これは、8話の後半です。

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悲しいシーンは気がのらぬ、と言いつつ、重い腰を上げ、取り掛かったら、もう夢中です。。

泣きながら、入力しております。

なんだか、勝手に感情移入して、不必要なくらい、重ためになってしまって申し訳ないです。

 

この曲を聴きながら、だと余計、そうなってしまいます。

#8を象徴するような曲です。真顔

 危愛 Dangerous love  温以飛

 


 

 

では、いつものご注意をば・・・。

なお、本サイトは、異性愛だろうと同性愛だろうと「どーんとこい!」でして、ある一部の性的指向を称賛するものではありませんが(笑)、若干、作品選定において、バランスは欠いております。

誰かにとっては不適切なテーマ、扇情的な言葉や画像を含むかもしれません。ごめんなさいです🙏💦💦

いつものごとく、本格的なネタバレ&上記のご注意をご理解いただき、OKの方のみ、おすすみください。お願い

 

『奇蹟 Kiseki』

 Kiseki  Dear to Me

 2023年(台湾)8/22~ Nov 7, 2023

 25分×全13話

 制作:GTV

 原作:林珮瑜

 

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Kiseki #8-2


引き続きです。

 

~廃屋~

 

ナイフを振りかざしたジャントンが、ルイの胸の上で、寸止め。

 

初回ラスト、ジャントンが、問答無用で、平然と手下の首を掻き切ったシーンを入れて、非情なジャントンを見せつけていたけれど、そんなジャントンが、ルイのことは刺すことができなかった。


自分を陥れたのが、ハン・ジョールイだと聞かされた時の、ジャントンの感情。

ようやく、見つけたルイの顔を見た第一声が、「なんで、お前がチェンイーが俺をねらうのを手伝った?」でした。

 

なぜだ?

よろしくな、って言ってくれたお前が、なぜだ?

 

可愛さあまって憎さ百倍で、ここに追い詰めて、殴る蹴るしたけれど、やっぱり、ジャントンには、ルイは殺せない。

これが、ジャントン側から見た時に、見えてきた景色です。

 
一方・・・
おそらく、ルイ自身は、ジャントンの、ここまでの気持ち、わかってなかったと思う。

それはそれで、ちょっと不憫かな。← これから後半戦になって、違う事実とか出てきたらどうしよう。(焦)

 

誰も、こんな粗暴で狂気が服を着て歩いてるようなジャントンのこと、良く思わないに決まってるし、その罪が消えるわけではないけど、それでも、ジャントンを見ながら、号泣している私がいます。

この感情を、判官びいきとは言わないんだと思うけど、ここにもまた、大人からの理不尽な虐待によって、人生を壊された子供がひとり。

 

誰一人、守ってくれる人や自分のことを気にかけてくれる存在が周囲にいなかった悲劇。

 

それでも、やったらいけないことはいけないんですけどね。

 

ルイは、そんなジャントンの中に、たった一つ残った、人間らしさのかけら。

 

なぜ、俺を見ない?

 

ジャントン「そんなに、あいつが大事か・・・。そう聞くと、もっとあいつのこと、殺したくなるんだよ!!」

こんなにも訴えかけてるのに、自分を見ず、ゾンイーの命乞いばかりするルイを前にして、もうどこか、本当に、ジャントンは狂ってしまったのかもしれない。

立ち上がるジャントン。


その時、表のほうから、ルイやゾンイーを探すアイディの声が聞こえてくる。

引き際です。

ゾンイーに向かおうとするジャントンを止めるアジュン。

 

アジュン「誰か、きます」

ジャントン「邪魔するな!!」

アジュンを突き飛ばすジャントン。

 

アジュン「あいつらの注意をそらしてきます!!」

ああ、アジュンがいない空白の時間は、これで出来たのか。

最初、英訳なしで見てた時、不思議だったんだよね。

 

今後のアジュンの動向が気になります。

 

自分に狙いをさだめて、近づいてきたジャントンを見て、身体を少しずつおこしはじめるゾンイー。

ゾンイー「何する気ですか?」

 

