物理ネコ教室001物理の世界へようこそ | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 そろそろ新型コロナ対策の休校も明けますが、これからの先行きも流動的なので、いつ不測の事態が起きてもよいように、<物理ネコ教室1年>についても、講座公開を開始します。

 

 物理ネコ教室は便宜上、物理ネコ教室1年、物理ネコ教室2年、物理ネコ教室3年という、三つのカテゴリーにわけています。これは、物理基礎と物理を一つにまとめた内容を、1年2単位、2年3単位、3年3単位のプログラムにした場合の順序に合わせたものです。1年の内容はタイトルに【0××】、2年の内容は【1××】、3年の内容は【2××】のナンバーを振ってありますが、あくまでも便宜的な区分けです。

 

 これらのナンバーは連番になっていますが、、今のところ<物理ネコ教室3年>の【2××】ナンバーだけは、ところどころ番号がとんでいます。

 原則として、このブログサイトでは、単純な演習問題のプリントとその答については、公開していません。番号がとんでいるのは、それらのプリントのものです。

 <物理ネコ教室1年>と<物理ネコ教室2年>については、講座公開したタイトルナンバーが連番になるように、ナンバーを振り直していますので、基本的に番号がとぶことはありません。<物理ネコ教室3年>についても、いずれナンバーの修正をする予定です。

 

 すべての講座を順番に見て行く場合は、【0××】→【1××】→【2××】という順番でご覧ください。(ただし、諸般の事情で、現在コンプリートしているのは【2××】のシリーズだけです)

 

 では、【0××】の最初から、はじめましょう。

 

 ぼくの講座の基本的なやり方が書いてあります。

 冒頭のイラストは、ぼくの講座のもっとも重要な柱である【質問リレー】をイメージしたものです。

 

 

 【質問リレー】は、日本の科学教育で欠落している【未知の現象にチャレンジするアプローチ】を学ぶプログラムです。

 

 ざっくりいうと、古代ギリシャのようにまだ何もわかっていない時代に戻り、自然現象の謎に挑戦してもらう【遊び】です。そして、その遊びを通して、法則やルールを見抜くために必須の能力【間違えても間違えても諦めない知的好奇心】を育てようというプログラムです。

 

 科学はもともと、誰も知らない【未知の現象】を調べる学問です。

 教科書に書かれている様々な知識や法則をそのまま覚えて点数を取ることは、科学の学習の本の一部でしかありません。

 

 ルールは単純で、何も見ずに、自分の頭と手だけで、自然現象の謎に挑戦します。

 正解を求めるのが目的ではなく、その過程で、たくさん間違えること、とことん考え抜くこと、手近なもので実験したり観察したりすること、そして自分の発想を他人にわかるように表現することを学ぶのが目的です。

 

 その実際の例はサイトマップ4【これ、物理?】にまとめてありますので、そちらをご覧ください。

 人間本来の科学発想力がどれほど豊かなものであるかが、おわかりになると思います。

 

 【質問リレー】と同じ発想で行っているのが、【未知への挑戦】や【エウレカ(発見)実験】です。まとめていうなら【法則発見遊び】でしょうか。

 

 おもしろいことに、大学の面接試問で良い結果を残せる人は、決まって【法則発見遊び】で、きちんとした結果が残せる人ばかりなんですね。

 

 遊びとはいえ、科学の専門分野が求めている人材を鍛える教育プログラムになっているのです。

 

 こちらは、以前、カラー版を紹介したことがあります。

 

 「わかる」「わからない」の言葉の段階を分類し、その問題点と対処法を書いたものです。もうずいぶん前に、川勝博氏から頼まれ、イラスト化したものです。

 

 じつは後半の段階には、もうひとつ、「わかっていたつもりで他人に教えるとき、わかっていないことに気づく」という段階もあります。

 

 ちょっとだけ、コメントをしておきます。

 

【第1段階】

 これは、思い込みで「わからない」と考えているケースです。

 実態をよく調べてみると、ほとんどの場合、その「わからない」という教科は、家では学習していません。

 やっていなければ、わからないのは当たり前ですね。

 「とにかくはじめること」は重要なアドバイスですが、この後、すぐに第2段階に移って、「やはりわからない」というようになります。

 指導する側もまた、そうなることを予想した上でアドバイスしないと、無責任な指導になります。

 

