第10回浜松国際ピアノコンクール 第1~3次予選最終日の感想追記 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

静岡県の浜松市で開催されている、第10回浜松国際ピアノコンクール(通称「浜コン」)(公式サイトはこちら)。

これまで、ネット配信(こちらのサイト)を聴いての感想を書いてきたが、各予選の最終日については配信を聴く前に結果発表になっていたので、感想は特に書いてこなかった。

そこへ、先日の記事(こちら)のコメント欄で、ありがたいことに各予選の最終日についても感想を書く旨リクエストいただいた。

駄文&偏った感想で申し訳ないのだが、せっかくなのでここに追記させていただく。

ちなみに、第10回浜コンについてのこれまでの記事はこちら。

 

第10回浜松国際ピアノコンクール 出場承認者発表

第10回浜松国際ピアノコンクール チケット販売開始

第10回浜松国際ピアノコンクールの課題曲を見て思うこと

ステファノ・アンドレアッタが第10回浜松国際ピアノコンクールへの出場を辞退

第10回浜松国際ピアノコンクール 出場順決定

第1次予選 第1日

第1次予選 第2日

第1次予選 第3日

第1次予選 第4日

第1次予選 第5日

第2次予選 第1日

第2次予選 第2日

第2次予選 第3日

第3次予選 第1日

第3次予選 第2日

 

 

 

 

 

【第1次予選 第5日】

 

1

48 松岡 優明 MATSUOKA Yuma (日本 1988年生まれ)

 

D. スカルラッティ:ピアノ・ソナタ ニ長調 K.96(L.465)

F. ショパン:練習曲 ハ長調 Op.10-7

N. メトネル:6つのおとぎ話 Op.51 第1、5、6曲

 

歩いたり立ち止まったりを繰り返すような、独特なルバートの使い手。

メトネルではそれが味になっているが、スカルラッティやショパンではそれがうまくいっていないというか、必然性があまり感じられない。

 

 

2

65 ポリーナ・サスコ Polina SASKO (ウクライナ 1993年生まれ)

 

C. ドビュッシー:前奏曲 第2集 より 「月の光がそそぐテラス」

C. ドビュッシー:前奏曲 第1集 より 「さえぎられたセレナード」

S. ラフマニノフ:絵画的練習曲 変ホ短調 Op.33-6

S. ラフマニノフ:前奏曲 ト長調 Op.32-5

S. ラフマニノフ:前奏曲 イ短調 Op.32-8

 

スラヴらしい、憂いを含んだ美しい音色と、豊かな抒情性がある。

技巧派というわけではなさそうだが、技巧のための技巧でなく、常に音楽性への思慮がある(「さえぎられたセレナード」でのアッチェレランドの仕方など印象的)。

 

 

3

16 アンドレイ・デニセンコ Andrey DENISENKO (ロシア 1992年生まれ)

 

W. A. モーツァルト:ロンド イ短調 K.511

F. リスト:超絶技巧練習曲 第10番 ヘ短調

S. ラフマニノフ:絵画的練習曲 ハ短調 Op.39-1

W. ボルコム:12の新しい練習曲 第8番 「地獄のラグ」

 

こちらもロシアらしい美しい音色を持つが、選曲のためかテクニックの弱さが目立ってしまっている(リストの終盤の右手のオクターヴなど)。

ラフマニノフも少しのんびりした感じであり、緊張感に乏しい。

 

 

4

81 ローランド・バルデス Rolando VALDES (メキシコ 1990年生まれ)

 

A. スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第5番 Op.53 

G. リゲティ:練習曲 第4番 「ファンファーレ」

G. リゲティ:練習曲 第13番 「悪魔の階段」

 

緩徐な部分での表現力はなかなかのもの。

ただ、急速な部分は、いまいちとまでは言わないにしても垢抜けない感じであり、もっとキレや洗練が欲しいところ。

 

 

5

78 梅田 智也 UMEDA Tomoya (日本 1991年生まれ)

