暴走気味の雑色砂岩 | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

暴走気味の雑色砂岩

昨日もそうだったが、今日もやけにジメジメとしていて蒸し暑い。

ドンヨリとしている上に時折ザーッとスコールのような雨が降るもんだから、雨が上がった後は不快指数倍増。

おまけになんだか動物園のような臭いが部屋に入って来る空気や庭に立ち込めて、ますます不快極まりない。

こんな気候じゃ、あのままぶら下げてたらウチの庭のリースリングも全部腐っていたに相違ない。

いやぁ、先週収穫しておいて良かったなぁ。本当に収穫のタイミングってのは難しいものだ。


今日は休みだったので、ちょっとした残務を片付けた後ウォーキングで一汗かいて、ひとっ風呂浴びてから

ちょっとだけ気合の入ったボトルを開けることにした。

プファルツのレープホルツ醸造所 、2009年産シュペートレーゼ・トロッケンS「フォム・ブントザントシュタイン」。


新・緑家のリースリング日記


ライムイエロー。香りは仄かにミルキーで、アプリコット、パイナップル、黄色いバナナ、花梨など

スワーリングする度に華やかな果実香が入れ替わり立ち替わり立ち昇る。

アタックの酸と果実味の凝縮度が素晴らしい。そして中盤からは苦み走ったミネラル味の主張が強烈。

酸とミネラルの一体感はお互い相乗効果で非常に攻撃的。酸は単独では前に出ず、まずは果実味とともに

インパクトを与え、中盤からアフターにかけてはミネラル味と共鳴して舌を側面と奥から多角的に刺激する。

そして苦み走ったミネラルの余韻。バランス的にはこのミネラルが一歩リード。アルコールも結構ガツンと来る。

それにしても2009年産にしてのこの素晴らしい酸。なんとも刺々しい味わいがこの上なく心地良い。

時間が経つと香りにペトロールが加わる。翌日。味わいは更にストイックとなり、中でもミネラル味が暴走気味。

マスカットの風味と、どことなく塩味っぽい後味の妙な取り合わせが印象的。ポテンシャルは高いが初日が華。

89/100


この辛口シュペートレーゼのネーミングに使われている、ブントザントシュタイン(Buntsandstein)。

日本語にすると雑色砂岩、つまりワインの育まれた土壌の名前が付けられているのである。

このレープホルツ醸造所では他に「フォム・ロートリーゲンデン」、「フォム・ムッシェルカルク」というボトルもあり

プファルツの別の生産者は「バザルト」や「フォム・レス」、「カルクゲシュタイン」なんてのもリリースしているし

モーゼルでは「ブラウ」だとか「グラウ」な「シーファー」、ラインヘッセンでは「ポルフィル」などというモノまである。

これはリースリングという葡萄が、その育った土壌の違いを味わいの中に克明に反映するという性質を持つため

このような土壌別の商品構成が成り立つのであるが、ある意味ドイツ人気質を窺わせる一面であるとも言える。

いずれにしても畑毎の土壌の差異を知らなくても、利き分けの楽しさを身近に実感出来る面白い着眼点である。


2009 Riesling Spaetlese trocken „S“ - vom Buntsandstein -

Weingut Oekonomierat Rebholz (Siebeldingen/Pfalz)

A P Nr 5 069 105 007 10,Alc 13%vol,18.90€