大山倍達総裁の正拳突きの際の腕の形は、手首や肘の角度がいびつでキレイではありません。
少なくとも、現代打撃格闘技のセオリーには反したフォームをしています。
さらに大山総裁は打撃の破壊力を生み出すには、
「体重+速さ+握力」
と主張していました。
しかし現代格闘技では、
「パンチと握力には特に相関関係がない」
という考え方が主流です。
ではなぜ大山総裁は、現代格闘技の考え方に反し、正拳突きの際の腕の形はいびつで、握力の重要性を主張したのでしょうか?
・打撃のセオリー
格闘技では突きを放つ際、拳と前腕を揃える事が基本です。
ズレていると衝突時に手首に負担が掛かり怪我に繋がるリスクがあります。
そして前腕を対象に対して垂直に当てると、威力が伝わりやすくなります。
垂直出ないと威力が充分に伝わりません。
・拳に大きな力を加わえると…
打撃のセオリーを守り、拳と前腕を揃えます。
その状態から相手に拳を押してもらい、形が崩れないよう耐えます。
結果、肩から力が逃げてしまいます。
どんなに力を入れても、より大きな力が加わると、最終的には肩から力が逃げてしまいます。
・剛腕の作り方
極真空手の基本稽古は、
1.三戦立ちの構え
2.両拳を合わせる
3.右拳を引く
から行います。
この時の「両拳を合わせる」動きを行う際、
・肘が下向きになった状態を維持する
・肘が開かない
ように心掛けます。
すると、拳を返す動きと、肘を締める動きが拮抗し、アイソメトリック的に手首から前腕部に力が入ります。
この状態が大きな衝撃に耐えられる腕の形です。
この腕の状態を便宜上、
剛腕
と呼んでいます。
・剛腕の検証
剛腕を維持した状態で、拳を正面から相手に押してもらいます。
結果、手首、肘、肩いずれからも力が逃げず、耐える事ができます。
次に腕相撲で検証します。
先ずは通常の腕相撲の形で、相手は両手を使って勝負をします。
片手対両手では負けてしまいます。
次に剛腕を維持した状態で腕相撲の形を作り、相手は同じく両手を使って勝負をします。
剛腕を維持した状態を崩さずに、体幹を傾ける事で連動して腕が傾くようにします。
結果は圧勝です。
・剛腕が強固な理由
手首と肘を僅かに曲げる、且つ前腕部に力が入り、その形が崩れない様は、五重塔が地震でも倒壊しない仕組みと似ています。
剛腕は、
手首・肘・肩が、“わずかにブレる”
事が特徴ですが、この“わずかにブレる”事によって、拳に掛かる反作用が1か所に集中しないよう、手首・肘・肩に分散します。
その上で、手首から前腕の筋肉にアイソメトリック的に力が入った状態になる事で、しなやか且つ強固な腕となります。
・握力と剛腕の関係
大山総裁は打撃の破壊力を生み出す要素の一つに「握力」を主張していました。
おそらく大山総裁が主張する握力のあり様とは、単純に握力測定で計測する時のような握り方ではなく、
拳を返す動きと、肘を締める動きが拮抗した、アイソメトリック的な状態
すなわち剛腕を作った状態の力の入り方だと思われます。
確かに単純に握る時も、剛腕を作る時も、握り込んでいる事には違いありません。
しかし力の入り方は全く異なります。
単純な握力はただ握るだけですが、剛腕は握る事に加え、正拳突きの“拳の返し”が加わります。
よって、手首から前腕に掛けて働く筋群が増えます。
大山総裁が主張した「握力」、そして当時は珍しかった「力を付ける事の重要性」は、剛腕の特性を理解する事で、実感できるかも知れません。
剛腕を活かした突きやその他の技については、また別な機会に解説させていただきます。
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