極真空手の基本稽古には「手刀顔面打ち」と呼ばれる技があります。

手刀顔面打ちは名前の通り、顔面を打つと教わります。

手刀顔面打ちを格闘技の試合で見る事はほぼありません。

殆どの格闘技では顔への手刀が反則である事が理由です。

しかし、仮に手刀が反則でなかった場合、顔の横に手刀を打つ事は効果的なのでしょうか?

 

殴った方が速い?

実際に手刀顔面打ちがこめかみ付近に当たればそれなりに効果はあります。

しかし同じ条件ならばパンチを当てた方が速く、効果的に思えます。

果たして手刀である事の優位性はあるのでしょうか??

それはグローブと素手とで大きく異なります。

 

グローブを付けてこめかみを叩くと脳を揺らし平衡感覚を失わせる効果があります。

しかし素手の場合、まともに当たれば同様の効果がありますが、こめかみ上の硬い前頭骨や頭頂骨に当たると、打った方の拳が壊れてしまいます。


脳を揺らす打撃ではない

素手で頭部を殴る事は拳を壊すリスクがあります。

手刀ならば拳を壊すリスクはかなり減ります。

しかしパンチに比べると強い衝撃を与える事が出来ません。

確実にこめかみに当たれば効果的ですが、パンチと同様、こめかみ上の硬い骨に当たる事も考えられます。

その場合、殆どダメージには繋がりません。

 

そこで打撃に対する考え方を根本的に変える必要があります。

それは

 

頸椎にダメージを与える打ち方

 

を知る事です。

硬い前頭骨や頭頂骨に手刀を当てた際、頭部を支える頸椎に負荷が掛かるよう、フォロースルーを利かし、重さを与える打ち方にします。

その為には腕を剛体化させ、腰を十分に回す必要があります。

 

現代の打ち方と大山総裁の打ち方

現代見られる多くの手刀顔面打ちは手を頭部の後ろに置いてから打ちます。

しかし大山倍達総裁の打ち方は手を後方に下げてはいるものの、頭部の後ろに置く形にはなっていません。

同じ振りかぶるでも、

 

手だけを振りかぶっているのか?

腕全体を振りかぶっているのか?

 

の違いがあります。

手だけを振りかぶった現代式の打ち方はスピードは乗りますが重さが乗りません。

腕全体を振りかぶった大山総裁式の打ち方はスピードは乗りませんが重さが乗ります。

 

硬い前頭骨や頭頂骨に手刀を当てる際は、現代式の打ち方はダメージには繋がりずらい性質があります。

しかし重さが乗った大山総裁式の打ち方は、頭部を支える頸椎自体にダメージを与える性質になります。

 

いつ打つのか?

いくら大山総裁式の打ち方が強くても、当たらなければ意味がありません。

振りかぶる動作が伴った手刀打ちは、どんなに速く行っても二動作掛かり、当てる事は困難です。

よって、手刀顔面打ちは組み合いを含めた接近戦で使用されると考えられます。

 

1.片方の腕を相手と自分の間に入れます。

2.同時に腕を後方に振りかぶります。

3.こめかみ目掛けて打ちます。

 

大山総裁の口伝

さて、接近戦で手刀顔面打ちを放つ際、当てる場所(こめかみ)を見て打とうとすると、

 

・振りかぶりが小さくなる(≒威力が低下する)

・相手に狙いがばれる(≒命中率が低下する)

 

等のリスクが生まれます。

しかし、

 

・手を自分の後ろに置く

・自分の目の高さに打つ

 

事を心掛けて打つと、大山総裁式の強い手刀顔面打ちが当てやすくなります。

「自分の目の高さに打つ」

は大山総裁が手刀顔面打ちの指導の際におっしゃられています。

目の高さに打つように心掛けると、相手のこめかみを見ずに打て、当てる事ができます。
白帯に語る基本稽古の注意点が、実は秘伝に繋がる口伝だったと言えるのではないでしょうか?

 

先人の言葉には深い意味があると考え、稽古に臨むことで、大切な気付きを得る事に繋がる事があります。

先人の言葉を深く考察するキッカケにして頂けると幸いです。

 

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