極真空手の基本稽古には「肘打ち下ろし」があります。
基本稽古で行う肘技は多くの場合、騎馬立ちで行います。
一方、八極拳にも腰を落とした馬歩から行う肘技があります。
同じ腰を落とした肘技ですが、
空手の騎馬立ちでの肘技は正面に打つ
八極拳の馬歩での肘技は側面に打つ
という違いがあります。
なぜこのような違いがあるのでしょうか？
空手の騎馬立ち
空手の騎馬立ちは流派によりますが、極真系では体幹がやや斜め、膝が前に出過ぎない事が大半です。
その理由は組まれた時に崩されない為です。
相手がタックルを仕掛けた際、体幹が垂直なままだと、崩されてしまいます。
その為、タックルに合わせて体幹を前に傾け、がぶるように耐える必要があります。
そこから有効な空手の技は肘打ち下ろしです。
格闘技では背中への肘は反則ですが、武術的には合理的です。
このような局面を想定した際、空手式の体幹がやや斜めになる騎馬立ちが求められます。
また、必然的に肘は自分の正面に向かって打つ形となります。
中国武術の馬歩
一方、中国武術の馬歩は、流派により違いがありますが、多くの場合、仙骨を入れる事で体幹が垂直に近くなり、膝が前に出ます。
その理由は打撃力を挙げる為だと思われます。
同じ技を体幹をやや斜めにした騎馬立ちでおこなっても、充分な威力は出ません。
空手×八極拳
馬歩の利点を知る事で空手に活かす事もできます。
〈例〉…平安その二1挙動目、ナイハンチ背刀打ち
守破離の破
「基礎、基本の意味を理解し、反復し、習得する」
という守破離の「守」の時期が長い人には、他ジャンルの技術を取り入れ応用する試みも大切です。
今回は八極拳の要素を取り入れた技術を紹介しました。
以前大山総裁式の正拳突きの解説では、ボクシングの要素があると述べました。
他ジャンルの要素を取り入れる試みは守破離の「破」に該当します。
基礎や基本の意味を理解し、充分反復し、技術が一定水準に達した方、目安として黒帯の方は、守破離の「破」の考え方を是非参考にしてください。
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