 

A. スクリャービン:2つの詩曲 Op.32 第1番

S. ラフマニノフ:絵画的練習曲 ニ短調 Op.33-5

J. ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 Op.35 第2集

 

スクリャービン、ラフマニノフはなかなか雰囲気が出ている。

ブラームスはかっちりしており、目を見張る演奏という感じではない。

技巧的にもところどころ余裕がなさそう。

また、全体的に音色がやや硬質で地味な印象か。

 

 

6

60 パク・ミニョン PARK Min Young (韓国 1988年生まれ)

 

F. J. ハイドン:ピアノ・ソナタ ヘ長調 Hob.XVI:23

F. ショパン:練習曲 嬰ト短調 Op.25-6

J. シュトラウス/A. グリュンフェルド:ウィーンの夜会 J.シュトラウスのワルツ主題による演奏会用パラフレーズ Op.56

 

ハイドンはそつなくこなしているし、ショパンは完全ではないとはいえ、同曲を弾いているコンテスタントたちの中では弾けているほう。

シュトラウスは、彼女ならではの明るい音色が合っているし、丁寧でもあるけれど、この曲らしい技巧的な華やかさは出せていない印象。

 

 

7

40 ブライアン・ルー Brian LE (アメリカ 1998年生まれ)

 

F. ショパン:練習曲 ヘ長調 Op.10-8

F. J. ハイドン:ピアノ・ソナタ ハ長調 Hob.XVI:48

F. リスト:超絶技巧練習曲 第7番 「エロイカ」

 

ショパン、わずかに綻びもあるがかなりの出来だし、ハイドンとリストはさらに上をいく洗練度。

優勝候補の一人か、と思ったほど(結局3次で落ちてしまったが)。

 

 

8

10 ジャン・チャクムル Can CAKMUR (トルコ 1997年生まれ)

 

D. スカルラッティ:ピアノ・ソナタ イ短調 K.175(L.429)

F. ショパン:練習曲 ハ長調 Op.10-7

F. J. ハイドン:アンダンテと変奏曲 へ短調 Hob.XVⅡ:6

F. リスト:超絶技巧練習曲 第12番 「雪かき」

 

タッチの明瞭度が高く、また粒がそろっている。

また音楽的なセンスがあり、ハイドンやリストが美しく仕上がっている。

テクニック的には最高度とは言わないがなかなかのものだし、音楽性である程度カバーできている(ショパンのメロディの歌わせ方など)。

 

 

9

27 アリョーシャ・ユリニッチ Aljoša JURINIĆ (クロアチア 1989年生まれ)

 

C. ドビュッシー:夢想

F. ショパン:練習曲 変イ長調 Op.25-1

F. ショパン:練習曲 ヘ短調 Op.25-2

F. ショパン:練習曲 ヘ長調 Op.25-3

F. ショパン:練習曲 イ短調 Op.25-4

F. ショパン:練習曲 ホ短調 Op.25-5

F. ショパン:練習曲 嬰ト短調 Op.25-6

 

ドビュッシー、彼の得意曲であり、相変わらず美しい。

ショパン、彼らしいさわやかな美音が聴けるが、先々月のリーズコンクールでも感じたように、テクニック面ではやや弱いところもある。

例えば、フレージングが完全に滑らかとは言えない。

 

 

10

4 パン・ギョンナン BANG Kyung Nan (韓国 1995年生まれ)

 

D. スカルラッティ:ピアノ・ソナタ ト長調 K.13(L.486)

F. ショパン:練習曲 嬰ハ短調 Op.10-4

F. ショパン:幻想曲 ヘ短調 Op.49

 

全体的に、丁寧なのだが技巧的にも音楽的にもおとなしめ。

並みいるコンテスタントの中で抜きんでるものがあるかと言われると、難しいところか。

 

 

11

28 上原 琢矢 KAMBARA Takuya (日本 1997年生まれ)

 

