◆ 「二上山」慕情
【 ~6 弥生人と二上山 (2)】
これまで火山活動により「二上山」が誕生したとされる中新世(およそ1万4000年前に終息)から、旧石器時代、縄文時代にかけてつらつらと綴ってきました。
そして前回の記事では弥生時代にまで進めました。今回はその続き、弥生時代の2回目を。
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前回の記事では、
「三輪山」山頂と「二上山」の谷間を結んだ線上の地で、春秋分の日が分かり、
春分の日になると田植え開始、
秋分の日になると収穫が開始されると。
その日がやがて神事となり、
ちょうど中間の地で行われるようになった。
その中間地というのが
多坐弥志理都比古神社の境内であったと。
このように推測しここまで話を進め、
その神事というのは一年の稲作の開始と終了というものに留まらない…と。
今回はそれがさらに発展する話を。
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コペルニクスやガリレオなどにより…
(トンデモないところに話がいきますが…)
太陽が中心で、地球など他の惑星はくるくる自転しながら太陽の周りをゆっくり公転していると分かりましたが…
(つまり「地動説」)
もちろん日本でも例外ではなく
地球が中心で太陽やら惑星が回っているのだと思っていました。
(つまり「天動説」)
一日に一度、
東の山脈から太陽が昇り…
西の山脈へと太陽は沈む…と。
大和盆地で言えば春秋分の日にのみ
「三輪山」山頂から太陽が昇り
「二上山」の谷間へ沈むと。
これを古代人は
「太陽の死と再生」と考えたと言います。
つまり
「太陽の再生」の山が「三輪山」であり
「太陽の死」の山が「二上山」であると。
このような感性は、盆地にどっぷりと浸かって以降のことだと思います。山中で生活しているとこのような感覚は芽生えないかと。
そしてこのような思想は
少なくとも飛鳥時代までは続いたのではないかと考えています。
(平城京に遷都されると、太陽が昇るのは「春日山」、沈むのは「生駒山」になる)
「二上山」の西側(大阪府側)は「王陵の谷」などと称され、敏達・用明・推古・孝徳と各天皇や聖徳太子の御陵が築かれた地。
「太陽の死」を伴う「二上山」の山麓に
自身を葬ったように考えています。
或いは魂の再生が「三輪山」方面からなされるとでも考えていたのでしょうか。
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さて…また唐突に。
「北緯34度32分」を「太陽の道」としたのは小川光三氏。
厳密に言うと小川源三氏の説に大いに共感したNHK番組ディレクターが、
「太陽の道」と名付けて「知られざる古代 ~謎の北緯34度32分をゆく」という特番を放送したのが始まり。1980年のこと。
一大センセーションを起こしました。
あまりの明確すぎる説に
この手のものでこれ以上の説は存在しない!などとも思っています。
小川光三氏は「大和の原像」という著書の中で、
「三輪山」を核としたさまざまな「太陽祭祀」について触れておられます。
そのうちの一つが「北緯34度32分」。
「三輪山」山頂と「二上山」谷間を結んだ線の、
「少し北側」がこの緯度に当たります。
(「少し北側」というのが難ありなのですが…)
この「北緯34度32分」を古代人が意識していたというのは明白。
もちろん「北緯…」などというのは後の時代のことであり、また空中に線などは今も昔も存在しません。あくまでも太陽の進行から導き出されたもの。
実はこういったものは弥生時代に始まったものではないかと。
現在にも残された「磐座」を調べていくと、早くは旧石器時代から始まっているであろうことが分かります。
数十mもあるような巨石の表面を平らに削り、真南や真東真西などに向けて立て起こし据えているものが多く見られます。
個人的には「磐座」は、
必ず何らかのメッセージを放っていると考えています。
上記のようなものも一例ですが、
天体(星)を反映させたと思われるものもあったりと、
すべてかどうかの確証はないものの、
太陽、星、月に対しての信仰がほとんどであると思います。
そうでなければこれほど正確に真東や真西、真南などには向けられない。
また近頃流行り言葉の「レイライン」。
それで導き出される「ライン」は太陽、星、月に対しての信仰の延長であろうと思います。
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恒例の脱線をしましたが…
「北緯34度32分」については
ネット上であまりに多く出ていますのでこちらでは割愛。
こちらではその「太陽の道 北緯34度32分」上にある神社や遺跡を上げておきます。
◎~「二上山」
磐岩神社(岡山県浅口市) … 磐座群(未参拝)
舟木石上神社(淡路島) … 磐座群
大鳥大社 … 和泉国一ノ宮
萩原神社(萩原天神) … 日置氏の「日祀り」祭場
飛鳥戸神社… …式内社
◎「二上山」~「三輪山」
稲荷社(香芝市磯壁) … 長山神社か
天照皇大神社(日大御神社)
白山神社(桜井市豊前) … 式内社
☆箸墓古墳
◎「三輪山」~
☆春日宮天皇后陵 … 古代祭祀場を古墳と間違え治定したと考えられる
☆天満社裏山遺跡(榛原長峰) … 環状列石あり
☆「鎧岳」 … 門僕神社の御神体山とされる
☆「俱留尊山」
☆伊勢斎宮
☆神島(伊勢湾)
※掲載は一部、他にも多くあります。
※小川光三氏、NHKディレクター(水谷氏)が取り上げていないものも掲載しています。
※ 小川光三氏が上げているもののうち、「北緯34度32分」から少々外れているものは外しています。
磐座、古代祭祀場、太古よりの神社
…と目白押し。
大和国内で有名なものは、
あとは「與喜山」を乗っ取った長谷寺などという仏教施設も。
これだけあれば凄いことか~とも。
いずれにしても
「三輪山」と「二上山」とを結んだ線より「少し北側にずれている」のが不可解なのですが。
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今回はこのテーマ「二上山慕情」のメインともなる回でした。
熱くなりすぎないようにクールにクールに…としたら、案外あっさりし過ぎ?かも。
後日、追加補正するかもしれません。