
(2) … プロフィール 2
(3) … 出生~父天智天皇崩御
(4) … 壬申の乱 1
(5) … 壬申の乱 2
(6) … 壬申の乱 3

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◎「飛鳥浄御原宮」へ!

*天武天皇元年九月八日~十二日
四日間をかけて飛鳥の「嶋宮」へと戻ります。
冬には「飛鳥浄御原宮」が造営されています。

「飛鳥浄御原宮」は「飛鳥板蓋宮跡」の地に営まれたとするのが近年の趨勢であるとか。

この宮はこれまでのものとは異なると考えられています。先ずこれまでは地名が宮名となっていたものが、明らかに「浄御原」という異質の宮名となっています。

この「飛鳥浄御原宮」は2箇所に記されます。
◆一つは上述の天武天皇二年の条に、━━宮室を岡本宮の南に営る。即ち冬に遷りて居します。是を飛鳥浄御原宮と謂ふ━━と。
◆今一つは朱鳥元年七月二十日の条に、━━元(元号)を改めて朱鳥(あかみとり)元年と曰ふ。仍りて宮を名づけて飛鳥浄御原宮と曰ふ━━と。

察するに宮名が付けられたのは、朱鳥元年の時ではないかと。すると天武天皇二年の時には宮名が無かったことになるのですが。

これについてはWikiが、━━「浄御原」は一種の嘉号であり、朱鳥年号とともに、不祥を祓い天皇の病気平癒を願ったものであるという━━としています。

次に異質であるのは、それまでが天皇の御代替わりとともに宮は移されていたものが、天武・持統朝と2代に渡り営まれました。
これについては史上初めて夫婦で皇位が継承され、夫でもあった天武天皇の遺志を引き継いだとも考えられますが。

いずれにせよ、孝徳天皇の「難波長柄豊碕宮」、天智天皇(弘文天皇も含むか)の「近江大津宮」と続き、飛鳥へ都を戻すべきだと考えたのであろうかと。

天武天皇の御代から、歴史は大きく変わったと捉えるべきかと思います。これは堅固な基盤を元にした強力な中央集権国家を築いたから。

それができた理由としては戦にて勝ち取った政権であること、また大海人皇子軍が有利な戦況をみてどんどん味方になっていったこと、そして天武天皇が稀代の明晰な知性、優れた決断力、カリスマ性を持っていたことによるもの。

ところが天武天皇をも上回るそれらを持っていたのは、実は持統天皇だったのではないかと思ってみたりもするのです。

この後しばらくは、新羅からの来朝など宴が催されたり、引き続き論功行賞が行われたりなどが続きます。戦勝の余韻に浸る期間であったとも思います。それはそれはもう…大変な戦だったでしょうから。



◎ついに即位!

*天武天皇二年二月二十七日
「飛鳥浄御原宮」にて天武天皇即位。

*后妃夫人、子女が一覧の如く記されます。
皇后 … 菟野皇女(鸕野讚良)
子 … 草壁皇子尊

妃 … 大田皇女(皇后の姉)
子 … 大来皇女、大津皇子

妃 … 大江皇女
子 … 長皇子、弓削皇子

妃 … 新田部皇女
子 … 舎人皇子

夫人 … 藤原大臣
子 … 氷上娘
孫 … 但馬皇女

夫人 … 五百重娘(氷上娘の妹)
子 … 新田部皇子

夫人 … 大蕤娘(オオヌノイラツメ、蘇我赤兄大臣の娘)
子 … 穂積皇子、紀皇女、田形皇女

その他
額田姫王(鏡王の娘)
子 … 十市皇女

尼子娘(胸形君徳善の娘)
子 … 高市皇子命

カジ媛娘(「カジ」は木へんに殻、宍人臣大麻呂の娘)
子 … 忍壁皇子、磯城皇子、泊瀬部皇女、託基皇女

鸕野讚良(後の持統天皇)の姉である大田皇女が、鸕野讚良より先に妃入りしています。
ところが第3回目の記事でも記したように、先代の天智天皇が即位する前に早くに薨去しています。おそらくは既定路線なら大田皇女が皇后となっていただろうと思われます。

大津皇子(母 大田皇女) → 天智天皇二年(663年)生誕。
草壁皇子(母 鸕野讚良) → 天智天皇元年(662年)生誕。
つまり後から妃入りした鸕野讚良の方が先に皇子を産んでいます。

この後重要となってくるのでもれなく載せておきました。周知の通り皇位継承問題があるのです。

それにしてもお相手の多いこと…。




今回はここまで。


壬申の乱で最上級の活躍をした高市皇子。母(天武天皇の後宮)は宗像(胸形)氏の血を引いており、天武天皇の力添えで創建されたのが、この桜井市外山の宗像神社(式内名神大社)と考えられています。


*誤字・脱字・誤記等無きよう努めますが、もし発見されました際はご指摘頂けますとさいわいです。