J. S. バッハ/E.ペトリ:羊は安らかに草をはみ BWV.208
F. リスト:超絶技巧練習曲 第5番 「鬼火」

F. リスト:バッハの主題による幻想曲とフーガ

 

バッハは大変美しく、コラール旋律までしっかりと歌えている。

ただ、リストの2曲では、残念ながら技巧的な不安定さが目立ってしまっている。

 

 

12

24 チョン・ヨンソプ JEON YoungSeob (韓国 1989年生まれ)

 

F. ショパン:練習曲 ハ長調 Op.10-1

M. ラヴェル:「鏡」より 道化師の朝の歌

F. ショパン:スケルツォ 第3番 嬰ハ短調 Op.39

 

弾けていないわけではないのだが、表情付けがなくのっぺりしている。

ショパンには歌がなく、ラヴェルには躍動感がない。

同音連打部分であからさまにテンポが落ちるのもいただけない。

 

 

13

19 アナ・ゴガワ Ana GOGAVA (ジョージア 1992年生まれ)

 

D. スカルラッティ:ピアノ・ソナタ ニ短調 K.1(L.366)

R. シューマン:暁の歌 Op.133

S. ラフマニノフ:絵画的練習曲 ニ長調 Op.39-9

 

一つ前の奏者に比べると表情付けがあるが、シューマンの「暁の歌」のようにコンクールに不向きな曲で勝負できるほどかといわれると、そこまでではない印象(石井楓子のような演奏なら話は別だが)。

ラフマニノフも、技巧的な問題のためか通常よりおっとりしている。

 

 

14

9 ツァイ・ヤンルイ CAI Yangrui (中国 2000年生まれ)

 

D. スカルラッティ:ピアノ・ソナタ ホ短調 K.98(L.325)

F. リスト:超絶技巧練習曲 第5番 「鬼火」

J. ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲 Op.35 第1集

 

リストは右手の重音トリル風の動きや左手の跳躍が安定しているし、ブラームスもなかなかのテンポで弾けている。

ただ、驚くほどうまいというほどではなく、また少し危うい部分もある。

音も硬く表情付けも薄味であり、魅力的かといわれると微妙なところ。

 

 

 

 

 

【第2次予選 第3日】

 

1

22 今田 篤 IMADA Atsushi (日本 1990年生まれ)

 

佐々木 冬彦:SACRIFICE

A. スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第4番 嬰ヘ長調 Op.30 

J. ブラームス:ピアノ・ソナタ 第1番 ハ長調 Op.1

 

スクリャービン、丁寧で悪くないが、もう少しふわっとした瞑想感が欲しい(例えば1次で同曲を弾いたザン・シャオルーのような)。

また、少しミスが多い。

それに対して、ブラームスはしっかりとした出来となっている。

彼には、こうした地に足ついた曲のほうが合っているかもしれない。

 

 

2

17 タチアナ・ドロホワ Tatiana DOROKHOVA (ロシア 1991年生まれ)

 

佐々木 冬彦:SACRIFICE

L. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110

F. リスト:スペイン狂詩曲

 

ベートーヴェン、本年春の高松コンクールで彼女の実演を聴いたが(そのときの記事はこちら)、やはり今回も印象は同様。

真面目に取り組んでいるのは分かるが、もっと心からの歌が欲しい。

リストも音が硬めだし、また後半の急速部では技巧的にも苦しい。

 

 

3

41 イ・ヒョク LEE Hyuk (韓国 2000年生まれ)

 

佐々木 冬彦:SACRIFICE

S. プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第7番 変ロ長調 Op.83

F. リスト:ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調 (カデンツァ M.A.アムラン版)

 

個人的には、1次よりも印象が良くなった。

特別なキレはないが、全体的に素直で品がよく(プロコフィエフやリストでさえ)、いわゆる爆演とは違った魅力がある。

その意味では、牛田智大と似ている。

違いとしては、牛田智大よりもやや明るめの音色を持つ点と、あくまで丁寧で落ち着いた牛田智大と違って少しアグレッシヴなときがある分、うまくいくところといまいちなところの差が大きい点か。

