空手には上段受け、又は揚げ受けと呼ばれる受け技があります。
しかしこの技は、組手では殆ど見られない技です。
しいて言うなら、上段蹴りを受ける時に、若干上段受けに似た形になるぐらいです。
しかし空手に限らず、他の格闘技では顔面パンチに対して上段受けで受けている場面は殆ど確認できません。
伝統的な約束組手で行われる追い突きであれば、上段受けで受けられます。
しかし追い突きを受ける事ができるのは、追い突きが予備動作が大きく、突いた拳を引かないからです。
格闘技やケンカでは、追い突きのように突いてきません。
もっと予備動作はと少なく、突いた手は素早く戻し、何度も突いてきます。
上段受けは使い勝手が良いとは言えません。
ではなぜ、空手の多くは上段受けを学ぶのでしょうか？
対武器
空手は本来武器術が含まれます。
よって、棒等の長物を振り下ろしてきた相手に対して受けようとすると、必然的に上段受けの形になります。
またトンファーを持つことで、刀の振り下ろしを上段受けで受ける事も可能になります。
大山総裁の上段受け
大山総裁の基本稽古の上段受けは、軸をずらしながら受けています。
また、大山総裁の上段受けは肩が上がる形、すなわちショルダーブロックのような形が見られます。
大山総裁はボクシング経験がある為、必然的に顔面パンチに対して対処する際、ボクシングの要素が含まれたのかも知れません。
大山総裁の動きや写真を基に、上段受けの用法を考察します。
受け飛ばし
相手のパンチに対して、ダッキングをします。
この時、上段受けの準備をしながら相手の体当たりをします。
相手と接触すると同時に上段受けの形を作る事で、相手を大きく飛ばすことができます。
受け崩し
相手のパンチに対してショルダーブロックの形を作りながら上段受けの準備をします。
ショルダーブロックの形を作る事で、相手のパンチが速く、受ける前に当たっても致命傷にはなりません。
上段受け受けをしたら、そこで止まらず、転掌掛けをします。
転掌掛けによって体勢が崩れる為、相手は二発目を出すことができず、こちらの突きを当てる事ができます。
交叉法
相手のパンチに対して上段受けで受けると同時に、その手で突きます。
この受け方は真樹日佐夫先生が動画で紹介しています。
軸をずらす上段受け
軸をずらす、すなわちヘッドスリップのように頭部の位置をずらす上段受けは、速い攻撃にも対処しやすくなります。
・ジャブに対して
軸をずらさない上段受けでは防げません。
しかし、軸をずらす上段受けによって防ぐ事ができます。
・棒の高速打ち下ろし
軸をずらさない上段受けでは防げません。
また不用意に手を出すと腕を打たれてしまいます。
しかし、軸をずらす上段受けによって防ぐ事ができます。
いかがでしょうか？
大山総裁の動きや写真を基にして考察した上段受けは、とても使いやすいことが実感できるでしょう。
空手の上段受けが使えない、使いづらいと感じている方は、ぜひお試しください。
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