極真空手の立ち稽古では裏拳顔面打ち、又は裏拳正面打ちと呼ばれる技があります。
裏拳顔面打ちは、現代と大山倍達総裁存命時の昭和期とでは動きが異なります。
現代の裏拳顔面打ちは構えた所からそのまま拳を放ち、スナップを効かせて打っています。
大山総裁の裏拳顔面打ちは構えた拳をアッパーのように突き上げるように打っています。
昭和の極真空手の本にはスナップを効かせて打つように明記されています。
しかし大山総裁の裏拳顔面打ちはスナップを効かせているように見えません。
なぜなのでしょうか?
先ずはそれぞれの使い方を考察し、その理由を考察します。
現代の裏拳顔面打ち
スナップを効かせて打つ現代の裏拳顔面打ちは牽制として使用されると考えられます。
しかし、手打ちでは多少の痛みを与える事ができても、牽制としての役割も不十分です。
威力化するには、腕を脱力させ、腰を震わせ、腕を鞭のようにして放ちます。
打ち方の例
・正面から打つ
・払った手でそのまま打つ
大山総裁の裏拳顔面打ち
大山総裁式の裏拳顔面打ちはアッパーのように突き上げるように打っています。
威力化するには腰を入れ、腕と体幹を剛体化させます。
この時、現代の裏拳顔面打ちのように腕を脱力するのでなく、
小指側を内側に“瞬間的に”締めます。
瞬間的に締める動きによって、手首が外側に曲がります。
いわば、
剛的なスナップ
として拳が放たれます。
そうすることで全体重を拳に伝える裏拳を放つ事ができます。
打ち方の例
・相手がボクシング的な構えをしている時
ボクシング的な構えをしている相手に、いきなり正拳突きを放っても当たりません。
そこで、相手のガードの間を狙います。
当てる場所は人中を狙います。
顎を狙おうとすると、手首を内側に曲げる必要があり、裏拳では無くなります。
すなわち「剛的なスナップ」が使えなくなります。
ボクシング的な構えの相手に対して、剛的なスナップによる裏拳顔面打ちを放つ事で、
結果的に拳頭が人中に当たります。
・組まれた時
ムエタイの首相撲のような攻防や、柔道の組合いのような攻防でも効果的です。
この時、現代式の脱力によるスナップを効かせた裏拳は、威力化に必要な体勢を作る事が難しく、仮に当たっても効果が半減します。
しかし大山総裁式の剛的なスナップによる裏拳は、組合いの体勢からでも充分な威力で放つ事ができます。
どちらの裏拳顔面打ちを稽古するにしても…
現代式と大山総裁式、どちらを稽古するにしても、威力化する為の稽古が必要である事は言うまでもありません。
しかし現代では、基本稽古で行う裏拳を威力化するよう心掛けて稽古する人はあまりいないように感じます。
その理由はおそらく「試合で使わないから」だと思われます。
しかし、試合で使わない技であっても、裏拳を威力化させる稽古は、身体の使い方の幅を広げる良い稽古になります。
是非参考にしてください。
【蘇る空手最強伝説】
1.空手の気合いと表情の効果:打たれ弱い人と打たれ強い人の違い
↓セミナー参加をご希望の方はこちら↓
LINE公式アカウント登録者募集中〈DVDの一部が無料視聴できます〉
https://lin.ee/vVzb6cz
川嶋塾ホームページ(上級者向け)
川嶋空手教室(初級者向け)
https://karate.kawashimayu.com/
動画チャンネル(空手や武術やコアな情報を発信中)
https://www.youtube.com/channel/UC1SKpkLky1mYmwFACEJb1sA
著作・DVD一覧(新作順)