ゾンイーにナイフをむけるジャントン。

ジャントン「ハン・ジョールイのせいだ。奴と知り合ったお前の不運さ・・・」

 

ジャントンの殺気は本物でした。

 

ルイ「やめろ!!!」

 

ナイフを振りかざしたジャントンの後頭部に、ブロックの塊をぶつけたルイ。

 

その後、倒れたジャントンを、馬乗りになって殴り続けるルイ。

 

ルイも、ゾンイーが殺されるかも、という恐怖のあまり、肉体的にも精神的にも極限に追い込まれてしまい、正常な判断ができなくなってます。

 

見境がついてない様子に、驚愕の表情を浮かべるゾンイー。

すぐさま、「ジョールイ」と後ろから、引きはがします。

ゾンイー「もういい、もう十分だ。ジョールイ、もう大丈夫だ」

泣きながら、ルイの身体を後ろから押さえ、なだめるゾンイー。

 

ルイ「对不起(ごめん)」

ゾンイー「もう大丈夫だ。しっかりしろ」

ルイ「ごめん。全部、俺のせいだ。」

ゾンイー「いいから、もうしゃべるな。じっとして・・」

ルイ「お前に近づくべきじゃなかった・・・」

 

ゾンイー「しゃべるな。しゃべらなくていい。ジョールイ、目を閉じちゃだめだ」

ゾンイーは、ルイが腹部だけでなく、頭や顔面まで殴られたり、蹴られたりしてるところや、その強さ・衝撃まで見てるはず。

 

その横に、頭から大量の出血をして、目を開けたまま、ぴくりとも動かないジャントンが横たわっている。

 

ゾンイー「ジョールイ! ジョールイ! 俺を見ろ! ジョールイ! 俺を見ろ!」

意識が朦朧としてきているルイに、必死に呼びかけるゾンイー。

ゾンイー「ジョールイ! ジョールイ! 起きろ! ジョールイ! 」

 

今日までの楽しかった日々が、逆回転の走馬灯のように流れはじめ、途中から、モノクロームに変わっていく。

 

目を閉じ、意識を失ったルイを抱きしめながら、泣き喚いているゾンイーのもとに、

ようやく、アイディやチェンイーが駆け付ける。

 

アイディ「バイ・ゾンイー、ルイを離すんだ」

 

半狂乱になったまま、ジョールイの名を呼び続けるゾンイー。

 

アイディ「バイ・ゾンイー、ルイを離せ!!」

ゾンイー「ジョールイ!!」

アイディ「お前が離さないと、こいつが死んじまうだろ!!」

アイディも必死です。

 

それでも、びくともしないくらい、ルイを離さないゾンイー。

おそらく、アイディの存在もなにもかも、ゾンイーの中には認識できてないはず。

 

困り果てて、ちらりと、チェンイーを見上げるアイディ。

 

どこかに電話をかけるゾンイー。

「二人のケガ人をこれから運ぶ。・・・20分だ。一人は・・・ハン・ジョールイ。老大には俺から話す」

連絡を入れたのは、組のお抱え病院なのかな。

※「圏套」に出てきた病院をイメージしてました。

 

叫び狂ったままのゾンイーをなんとか引きはがそうとするアイディと・・・チェンイー。

 

彼を助けて、と祈りつつ、天に向かって泣き喚くゾンイーの叫びに、胸が締め付けられる。

 

 

そして、画面が変わり・・・・

 

~カイエンガレージ~

 

手当てをうけ、手に包帯をまいたゾンイーが、奥の事務所のソファに腰掛けてます。

頬には、まだ、くっきりと殴られた跡が残ってる状態で、きっと服で隠れている部分も、全身、打撲痕とアザだらけでしょう。

心ここに非ず、呆然としていたかと思えば、アイディたちを睨んだり・・・してますね。

 

アイディ「お前、なにをしろだって?」

チェンイー「他に、俺になにが出来る?」

 