 

 

4

65 ポリーナ・サスコ Polina SASKO (ウクライナ 1993年生まれ)

 

佐々木 冬彦:SACRIFICE

F. ショパン:ノクターン 第8番 変ニ長調 Op.27-2

M. ラヴェル:水の戯れ

S. プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第2番 ニ短調 Op.14

 

悪くない演奏だが、緻密なタッチコントロールというよりは、やや感覚重視、勢い重視の印象か。

ラヴェルやプロコフィエフという選曲面でも、もう少し繊細かつ余裕ある音楽づくりのほうが、私としては好みである。

また音色も、美しいとはいえ質としてはやや硬めである。

1次のドビュッシーやラフマニノフほどの好印象は得られなかった。

 

 

5

78 梅田 智也 UMEDA Tomoya (日本 1991年生まれ)

 

佐々木 冬彦:SACRIFICE

F. シューベルト:ピアノ・ソナタ 第14番 イ短調 D.784 

S. プロコフィエフ:4つの小品 Op.4

 

シューベルト、歌心があって悪くないのだが、私のイメージするシューベルトよりは少しガシガシした感じの演奏ではある。

プロコフィエフも、「悪魔的暗示」などなかなか力強くて良いけれど、もう少しキレか迫力が欲しくはあり、また少し瑕もある。

 

 

6

40 ブライアン・ルー Brian LE (アメリカ 1998年生まれ)

 

L. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第30番 ホ長調 Op.109

佐々木 冬彦:SACRIFICE

F. ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 Op.52

 

洗練された技巧と、行き過ぎのない自然な歌心が素晴らしい。

ただ、ベートーヴェンの第2楽章やショパンの終盤など、途中わずかに危うくなる箇所もないではない。

同年代のトップクラスの中国系アメリカ人ピアニスト、エリック・ルーやダニエル・シューあたりと比べると、技巧の洗練度としてはやや劣るかもしれない。

それでも、今大会の顔ぶれの中では相当上のほうだと思う。

 

 

7

10 ジャン・チャクムル Can CAKMUR (トルコ 1997年生まれ)

 

L. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 Op.101

佐々木 冬彦:SACRIFICE

B. バルトーク:野外にて

 

ベートーヴェン、私のこの曲のイメージよりはややロマン寄りの演奏。

それでも第1楽章は美しいが、第2、4楽章ではテクニック的なぎこちなさがやや目立つ。

バルトークでは持ち直しているが、それでも例えば3次でのブライアン・ルーの同曲演奏のような洗練には達していない。

 

 

8

27 アリョーシャ・ユリニッチ Aljoša JURINIĆ (クロアチア 1989年生まれ)

 

L. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第13番 変ホ長調 Op.27-1

佐々木 冬彦:SACRIFICE

F. ショパン:練習曲 嬰ハ短調 Op.25-7

F. ショパン:練習曲 変ニ長調 Op.25-8 

F. ショパン:練習曲 変ト長調 Op.25-9 「蝶々」

F. ショパン:練習曲 ロ短調 Op.25-10 

F. ショパン:練習曲 イ短調 Op.25-11 「木枯らし」

F. ショパン:練習曲 ハ短調 Op.25-12

 

ベートーヴェン、彼ならではのさわやかな音楽づくりが曲によく合うし、テクニック的な部分もこの曲ではあまり気にならない。

ただ、ショパンのほうはエチュードということもあり、彼の美しい音楽性以上にテクニック面での頼りなさが前面に出て、気になってしまう。

彼は、(必須でない限り)エチュードを選ぶのをやめたほうが、評価されやすいように思う。

 

 

 

 

 

【第3次予選 第2日】

 

1

21 アンドレイ・イリューシキン Andrei ILIUSHKIN (ロシア 1995年生まれ)

 

