違いの判る男 | 緑家のリースリング日記 ~Probieren geht über Studieren~

違いの判る男

久しぶりにブラインドでもやってみるか。
レープホルツ醸造所の「フォム・ブントザントシュタイン(雑色砂岩)」と「フォム・ムッシェルカルク(貝殻石灰)」。
これ、ホンマに難しいんだよね...
個人的にはグリュンハウスのアプツベルクとヘレンベルクの利き分けに勝るとも劣らない難題なのであった。

ところでレープホルツの「土壌名シリーズ」の辛口リースリングは3種類。
もう1つは「フォム・ロートリーゲンデン」ってのがあって、それは果実味の乗り方が他とは明らかに異なるので
このバカ舌にも違いは明瞭だが、これら2本は酸の出方やミネラル味の質感だけで利き分けなければならない。
その微妙な差異は、ともすればヴィンテージの個性の前にいとも簡単にかき消されてしまいそうな気もする。
でもこれぐらいは利き分けられなきゃこの道を究められる訳もなかろう...精進あるのみ、である。


両者ともに少し長めの50mmコルク。ともに僅かに緑がかった明るいレモンイエローで、外観上は殆ど差は無い。
注いだ直後にグラス壁に気泡がポツポツ見える方を仮にA、気泡の付いていない方をBとしてみる。

A・・・土のニュアンスのある赤いリンゴ系の果実香。果実味は程好い。酸は柔らかく伸びは良いが主張は控えめ。
   サクサクと砂を噛むようなサッパリとしたミネラル感。穏やかで柔らかな味わい。
B・・・熟した黄色い果実香に明瞭なフローラルなニュアンス。果実味はスマート。酸は攻撃的かつ鋭角的。
   粉っぽくザラッとした触感の、口の中が乾くようなミネラル感。フローラルでカドのある味わい。

結果的にこの2014というヴィンテージは、香味に土壌の特徴が非常に判り易く出ていたと思う。
Aが雑色砂岩で、Bが貝殻石灰だろう...ビンゴ!(^^)v
齢を重ねること50年、ようやく違いの判る男になれたかも?
(過去のブラインド→2011年産初回2011年産2回目2010年産GG

因みに雑色砂岩の方はガンツ・ホルン(Ganz Horn)という旧区画からの収穫で造られており
貝殻石灰はイム・ゾンネンシャイン(Im Sonnenschein)やビルクヴァイラー・マンデルベルク(Mandelberg)から。

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2014 Riesling Qualitaetswein trocken - Vom Buntsandstein -
Weingut Oekonomierat Rebholz (Siebeldingen/Pfalz)

A P Nr 5 069 105 007 15,Alc 12%vol,14.71€

相対的に田舎臭い土のニュアンスを感じさせる、やや控えめな赤いリンゴ系の果実香。
程好い肉付きの果実味と、柔らかな酸。酸は伸びも切れも良く、サッパリとしたミネラル感。
仄かな酸の余韻がいつまでも口内に残るが、相対的に酸の持続は短い。
サクサクと砂を噛むような優しいミネラル感。ややベッタリと来るマヨネーズ的な風味あり。
香りは徐々に洋梨っぽく変化し、時間が経つにつれて洗練の度を増す。
酸と果実味のバランスが良く、重心高めで透明感のある引き締まった味わい。相対的に「穏やかで柔らか」。

翌日。果実味が俄然前に出てふっくらとジューシーだが、元々ミネラル感が地味なだけに
少々果実味一辺倒な感が無きにしも非ず。どちらかと言えば、初日の素朴な感じの方が良かったかな。
サクサクとした肩の凝らないミネラル感が魅力。
翌々日。酸が舌の上に広がり、ベタッと舌に貼り付くような感覚の柑橘の薄皮系ミネラル味。86/100

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2014 Riesling Qualitaetswein trocken - Vom Muschelkalk -
Weingut Oekonomierat Rebholz (Siebeldingen/Pfalz)

A P Nr 5 069 105 023 15,Alc 12%vol,14.71€

熟したアプリコット系の黄色い果実香に、かなり明瞭なフローラルなニュアンス。
口当たりは意外に細身の果実味と、攻撃的かつ鋭角的なシェイプの酸。
メリハリの効いた輪郭のハッキリした味わいで、これまた酸の持続が長い。
カテキンっぽくザラッとした触感の、粉っぽい、まるで口の中が乾くようなミネラル感。
香味は終始フローラルで、相対的に「カドのある」味わい。
2杯目。香りは何となくベタッと甘い飴のような要素が入って来て、ポテッとした果実味がやや浮いたバランス感。

翌日。相対的にだが相変わらずフレーム感のある味わいで、酸が発散して四方八方へと伸びて行く感覚。
酸に存在感があるので果実味がそれ程前に出て来ない。実にバランスが良くなっている。
翌々日も相対的に粉っぽいミネラル感。酸とは異なり舌の上に広がるのではなく、舌の上に鉱物感が乗る感覚。
85→86/100