言い争いをしてる二人。

おそらく、なにがなんでも、ゾンイーをここから出すな、と言われ、アイディとしては、納得がいかないのね。

 

それを見て、ソファから立ち上がり、表に出てくるゾンイー。

 

アイディ「出てきちゃだめだ」

ゾンイー「ジョールイのところに行く!」

 

チェンイーとアイディ、二人がかりで、ゾンイーを押しとどめる。

 

チェンイー「だめだ」

アイディ「行っちゃだめだ。戻るんだ」

 

ゾンイー「いやだ!」

チェンイー「あいつなら、今、范家の病院で最高の治療を受けてる」

ゾンイー「俺はもう、3日も待ったんだ」

3日も経ったの?

 

チェンイー「あいつなら大丈夫だ!」

アイディ「だめだ!! 行かせるわけにはいかないんだよ!」

ゾンイー「ルイに会いたいんだ!!」

アイディ「バイ・ゾンイー!!」

お互い、必死です。

 

チェンイー「ジャントンのところの奴らがまだ、外をうろついてるんだぞ。いま、ここを出たら、お前の身がどうなるかわからない。」

 

ゾンイー「医者は、あいつの脳の損傷が激しいと言ってた!」

運び込まれたときに聞いていたのね。

 

ゾンイーにとって、自分の身がどうとか、そんなことは頭にないのです。

ただただ、ルイの傍にいきたい一念です。

 

チェンイーもアイディも、それがわかってもなお、ここを通すわけにはいかないと、心を鬼にして、阻止してます。

 

ゾンイー「なんで、会わせてくれないんだ!! なんでだよ!!」

半狂乱になって叫ぶゾンイー。

 

ゾンイー「邪魔するな!」

 

それでも、ゾンイーを跳ね返すしかない二人。

 

二人に阻まれ、ただ、泣くしかできないゾンイー。

そこに、電話がかかってきます。

なんとか、息を整え、涙をぬぐい、電話に出るゾンイー。

 

相手は、ジンユー。

 

こっちも取り乱してます。

 

ゾンイー「どうした?」

ジンユー「お兄ちゃん・・・、父さんと私、今、病院なの。」

ゾンイー「なにがあった?」

ジンユー「父さんが突然、仕事中に意識を失ったの。お医者さんがいうには、父さんの心臓は、今、すごく状態が悪いんだって。今度、意識が戻らなかったら、どうなるかわからないって・・・。どうしよう、怖いよ。お兄ちゃん。。。」

泣いているジンユーに「わかった。すぐに行くよ」と声をかけるゾンイー。

 

再び、外に行こうとするゾンイーを、押さえつけようとするチェンイーとアイディ。

 

今のゾンイーは、父に代わって、家長としての責任も背負ってます。

 

二人を引きはがし、外に向かおうとしたとき、老大チェン・ドンヤンが、ゾンイーを止めました。

 

ゾンイー「どけ!!」

誰か知らずに、すごむゾンイー。

ああ、このゾンイーの修羅の顔を見た時、老大も心を決めたのかもね。

 

ドンヤン「・・・取引しないか、小僧」

 

顔色を変えるチェンイー。

アイディの顔にも緊張が走ります。

 

~バイ家 リビング~

 

荷物をもって、降りてきたゾンイー。

ジンユーの隣に腰を掛けます。

涙で言葉にならないジンユー。

 

ゾンイー「平気だよ。父さんは良くなる。心配するな。・・・・全部うまくいく・・・

うまくいくさ・・・」

最後は、言い聞かせるように、呟くゾンイー。

 

~回想~

ここで、カイエンガレージでの、老大とのやりとりが明かされます。

 

ドンヤン「ジャントンは死んだ。奴の手の者2名は重症だ。逃走中だったそいつらのことは、“龍幫”が対処した。警察がこの事件を捜査している。彼らはジャントンを殺した犯人を突き止めたいと考えている

 

ゾンイー「ジョールイは、僕を助けようとして、不可抗力で殺してしまったんです。」

決して、故意ではなかったのだ、とわかってもらおうと、説明するゾンイー。

 

