3本揃ってのお楽しみ
前年に引き続き、3本揃って手に入ったので同時に抜栓。
エコノミーラート・レープホルツ醸造所の2017年産テロワールヴァイン
「フォム・ロートリーゲンデン(ロートリーゲンデス、赤底統)」、「フォム・ムッシェルカルク(貝殻石灰)」、
「フォム・ブントザントシュタイン(雑色砂岩)」。
いずれも少し黄金色がかったレモンイエローを呈しており、外観的にほぼ差は無し。
これで変な先入観に捉われる事もなく、中身だけのガチンコ勝負で理想的。
まぁ、たかがブラインド、されどブラインド。当たった外れたで一喜一憂。
ワインは舌や鼻に美味しいだけでなく、脳ミソにも美味しく...つまり楽しくなきゃいけない、と思う。
南プファルツの異なる3種の土壌からのリースリングは概ねそのミネラル感に特徴が有って
例年は「貝殻石灰」と「雑色砂岩」の利き分けが一番の難関になるのだが
酸の出方ひとつでミネラル感の印象は大きく左右される。
この2017年産は「ロートリーゲン」と「貝殻石灰」を利き分けるのが実に難しかった。
酸と果実味とミネラル味。まぁ他にもいろんな要素が有るのでそんな単純な話じゃないかもしれないけれど
これら3つが前に出たり引っ込んだり、或いは元々どれかが量的に多い年であったり少ない年であったり。
あとで振り返ってみれば、抜栓初日には前に出ていた酸が日を追う毎に定位置に(?)戻るにつれ
3本のミネラル感の差が明瞭に掴めるようになって行くのが非常に興味深く貴重な経験であった。
2017 Birkweiler Riesling Qualitaetswein trocken - vom Rotliegenden -
Weingut Oekonomierat Rebholz (Siebeldingen/Pfalz)
A P Nr 5 069 105 005 18,Alc 12.5%vol,18.80€
グラスに注いだ時、一際ビッシリと気泡がグラス壁に付いていたのがこの1本。
洋梨や赤いリンゴの香りに若干派手目のフローラルなニュアンス。
果実味はスマートに感じるが液質に強さがあって、酸主体の味わい。
酸は3本の中では最もシャープで良く伸びるように感じられ、しかも舌や歯に攻撃的でインパクトあり。
フレーム感と言うほどでもないがミネラル味も一番存在感がある。
香りだけでなく味わいにも一番華があって、「貝殻石灰」はコレかな?と思ったら
現金なものでなんとなくチョークっぽい味わいがするんだよね。
でも時間を置いたら意外と緩いなぁ、ミネラル感ひょっとして乏しい?という事で初日は結論は出せず。
抜栓3日目。香りはやっぱり華やかでクリーミー。
初日と違ってやや液質に緩さがあって、ミネラル味の主張はやっぱり地味。うーん、「ロートリーゲン」だわこりゃ。
抜栓4日目。酸が引っ込みポチャッとして緩い味わい。結局この4日目が一番特徴が出ていた気がする。
残糖3.2g/l、酸量7.5g/l。
86→85/100 (過去のヴィンテージ→2016年産、2015年産、2011年産、2009年産、2008年産)
2017 Riesling Qualitaetswein trocken - vom Muschelkalk -
Weingut Oekonomierat Rebholz (Siebeldingen/Pfalz)
A P Nr 5 069 105 023 18,Alc 12.5%vol,18.80€
アプリコット系の果実香に、軽いペトロールと微かに花のニュアンス。どことなく田舎臭い香り。
実入りのしっかりした果実味とそこそこ凝縮度の高い酸。
相対的に凝縮感があって、酸にも力感があるがミネラル感は地味。
と言うよりも「ロートリーゲン」の後に飲むと、その派手さに霞んで味の吟味が難しい気がする。
シャープで溌剌とした酸、程好い果実味、柔らかなミネラル感。
こりゃ今年は難易度高いわ、な~んて感心している場合ではない。全然判らん。
抜栓3日目。フワッとした果実味に塩っぽいミネラル感。ありゃ?初日は判り辛かったけどこれって...。
酸はもちろんシャープだが発散はせず。という事はこれが「貝殻石灰」か。
抜栓4日目。相対的に最も引き締まった味わいで、苦汁系の収斂味溢れるミネラル感もこの日が一番明瞭。
ワイン自体の特徴が最もよく出ている。
抜栓7日目。少しフローラルな風味と程好いミネラル感。
抜栓9日目。上品でフローラルな風味と、酸のキリッとしたエレガントな味わい。残糖3.2g/l、酸量7.3g/l。
85→86/100 (過去のヴィンテージ→2016年産、2014年産、2011年産)
2017 Riesling Qualitaetswein trocken - vom Buntsandstein -
Weingut Oekonomierat Rebholz (Siebeldingen/Pfalz)
A P Nr 5 069 105 007 18,Alc 12.5%vol,18.80€
熟したアプリコット系の果実香に仄かな土のニュアンス。
スワーリングすると少しペトローリーだが、3本の中では果実以外の香りの要素が最も少ない。
スマートな果実味とシャープで伸びの良い酸、サクッとしたミネラル感。直線的なイメージで酸は発散系。
最も淡白で緩い味わい。
時間とともに酸に伸びと力感が加わって来るが、相変わらず収束感は無くニュートラルなミネラル感。
これは「雑色砂岩」で間違いなかろう。
抜栓3日目。やや舌にベタッと貼り付く酸はやはり発散系で伸びも良い。
果実味よりも酸の存在感があって、淡白なミネラル感も至極。
抜栓4日目。やや雑な酸のキレる味わい。残糖3.2g/l、酸量8.2g/l。85/100
(過去のヴィンテージ→2016年産、2015年産、2014年産、2011年産、2010年産、2009年産)
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やっぱり当たっていると実に気分が良いものだ。(初日は結論が出せずに持ち越したけど・汗)
でも試飲しに行ってるんじゃなく自宅で晩酌時にこれをやる場合、いちいち吐き出す筈もなく
「ああでもない、こうでもない」なんて替わる替わる飲んでたら一気に酔いが回ってしまい実に危険な行為である。
...何はともあれ、2018年産もちゃんと3本揃って入手出来ますように。(^人^)