◎「つちかひ(培ひ)」(動詞)

「つちかひ(土飼ひ)」。土(つち)で飼(か)ふこと。「かひ(飼ひ)」は、通常、牛や馬などを管理下に置き餌や水を与えなどし育て生かすことを言いますが、この語は原意的には「かひ(支ひ)」であり、原意的には、環境にある何かに対し交感を生じさせる努力を進行させることを意味し、そのなにかの発生や生存を管理的に維持することを意味する。これを土で、すなわち(とりわけ食用の)植物に対し、おこなうのが「つちかひ(培ひ)」。意味発展的には、水を与えるなどし長年育て続けたように維持し発展させてきた自分の社会的信用などに関しても言う。世の中が土で、そこに自分の信用の種が撒かれたわけです。それが花を開いたり枯れたりする。

「培 ツチカフ 糞 同」(『書言字考節用集』:「糞(フン)」が「つちかふ」と読まれている。ようするに、肥(こえ:肥料)をあたえるということでしょう)。

「営早瓜一段………壅(ツチカヒ)并芸(クサキル)三遍」(『延喜式』:「壅(ヨウ)」は「ふさぐ」の意。土で全体を覆うような状態にする。それを「つちかひ」と表現している)。

 

◎「つちくれ(土塊)」

「くれ(塊)」はその項参照(下記)。土(つち)の塊(かたまり)。

「土塊 ……土片也……和名豆知久禮」(『和名類聚鈔』)。

 

◎「くれ(塊)」(再記)

「こいれ(凝入れ)」。「いれ(入れ)」は自動表現。「こ(凝)」になっているもの。塊(かたまり)。「つちくれ(土塊)」。生姜(シヤウガ)の和名は「くれのはじかみ(塊根の山椒)」と言います。(その根が。山椒の実のように)辛味のある塊だから。

「くれがつきよいかたびらのすそには………くれがつくともはやせや地しろのかたびら」(『田植草紙』:「かたびら」は裏地のない一枚だけの布・着物。これは田植えの歌であり、「くれ」は泥塊)。

「土塊 ………和名豆知久禮」(『和名類聚鈔』)。「塊 ……ツチクレ」「堆 ……ツチクレ」「泥 ……ツチクレ」(『類聚名義抄』)。