ドンヤン「事故だったかもしれないし、そうでなかったかもしれない。決めるのは、お前だ」

ゾンイー「・・・・・・」

ドンヤンの言葉の意味がよくわからないゾンイー。

 

チェンイー「それって・・」

いち早く、ドンヤンの言葉に含みがあることに気づいたアイディ。

アイディ「なんで、こいつが? 責任なら、俺たちのどっちかが負うべきです。こいつには関係ないですよね」

たまりかねて、口を挟んでしまう。

 

ドンヤン「范会長は・・・」

その言葉だけで、アイディを黙らせるドンヤン。

 

ドンヤン「・・・・全てはお前ひとりがやったことだと受け入れ、自首を申し出るならば、お前の父親の心臓移植を直ちに行うとおっしゃっている」

驚きを隠せないゾンイー。

ゾンイー「そんなこと、どうやってできるんですか? うちの父は、まだ、この先何年も待機者リスト上で順番待ちのはずです。」

 

ドンヤン「范会長が一言そういえば、物事はそのとおりになるんだ」

ジンユーから電話が来たのは、ついさっきなのに、もう、この話がここまで進んでる意味を思うと、怖くてたまらない。

 

ドンヤン「適合する心臓、手術代、術後の費用、それから、定住費用も含んでいる」

 

押し黙ってしまう一同。

 

アイディ「(小声で、チェンイーに)あのくそじじい、ルイとゾンイーのことを知ってたんだ。バイ・ゾンイーに責任を取らせ、引き裂こうとして、依頼してきたんだ」

 

それを聞き、「老大、ジャントンに起きたことは、バイ・ゾンイーには何の関係もありません。俺たちの問題です」と訴えるチェンイー。

 

バチコーン!!

思いっきり、チェンイーを殴りつけるドンヤン。

臙脂色のジャケットが翻るくらいの勢いです。

 

ドンヤン「当然、お前のせいだ。なんでも、自分の判断で決められると思って、さぞや、自分をえらくなったと思ってるだろうな? お前は、俺にこの件をなにも報告せず、いい気になって天狗になることを選んだんだ。そして、なんの関係のない人間まで巻き込んだ。ご大層なもんだ

ゾンイーを指さしながら、怒りをぶつけるドンヤン。

 

ドンヤン「俺は、お前に心底、失望したぞ」

この人の、ここまでの叱責は珍しいのかも。

 これはこれで、チェンイーにとったら大打撃!

 

ドンヤンの激しい言葉は、ゾンイーに突きつけられた過酷さへの裏返しです。

 

このドラマで、ゾンイーの、17歳という年齢について、明確に、セリフに盛り込まれていた意味がここに生かされるんですね。

※14歳以上18歳未満、満80歳以上の人は、刑事責任を負う能力はあるものの、刑罰が軽減される「制限刑事責任能力者」とみなされる。

2020年12月25日に、台湾の成人年齢が、20歳から18歳に引き下げられている。

細かいことかもしれませんが、事件の当日を、2019年12月25日と限定した点も、このシーンの段階では、旧体制だと明確にしてる気がします。

 

ドンヤン「お前は未成年だ。あいつ(ルイ)に自分で責任を負わせるより、お前が責任を負うほうがましだろう。・・・よく考えてみろ」

義侠心に熱いはずのドンヤンが、示したこの言葉。

「中華民国刑法 殺人」などのワードでググると、意味がわかると思います。

 

ドンヤンを見返すゾンイー。

 

ゾンイーの肩をポンポンと叩くドンヤン。

おそらく、ゾンイーがさっき、半狂乱になって、ルイに会いに行こうとしていた姿も見てたはず。

このなんの罪もない、ただルイが范家の人間だということの意味さえ知らず、恋に落ちた青年に、それ以上かける言葉はありません。

 

同じく何も言えない、チェンイーとアイディ。

 

じっと考えているゾンイー。

 

~回想~

ルイの部屋で交わした会話を思い出しています。

 

