フィルハーモニカー・ウィーン名古屋 | geezenstacの森

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フィルハーモニカー・ウィーン名古屋
第20回記念演奏会


 梅雨入りで雨模様の天気でしたが、2日前にチケットを購入していたので出かけて来ました。何しろ曲目がR.シュトラウスの「アルプス交響曲」が演奏されるとあっては見逃す事は出来ません。また、このオーケストラは名前にウィーンを冠しているのは伊達ではなく、ウィーン式の楽器を揃えていてそれらを使って演奏していますからウィーンの香りがぷんぷんします。ましてや今回は指揮をウィーンフィルで活躍していたカール・ライトヤー氏が行うとあってはなおさらです。案の定、開場すると見るみる席が埋まって行きます。久しぶりにこんなに客席が埋まったのを見ました。

 

 今回はオール・シュトラウスプログラムです。といっても名前だけシュトラウスで揃えたものでしたけどね。

 

 

   ステージを見てもわかる通り、普段見かけない楽器が多数並んでいます。左端にチェレスタとハープ、その奥にウインドマシンやカウベル、グロッケンシュピール、ティンパニの横にはサンダーマシーンなどが並びます。そして、何と言っても白眉はオルガンです。そう、この曲では後半オルガンが大活躍するんですなぁ。誠に楽しみな曲です。

 

 前半の最初は金管合奏によるR.シュトラウスの「ウィーン・フィルハーモニーのためのファンファーレ」が演奏されました。実はウィーンの1月の恒例行事は1日の「ニューイャー・コンサート」と中旬の「ウィーンフィル舞踏会」があります。

前者では最後に「ラデツキー行進曲」が演奏されますが、この舞踏会ではオープニングにR.シュトラウスの「ウィーン・フィルハーモニーのためのファンファーレ」が演奏されます。そして、この演奏会では本来の編成ではなく、現在のウィーン舞踏会と同じ、ボルン4、ホルンデューバ4本の編成で演奏されました。

 

 

 

 さて、プログラムはそれに先立ち前半はシュトラウスファミリーの曲が並びます。最初はヨハン・シュトラウス2世の「ジプシー男爵」序曲です。「こうもり」序曲ほどは有名ではありませんがヨハン・シュトラウスを代表する曲でしょう。まあ、ここでは焦点がボケないようにちょっと地味な「ジプシー男爵」を持ってきたのは正解と言っていいでしょう。編成的にもハープも入りますしね。

 

 

 ジプシー男爵からは前半の最後に「行進曲」も演奏されましたがこちらは指揮者が演奏するのを忘れて袖に下がりかけるというハプニングもありました。また、プログラムではヨーゼフ・シュトラウスの「天体の音楽」とポルカ・マズルカ「女心」の順番になっていたのですが、実際には「女心」が先に演奏される変更がありました。長さの点のバランスでもその方がよかったのでしょう。

 

 指揮者のカール・ヤイトラー氏は上の浜松での演奏のように式の基本形をきっちり守り、わかりやすい指揮をします。それでいて音楽が硬直しているというのではなく、奏者の方はでがわかるので思い切って楽譜に忠実に音量を爆発させることができます。派手な演出はないのでみている分には退屈ですが、聴いている分には式が邪魔にならず音楽を楽しむことができます。

 

 

 後半はメインディッシュの「アルプス交響曲」です。この曲の原体験がベームの演奏で、しかも擬似ステ盤でしたからあまりいい体験をしていません。今回ようやく生でこの曲と対峙することができました。面白かったのは冒頭の「夜」の演奏は全員がステージに乗り金管群も演奏しましたが「日の出無の部分になるとその金管の一群が退場してしまいました。その後、「登り道」の部分になると上手の出入り口が開けられ、バンダのように舞台裏でホルンを中心とした金管楽器のファンファーレが奏されたのです。これは円出荷と思ったのですが、本来の楽譜にはそういう指示が書かれてあるんですなぁ。ということで、まるでこの曲がウィーンで初演された時の感動を感じながら曲を楽しむことができました。

 

 曲半ばではトロンボーンが意気揚々と頂上の主題を演奏し一つのクライマックスを構成します。まあ、アマチュアのオームストラですからでの音が落ちたり、ひっくり返ったりという些細なミスはありましたが実に堂々とした演奏です。後半のクライマックスの「雷鳴と嵐」はやはり聴き物でした。何しろステレオで左からウィンドマシンが唸りをあげ、右手では雷鳴が轟くのですから見ていて面白くないわけがありません。アメリカの「大峡谷」も面白いのですが、アルプスの位置に血を時間経過の中で克明に描いている「アルプス交響曲」はスケールと旋律線の複雑な絡みからいってもぐろーふぇのはるか上を行っています。そして、もう一つの効きとせ頃はオルガンで、曲全体に通奏低音のような重厚な響きを纏わせながら演奏されていて、こういうのは実演でないと確認できないところです。今回は編成も大きく、第1、第2ヴァイオリンは8プルトづつの編成で弦の響きも充実していました。

 

 下の参考演奏は指揮者が若いエストラーダの演奏できびきびとした指揮ぶりですが、この日の演奏と比較するとここまで振り回さなくても音楽は鳴るのにと思ってしまいます。

 

 

 最近の演奏会の中では一番楽しめた演奏会でした。そうそう、この編成ですからアンコールにはヨハン・シュトラウス2世の「雷鳴と電光」が演奏されました。そこでもウインドマシーンとサンダーマシーンが活躍したことは当然で、スケールの大きな演奏でした。このオーケストラの次回の演奏は12月8日で、マーラーの交響曲第4番がメインだそうです。