W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K.478

J. ブラームス:6つの小品 Op.118

L. ヤナーチェク:ピアノ・ソナタ 「1905年10月1日、街頭にて」

A. スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第2番 嬰ト短調 Op.19 「幻想ソナタ」

 

独自の個性があり、また音もロシアらしい美しさがある。

しかし、テクニック的にはやはり弱い。

また、ロシアらしい息の長いフレージングや雄大なデュナーミク、アゴーギクの設定はなく、どちらかというと恣意的な、といって言いすぎであれば刹那的な感覚に基づいている印象。

 

 

2

22 今田 篤 IMADA Atsushi (日本 1990年生まれ)

 

W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K.478

F. シューベルト:楽興の時 D.780 Op.94

S. プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第7番 変ロ長調 Op.83

 

モーツァルト、粒がよくそろって美しい。

音色はやや地味というか内省的だが、これはこれで良い。

シューベルトも渋い選曲だが、こういう何気ない曲を何気なく弾いて味わい深くなるのが、彼の持ち味だと思う。

音楽にそこはかとなく影が差す、というか。

プロコフィエフにはもう少し強烈さや華麗さがあってもいいとは思うが、真面目な雰囲気の中にも充実感がある。

 

 

3

41 イ・ヒョク LEE Hyuk (韓国 2000年生まれ)

 

W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調 K.493

P. チャイコフスキー/M. プレトニョフ:くるみ割り人形

C. V. アルカン:イソップの饗宴

C. V. アルカン:ピアノ独奏による交響曲 Op. 39 No.4-7

 

モーツァルト、洗練されきっているとは言えないが、やはり素直な感じの明るい歌心がある。

チャイコフスキーやアルカンでは、メロディの歌わせ方や間の入れ方、音楽の華やがせ方がうまく、聴かせる。

ただし、やはり速い走句ではスムーズでなくなったりミスが増えたりする。

とはいえ割とうまくごまかせており、その意味でも(完璧主義というよりは)ヴィルトゥオーゾ・タイプと言っていいかも。

 

 

4

78 梅田 智也 UMEDA Tomoya (日本 1991年生まれ)

 

W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K.478

C. フランク/H. バウアー:前奏曲、フーガと変奏曲 Op.18
F. リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178

 

モーツァルト、やや地味だけれど、速いパッセージの滑らかさはなかなかのもの。

フランク、こちらもロマン的な雰囲気が出ていて良い。

リストも力強くて良いが、少しどっしり落ち着きすぎているか。

ここぞというところでの加速があまりなく、もう少し畳みかけるような勢いがあると良かったかもしれない。

 

 

5

40 ブライアン・ルー Brian LE (アメリカ 1998年生まれ)

 

F. リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178

B. バルトーク:野外にて

W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調 K.493

 

リスト、今回3次で同曲を弾いた4人の中では最も洗練されている。

ロマン的でありながら速い走句も明瞭で、かつ内声部の浮き上がらせ方なども適切。

ただ、完璧というわけではなく、後半は目立つミスも少しみられたが。

バルトークもよく洗練されている(バルトークには洗練よりも土の香りが欲しいといった意見もあるかもしれないが)。

モーツァルトも滑らかで良い(こちらも少し瑕はあるが)。

 

 

6

10 ジャン・チャクムル Can CAKMUR (トルコ 1997年生まれ)

 

F. ショパン:ポロネーズ 第7番 変イ長調 Op.61 「幻想」 

F. シューベルト:ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D.960

W. A. モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 K.478

 

 

洗練されているというほどではないし、瑕も多いけれど、明瞭かつロマン的な歌わせ方が魅力ではある。

特に、シューベルトでは彼のタッチの明瞭さ、古典性を保ったリリシズムがプラスに作用しているように思う(このシューベルト最晩年の天上の音楽には、濃厚すぎるロマンティシズムは合わない)。

モーツァルトも、完全に滑らかというわけではないにしても軽やかであり、彼の音楽性にはわりあい合っているように思う。

 

 


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