【第2段階】

 これは、さまざまなケースがあります。

 マジメに家でやってみたけど、「わからなかった」というケース。

 マジメに講義を聴いてみたけど、「わからなかった」というケース。

 どちらも、第1段階とは違い、一度はマジメに取り組んだので、頭ごなしに「ダメだぞ」とはいえません。

 川勝氏のコメントには「何が大事なポイントか考えながら、重点的に勉強しなさい」とありますが、そんなにうまくはいきません。

 

 なぜか。

 

 理由は単純です。

 

 それまで食わず嫌いでほとんどやっていなかった教科を、自力でやり直す場合、「重点的に」といわれても「重点がどこなのかわからない」のが普通だからです。

 この場合、もっとも重要なのは、うまくアドバイスしてくれる人がそばにいるかどうかですね。

 先生に質問に行く、よくわかっている友だちに質問する、自分に合う参考書で学習する、という3つが、その具体的な対処法になります。

 

 こういう段階の人が使う参考書は、進学塾の講師が書いた参考書を使ってはいけません。受験的なテクニックより、内容の基本を押さえて書いてある、大学の先生や高校の先生が書いた参考書の方がよいでしょう。

 参考書を選ぶときは、あるテーマについて、いくつかの参考書を読み比べ、自分にとって「わかりやすい」本を選びましょう。

 

【第3段階】

 困ったことに、この第3段階を学習の最終段階のように指導する先生方がけっこう多いのです。これでは、テストでよい点が取れている人は、自分に才能があると思いこんでしまいますね。

 習ったことを理解しているかどうか確認するテストで満点がとれても、それは科学の才能を裏付けするものではありません。慢心しないようにしてください。

 

 テストからはなれ、そのテーマについて、本当はどういうことなんだろう、もしこうだったらどうなるのか、などと、友だちと議論してみましょう。

 きっと、自分が本当はなにもわかっていないことがわかるはずです。

 

 そこに気がつくと、いよいよ次の段階に移れます。

 

【第4段階】

 これが、本格的な研究の第1段階。

 「わかっていたつもりだったけど、わからなくなってきた」と思うようになったら、頭が本当の回転をはじめた証拠です。

 川勝氏のコメントは「一人でトコトン考え抜いて」みようということです。

 

 海外の人と交流してみてわかったのですが、西欧の科学教育では、日本の第1〜第3段階はありません。どうも、第1〜第3日本やアジア諸国の教育に共通する段階のようです。

 

 「勉強はつらくきびしいもの」というのは、日本やアジアに見られる価値観です。欧米での科学教育では「いかに興味をもってもらうか」がもっとも重要な教育的テーマになっているんですね。そのため、必要以上に難しい数式を使って科学を教えることもしません。

 ただし、その分、大学以降に内容が数学的にレベルアップし、テストなどが厳しくなり、毎日が日本の受験勉強のようになります。大学に入るのはカンタンでも、卒業が難しくなるんですね。日本はその逆で、大学に入るのはとても難しいですが、卒業するのはカンタンです。

 

 どちらが、よいのでしょう?

 

【第5段階】

 孤独にトコトン考えているうちに「こんなばかなことを考えているのは自分だけだ」「これは本当に意味のあることなんだろうか」と、不安になります。(まあ、人の性格によるかもしれませんが)

 

 最初に説明した【質問リレー】は、日本の教科書通りの講義では学びにくい、第4・第5段階を体験してもらうための遊びでもあります。(もっとも、【質問リレー】は、この【5段階】の表に合わせて発案したものではありませんが)

 

 ここには書いてありませんが、もう一つ、ぼくの講義の大事なポイントがあります。

 

 それは【対話】です。

 

 科学は、対話でこそ理解が深まる学問です。

 そもそも実験や観測は、人と自然との対話です。また、人と人との対話や議論は、科学法則の原理を理解する上で、なによりも大切な作業です。

 

 それで、ぼくの講義では、かなりの時間をさいて、学生同士の対話・議論ができるように組んでいます。

 

 でも、今回の新型コロナ対策では、とくに密接にしゃべり合う場面を避ける必要がありますから、学生同士の対話は最小限におさめなくてはなりません。

 従来とは少しばかり、やり方を変えなくてはならないなあと、考えています。

 

 では、次回から、いよいよ、物理の内容に入っていきます。

 

 

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