極真空手の基本稽古(立ち稽古)では三戦立ちで行います。

その理由は前項で解説した

 

・剛腕の養成

・金的防御

 

があります。

しかし、それらの動きは基本開始時です。

その後の技も三戦立ちで行うのはなぜでしょうか?

その理由を解説します。

 

・反撃を想定しない最強のパンチ

相手の反撃を一切考慮せず、予備動作も一切考慮せずにパンチを打っても良いのならば、

 

「身体を突っ込みながら殴る」

 

という動きになります。

パンチングマシーンでパンチ力を計測する際は、このように殴ると高い数値が出ます。

いわば“反撃を想定しない最強のパンチ”です。

しかし当然、このままの動きでは、実際の戦いでは使えません。

そこで、ここから少しずつ“反撃を想定しない最強のパンチ”から、威力を低下させずに、

 

“反撃を想定する最強のパンチ”

 

に近付けてゆきます。

 

・相手が反応しずらい運足

「身体を突っ込みながら殴る」

の欠点は運足の段階で相手に反応される事です。

そこで少しでも相手が反応しずらい運足にするには、

 

・頭の高さを変えない

・足の裏を床すれすれにする

 

ようにします。

それだけで格段に速くなり、相手は反応しずらくなります。

この動きに突きを合わせると、

 

・追い突き

 

に近い形になります。

 

・急ブレーキ

運足が伴った突きは、回避された時に大きな隙ができたり、転んでしまう事があります。

そこで、運足後に急ブレーキを掛けます。

その際、足は内側に向けます。

前に向いたままでは止まりずらく、無理をすると、肉離れ等の怪我に繋がるリスクがあります。

 

・移動稽古のエネルギーが伴った立ち稽古

実際の戦いでは、間合いは常に変化します。

よって、大きく踏み込んで突く事もあれば、小さく踏み込んで突く事もあり、その場で足を止めて突く事もあります。

しかし、小さく踏み込んで突く場合でも、その場で足を止めて突く場合でも、大きく踏み込んで突くと時と同じエネルギーを込める事が理想です。

その為の段階を紹介します。

 

1.全力で追い突きを行う。

2.全力の追い突きの力感のまま、運足の足幅を半分にして突く。

3.全力の追い突きの力感のまま、運足の足幅を一足分にして突く。

4.全力の追い突きの力感のまま、運足を行わずにその場で突く。→結果として三戦立ちになります。

 

この段階を踏む過程で注意する点は、運足の足幅を狭め、やがてはその場突きに変化する際に、

 

追い突きの前進エネルギーを軽減してはいけない

 

事です。

この点を気を付けて行うと、最初の内は追い突きの前進エネルギーに対して、前足で支えきれずに体勢が崩れてしまう事があります。

 

しかし、それで良いのです。

 

追い突きの前進エネルギーに対して、前足で支えられるよう、脚を鍛えなければなりません。

体勢が崩れてしまう事を避け、追い突きの前進エネルギーを弱めては、戦いで必要な脚を鍛える事ができない、つまり

 

強固な三戦立ち

 

を養う事ができません。

 

・足腰の強さの誤解

足腰の強さは打撃力と関係します。

しかし多くの人は、

 

足腰から力を発して強い打撃を放つ

 

と考えています。

その考え方は全く間違っている訳ではありませんが、私の考えは、

 

1.足腰が強いと全力で前進エネルギーを放ちながら急ストップできる。

2.故に躊躇なく全力の前進エネルギーを放てる。

 

逆に、

 

1.足腰が弱いと全力で前進エネルギーを放つと急ストップできない。

2.故に体勢を崩す事を恐れ、全力の前進エネルギーが放てない。

 

となります。

 

・基本稽古での本当の全力

「基本稽古を全力で取り組め!」

と指示された際、多くの場合は

 

より大きな声で!

より速く!

より強く!

 

等のような考え方になるでしょう。

その考え方も良いと思います。

しかし本当の意味での“全力”とは、

 

「一つ一つの技で確実に相手を倒す!」

 

とイメージして取り組む事だと思います。

 

立ち稽古の一つ一つの技全てに移動稽古のエネルギーを込める

 

事は「一つ一つの技で相手を確実に倒す!」のに必要な要素の一つです。

立ち稽古をする際、上級者向けの方は参考にして下さい。

 

 

【蘇る空手最強伝説】

1.空手の気合いと表情の効果:打たれ弱い人と打たれ強い人の違い

2.いびつで最強の腕〈剛腕〉:握力と突きの強さの関係

3.三戦立ちの用法:金的防御と蹴りの威力アップ

4.基本稽古を三戦立ちで行う理由:本当の全力とは?

5.今の極真と昔の極真の違い:正中線の維持とズレ

6.正拳中段突き:突きと言語

7.引き手の意味:身体操作か?用法か?

8.正拳上段突き:武術の突きと格闘技のパンチの違い

9.裏拳顔面打ち:スナップか?突きか?

10.裏拳左右打ち:真横に打つ?斜め後ろに打つ?

11.裏拳脾臓打ち:打撃と投げ

12.裏拳回し打ち:後頭部と背面

13.正拳顎打ち:前羽の構えとクロスカウンター

14.上段受け:ショルダーブロックとダッキング

15.外受け:柔道対策!対木村政彦?

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17.下段払い:直線運動と円運動

18.内受け下段払い:諸手突きを受けるのか?

19.手刀顔面打ち:素手と頭蓋骨

20.手刀鎖骨打ち下ろし:鎖骨が折れる条件

21.手刀鎖骨打ち込み:貫手と対首相撲

22.手刀内打ち:受けと目への攻撃

23.手刀脾臓打ち:実戦のサイドポジション

24.肘打ち:騎馬立ちで行う理由

25.肘上げ:対組技とエルボーブロック

26.肘下ろし打ち:騎馬立ちと馬歩(中国武術)の違い

 

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