TPPの誤解と嘘 | 堕ちる日本

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TPPの誤解と嘘

1、TPPは関税の問題ではない。

TPP交渉における関税関連の課題比重は実は非常に低い。これは参加各国が既に個別に二国間で様々な協定を締結済みなためである。特に日米間の場合それが顕著だ。関税は残っている場合でも、非常に低いか、あるいは特定の産品に限られている。また、工業製品は部品調達のグローバル化と現地生産が進んでいるため、関税は実質意味を持たない。従ってTPPを関税撤廃のための交渉と位置づけるのは間違いである。

2、TPPは農業保護の問題ではない

TPP交渉は農業を含め24の分野にわたる総合交渉である。これを単に農業分野の問題とし、日本国内のごく一部の産業の抵抗が、全体の利益を損ねているかのような印象を与える報道は間違っている。TPPが締結されれば、農業だけでなく日本の多くの産業に影響が及ぶ。

3、TPPは多国間の交渉ではない

TPP参加国はシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド。これに、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーが加盟交渉中。この枠組みにアメリカと日本が参加することになると、GDP比でアメリカが全体の約70%、日本が約25%を占めることになる。そうなれば、これは実質的に日本とアメリカの間の二国間交渉といってよい。従って、各国が次々と参加を表明しているTPPに、日本だけが乗り遅れ取り残されている、という設定は嘘である。アメリカはTPPを利用して日本を二国間交渉のテーブルにつけようとしている。

4、TPPは交渉を開始すれば途中で抜けることは出来ない

とりあえず交渉に参加してみて、内容が気に入らなければ辞めればよい。そんな話は通用しない。一度交渉を開始すれば、それはなんらかの形で最終合意に至ることを意味する。従って、参加を拒否する可能性があるならば最初から交渉に参加してはならない。

5、TPPは特定の産業を保護することができない

現状のTPPは例外品目を許容していない。一部例外が認められた産品も段階的な関税撤廃を課されている。コメだけは例外指定して守ろう、というような希望は幻想となるだろう。

6、TPPは自由化の為の交渉ではない

むしろ消費者にとっては不自由化を招く。いま話題になっているのが、出版物やCD、ゲームなどの海外からの購入についてだが、これが違法となる可能性がある。TPPがもたらすグローバル化は、企業のエゴが国境を越えて生のまま押し寄せることを意味する。地域の自由意志よりも、グローバル企業にとって都合の良いルールの押し付けが起こる。これがあらゆる分野でみられるだろう。TPP=規制緩和ではない。

7、TPPで日本経済は恩恵を受けない

TPPが日本にもたらす経済効果は2.7兆円。しかしこの数字にはトリックがある。これは10年間の累積なのだ。年間になおすとわずか2700億円でしかない。日本ほどの規模の国家でこの程度の利益では大した経済効果とはいえない。しかも、TPPの効果は締結後徐々に現れてくる。最初の数年はプラスよりもマイナスになる可能性もある。TPPで儲かるのは国家をまたいで商売をしているグローバル企業である。日本経済として見れば、プラス面とマイナス面が相殺してほとんど効果が得られない。

8、TPPの劇薬、ISD条項

ISD条項とは、国家企業間の紛争に関する取り決めのこと。ある国の制度が外資企業投資家の利益を害したと思われるとき、企業投資家は国際仲裁機関にこれを提訴することができる。裁定にあたっては、当該国の事情や制度の妥当性は一切考慮されず、損害が発生したかどうかのみが判定基準とされる。アメリカとカナダ、メキシコ間のFTAでは、企業が毒激物の扱いで現地の制度を無視したため制裁を受けたが、これを不服として提訴し多額の賠償金を勝ち取った例がある。なお審議は数名の非公開で行われ、控訴は不可。ちなみに、現在締結交渉が最終段階に進んでいる米韓FTAには、このISD条項が盛り込まれている。しかもその適用は韓国に対してのみである。
ISD条項は国家主権の侵害に他ならない。極めて悪質な条約である。これがTPPに盛り込まれる可能性が高い。しかも日本側からの提案としてだ。ISD条項は、一つに日本がアメリカの傲慢さから身を守る術を失うだけでなく、もしこれを日本企業が他国に対して行使すれば、日本が長い年月をかけて築いてきた国際的信頼を瓦解させることになるだろう。

9、TPPのラチェット規定

歯車が一方向にしか回転しない仕組みをラチェットという。TPPでは一度取り決めたことは取り消す事ができない。

10、TPPはアメリカの新しい植民地政策である

アメリカは従来の強いドルを背景とした世界戦略を破棄した。今年始めからドル安を容認し、輸出の拡大を目指すことを大々的に表明している。そのターゲットは今や世界一強い通貨を持つに至った経済大国日本だ。アメリカはTPPの枠組みを強引に自国に有利に導くことにより、加盟国との関係を既に締結済みのFTAによるカナダやメキシコに対するものと同じにしようと画策している。アメリカとカナダ、メキシコの関係を見ればそれが何を意味するか明らかだろう。両国の地政学的条件を考えればそれもやむを得ないかもしれないが。しかし、TPPは今までにない、地理的条件を超越した大国による弱小国のコントロール手法といえる。支配される側は、自国の主権を奪われ、支配する側に対する抵抗力を奪われる。TPPにアメリカが参加する以上、その制度を決めるのはアメリカになる。本来太平洋の小国同士が大国に対抗するために考え出された相互犠牲の条約は、超大国のエゴを押し通すための道具に変容しつつある。

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