ルイ「お前が引っ越してきたら、ここに植木を並べよう。そうすれば、ここに座って、コーヒーを飲みながら、景色を楽しめるだろ。」

ゾンイー「甘い物も食べられるね」

ルイ「ああ、デザート! こっちにきて。」

キッチンに向かうルイ。

 

その様子をずっと、後ろから動画で撮っているゾンイー。

 

ルイ「そうしたら、お前は、こっちのテーブルでデザートが作れるぞ。菓子用の調理器具も買いそろえるからな。で、俺はこっちで料理をするんだ。お前はこっちで菓子を作る。」

ほら、この笑顔。

また、泣かせてきた!!

 

おそらく范一族だから、という理由で、与えられたか、手に入れたか、の最高級マンションの一室。

広くてきれいで豪華だけど、ただそれだけ。

 

こんなふうに、はしゃぐルイの気持ちがわかりすぎる。

 

ルイに、チュとキスするゾンイー。

 

ルイ「それからな・・・」

リビングの戸棚の前に移動するルイ。

 

ルイ「お前、たくさん本を持ってるから、ここに並べるといい。」

 

まるで、二人が暮らす新居が決まって、あれこれ、ものを置く場所を思い描く新婦みたい。

そんなふうに夢中になってるルイの姿を動画に収めているゾンイー。

 

ルイ「それと・・・これ、お祝いだ。」

ペンを差し出すルイ。

ルイ「これで、俺もお前の学校に一緒に行けるだろ。これを使えるのはお前だけだ」

ルイにも、その気になれば叶えられたはずなのに、諦めたことは一杯あるのだ、と今のゾンイーは知っています。

 

ゾンイー「ん・・・」

嬉しいと、言葉少なになるね。(笑)

 

撮影したまま、スマホを棚に置くゾンイー。

 

ルイの手をとり、指にキスする仕草は、まるで、結婚の申し込みみたい。

 

ちらっと、ルイを見て、薬指に、歯を立てるゾンイー。

 

ルイ「・・・?」

ゾンイー「指輪だと思って受け取って。医者になって、お金を貯めたら、一緒に買いに行こう」

 

涙の滲んだ瞳で、ゾンイーを見つめるルイ。

ルイ「焦らなくてもいいぞ。俺はずっとお前が追いつくのを待ってるから。」

ちいさく頷くゾンイー。

 

二人の年の差は埋まらないかもしれないけれど、取り巻く環境をそろえることで、埋まるものもあるかもしれない。

 

二人の、そんなささやかな願いすら、快く思ってない人がいたんだね。😭

 

ゾンイーの指にも、軽く口づけし、そして、同じように歯を当てるルイ。

 

二回ほど、キスを交わした二人が、スマホを持ち上げ、カメラにむかい、指の歯形を見せる。

ルイ「こんな指輪、世界中でたった一組だけだな。婚約指輪だ」

 

この時、ルイは、はっきりと、婚約指輪だって言ってる。

 

ルイ「ほんと、お前って独創的な奴だよな・・」

 

そう言いながら、キスするところまで、治められた動画。

 

それを見ながら、涙が止まらないゾンイー。

私もだよ。

 

老大からは、考えてみろ、と言われたけれど、そんなに猶予のある話じゃない。

 

差し迫った父親の命の期限、

父親を失うかもしれないと恐怖に震える妹、

そして、なにより、愛するルイを罪人にせず、守り抜く唯一の方法。

 

自分にしかできないこと。

 

泣きながら、自分の薬指に歯形を刻むゾンイー。

それをみて、

涙をぬぐいはじめたのは、もう、心を決めたからね。

 

誰にも相談することなく、人生の重大な選択をしたゾンイー。

 

それでも、そう簡単に涙は止まらない。
 

~刑務所~

その後、どのくらい、時間が過ぎ、どういう裁判等が行われたのか、まったく触れられないまま、すでに、獄中の人になっていたゾンイー。

 

 

房の中で、ジンユーの手紙に目を通す。

 

