4つの土壌に手も足も出ず
運良く昨秋、エコノミラート・レープホルツ醸造所の2022年産テロワールヴァィンが4本すべて手に入った。
Buntsandstein(雑色砂岩)、Muschelkalk(貝殻石灰)、Rotliegend(赤底統)、Schiefer(粘板岩)。
揃ったのは良いが、これを一気に全部開けて独りで飲み比べするのは
若く元気な頃ならいざ知らず、日々に忙殺され、歳とともに酒量の落ちつつある身にはなかなか難しいもので
そうこうしているうちに開けるタイミングを失って今に至ってしまった。
べつにテイスティングをするために休んだ訳じゃないが、働き方改革?で今日は臨時休業である。
こんな日にこそ決行すべきだろう...ってことで、昼間からブラインドでまず2本を開けてみた。
確かに開けた2本のリースリングにはハッキリとした個性の違いが存在する。
だが残りの2本も開けてみないと、(当たり前の話だが)そもそもこの2本の立ち位置すら判らないことを痛感。
結局慌てて残りの2本も開ける羽目になってしまったが、既に嗅覚も味覚も機能せず悲惨な結果に。
それにしても全部外すというのは確率的には24分の9。
いやいや、当てずっぽうでも偶然に1本ぐらいは当たるものではなかろうか...逆にこれはこれで凄いよなと。
とにかく自分にはこの方面の素質が無い事を嫌と言うほど思い知らされた半日であった。
...まぁ何かの参考にはなるかもしれないので、とりあえず記録だけは残しておこう。
2022 Birkweiler Riesling Qualitaetswein trocken - vom Rotliegenden -
Weingut Oekonomierat Rebholz (Siebeldingen/Pfalz)
A P Nr 5 069 105 0005 23,Alc 11.5%vol
黄色がかったやや暗い色調のレモンイエロー。注いだグラス壁全体に細かい気泡がパラパラ付着。
よく熟した赤いリンゴや擦りおろしリンゴの香りにフローラルなニュアンス。
第一印象は引き締まった果実味と酸。果実味は中肉。
酸はあまり伸びないがタイトで、酸の余韻が舌の上に残る。苦汁系のミネラル感。
抜栓3日目。どちらかと言えばアタックより中盤以降に主張を増す酸と、苦汁系のミネラリッシュな味わい。
伸びた酸のフィニッシュ。残糖3.8g/l、酸量8.8g/l。
抜栓5日目。シャープな酸とスマートな果実味、淡白なミネラル感の澄んだ味わいで、ちょっと無機質なイメージ。
貝殻石灰と飲み比べるとやや水っぽい印象だが、雑味が微塵も無いとも言えるし実に微妙。85+/100
(過去のヴィンテージ→2020、2019、2018、2017、2016、2015、2011、2009、2008)
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2022 Burrweiler Riesling Qualitaetswein trocken - vom Schiefer -
Weingut Oekonomierat Rebholz (Siebeldingen/Pfalz)
A P Nr 5 069 105 0011 23,Alc 11%vol
このボトルだけ何故かプレスコルク。黄色がかったやや暗い色調のレモンイエロー。
注いだグラス壁全体に細かい気泡がパラパラ付着。熟したリンゴの香りに若干カーボンチックな土の香り。
相対的に発散する酸が印象的で、果実味は相対的に疎で緩やか。ミネラル感は淡白。
酸にしろ果実味にしろ舌の上で周囲へ広がるような印象がある。だらしなく発散する、それが粘板岩?
抜栓2日目。確かに舌の上で四方八方へと発散するシャープな酸。
果実味は相対的に地味でミネラル感は柑橘系と言えなくもない。柑橘的な酸?
抜栓3日目。貝殻石灰、雑色砂岩とともに3本を飲み比べると、その開けっ広げの味わいは明らかだが
雑色砂岩との間にハッキリした差異を見出せるかと言われると心許無い。
強いて言えば果実味が3本の中では最も乗らない感じかなぁ。残糖1.9g/l、酸量8.3g/l。85+/100
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2022 Siebeldingen Riesling Qualitaetswein trocken - vom Buntsandstein -
Weingut Oekonomierat Rebholz (Siebeldingen/Pfalz)
A P Nr 5 069 105 0007 23,Alc 11%vol
黄色がかったやや暗い色調のレモンイエロー。注いだグラス壁には細かい気泡がパラパラ付着。
これまた熟した赤リンゴの香りだが、香りは控えめ。
ミネラリッシュな硬い口当たりが印象的。果実味に不足は無いが、あまり果実感が無い。
酸はあまり伸びず周囲に拡がる事も無く、サクッとした砂を噛むような塩味のするミネラル感。
ある意味素っ気無いと言うか地味と言うか、ミネラルウォーター的な無味乾燥な味わい。
いや2杯目に入ると酸も結構伸びるんだなこれが。だが味わいはとにかく淡白。
抜栓2日目。これもまた酸の伸びが良く、四方八方へとまでは行かないが発散系。
果実味はやっぱり地味だが初日よりは存在感があってかなり印象は違う。
抜栓3日目。貝殻石灰と飲み比べると何となくフラットで発散する味わい。もちろん酸の伸びは感じる。
同じ発散するタイプでも粘板岩と比べると果実味の乗りでは勝る。残糖0.8g/l、酸量8.0g/l。86-/100
(過去のヴィンテージ→2020、2019、2018、2017、2016、2015、2014、2011、2010、2009)
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2022 Siebeldingen Riesling Qualitaetswein trocken - vom Muschelkalk -
Weingut Oekonomierat Rebholz (Siebeldingen/Pfalz)
A P Nr 5 069 105 0023 23,Alc 11%vol
少し黄色がかったレモンイエロー。注いだグラス壁には細かい気泡がパラパラ付着。
香りは閉じているのかもう識別出来なくなっているのか。
若干の残糖を感じさせる味わいで、ジューシーな果実味とシャープな酸を感じる。
何となく慣れ親しんだモーゼルを感じさせる柑橘の薄皮系に感じられなくもないミネラル感。(これ、気のせい)
結果的に最後にこのボトルを開ける事になったのが祟ったのだろう。(これが他との比較の柱になる土壌)
抜栓3日目。飲み比べないと判らないレベルだが、相対的に収束する酸。
明確な石灰感は無いが苦汁系の...いや時折柑橘っぽさのあるミネラル感。(どっちやねん)
充実感のあるどことなく華やかな風味。雑色砂岩や粘板岩と飲み比べるとその違いは明瞭。
抜栓5日目。赤底統と比較して飲んでもイマイチ違いが判り難い。サクッと淡白なのは似たり寄ったりだが
ただ何度も口に含んでいると、確かに口の中が乾くようなカルキーな感じが蓄積するようなしないような。
残糖2.4g/l、酸量7.6g/l。86/100
(過去のヴィンテージ→2020、2019、2018、2017、2016、2014、2011)