ジンユー:お兄ちゃん、変わりない? お医者さんは、父さんは順調に回復してるって言ってるよ。移植後の拒絶反応もなかったから、心配しないでね。父さんの面倒は私がみるからね。大家さんから送られてきたお兄ちゃんの荷物、やっと開ける時間が取れたの。お兄ちゃんが気に入りそうなもの、見つけたから送るね。あんまり、私のことも心配しすぎないでね。自分自身のことをいたわってあげて。父さんと私はうまくやっていくからね。お兄ちゃんが戻ってくるのを待ってます。

 

ジンユーからの手紙を折り畳み、代わりに箱の中のルーズリーフを取り出すゾンイー。

 

ルイのために、調べたケーキ店のリストや、ズーアンのお祖母ちゃんに教わったレシピがつづられている。

 

涙がこぼれはじめるゾンイー。

 

苺のサンドイッチケーキとか、見たことのないものもたくさんあるね。

 

ページをめくっているうちに、ルイと一緒に撮った写真が挟まれているのに気づく。

チェキで映したものっぽいね。

 

手に取るゾンイー。

冒頭のシーンで、血痕らしきものがついていた写真です。

 

その時、背後から、何者かが、ゾンイーの後頭部めがけて、パイプ椅子のようなものを振り下ろす。

鈍い音とともに、ゾンイーの手から写真がはらり、と落ち、前に倒れ込む。

 

ゾンイーの頭から流れ出た大量の血液が床を赤く染めていく。

 

8話は・・・ここまでです。
 

★『奇蹟 Kiseki』Ep.08-2 雑感★ 

 

前歴もない普通の高校生(未成年)が、たまたま、街中で、名も知らぬヤクザに襲われた事件。

相手はナイフも持っていて、全身に暴行も受けていて、つい、抵抗の度合いがすぎ、命を奪ってしまったとはいえ、あくまでも正当防衛だったという説は成りたたかなかったのかな?

 

ドンヤンだって、「お前は未成年だ」って言ってたじゃん。

なんで、執行猶予つかないのよ。

 

・・・・違う。

罪状や裁判の経緯は関係ないのね。

ヤクザが絡んだいざこざなんて、本当は、もみ消すことだって簡単だったのかもしれない。

それでも、人ひとり亡くなっている。

警察/検察にとっても、ひいては「義雲盟」や「龍幫」にとっても、あとからつつかれることのない万全な幕引きのために、明確に罪を償う都合のいい人間が、必要だっただけ。

 

そして、范家にしてみれば、それは、ゾンイーでなければならなかった。

 

なんとなく透けてみえる裏の意図が残酷すぎて、衝撃が大きすぎる。

 

闘う術をもたないゾンイーに、自分の人生を棒にふる以外、どんな道が残されていたんだろう。
 

新居で、ゾンイーとの生活に夢をはせるルイにも、ゾンイーが送った歯形の婚約指輪にも泣ける。

ゾンイーの医者の夢は断たれてしまうのかな。

ンユーの健気な手紙にも泣かされる。

気を張ってるけど、事件を起こした家族を持つ苦労は並大抵のことじゃないでしょう。


しかも、刑務所の中は、決して安息の場所なんかじゃない。

 

9話の予告を見る限り、ルイの意識は戻り、回復したっぽいけど、絶対、それだけじゃ終わらないはず。

悲劇の序章に過ぎない感じがします。

 

「地獄」は堕ちた先にあるものだからね。


 

と、悲観的なことばかり書いていますが、とにかく、そう悪い人や悪い展開ばかりが怒涛のように続くドラマでないことを願うのみ。

だって、私が、台湾ドラマを好きなのは、本来はもっと悲惨になりそうなところでも、なんとか回避してくれる、幸せな“ゆるさ”があるところだから。

 

このあと、Kiseki+として、特別編が入ります。
★『奇蹟 Kiseki』奇蹟+ Special Episodeに続く★  

 

 

 

通常エピソードはこちらから

 

★『奇蹟 Kiseki』Ep.9-1 に続く★