ドラマ「広重ぶるう」
文政13年(1830年)。歌川広重(阿部サダヲ)は家業の火消しで生計を立てる下級武士だった。派手な美人画・役者絵全盛期にもかかわらず広重は地味な画風で売れず、もがいていた。しかし妻・加代(優香)だけはそんな広重を気丈に励ましつつ、質屋に通い、身を削って支える。そんな時にある版元から渡されたうちわにベロ藍という舶来絵具で絵が描かれており、その美しさに衝撃を受け、広重は叫ぶ「この青が活(い)きるのは空!」
鬼才・葛飾北斎(長塚京三)の存在、同門の歌川国貞(吹越満)との差を感じつつ、ベロ藍を初めて使用した「東都名所」の売れ行きは不調。そんな中、献身的な加代がつなげる「東海道五十三次」を出版する版元・保栄堂の主人・竹内孫八(髙嶋政伸)との出会い。広重は周りの人間に支えながらも、もがき苦しみ、おのれの描きたい画を追い求める。そして、ついに描きたいものが見つかった矢先に加代の身に、、、
そして、安政の大地震。失われた江戸を求めて、広重は再び筆をとる。ベロ藍を武器に、後にゴッホが模写し、世界の絵画に大きな影響を与える「名所江戸百景」を描き出す!
上はNHKのこのドラマの開始にあたっての謳い文句でした。実はこのドラマ、今回が初めての放送ではありません。今年の3月にBSP4Kで、そして4月にはBSで放送されていました。この時は110分版で一挙に放送されているのですが、今回は総合テレビで3回に分けて放送されています。すでに第1回は方左右されましたが、再放送は次のような予定になっています。
総合 第1回:2024年6月23日(日)午前6:10~6:52
総合 第2回:2024年6月30日(日)午前6:10~6:46
総合 最終回:2024年7月7日(日)午前6:10~6:46
この物語、原作を読んでブログに取り上げています。 残された作品に対する解説本は数々あれどなかなか広重のその人となりをきちっと取り上げた文献は少なく、この本で江戸っ子としての広重と養子として常火消し役人として使えた下級武士としての悲哀を知りました。決して順風満帆の人生でなく絵師として遅咲きの人生の苦労を垣間見ることができます。主人公の歌川広重を「阿部サダオ」はなかなかの怪演でまるで今年の一月期に放送された「不適切にほどがある」とダブツて見えるのが面白いところです。
【原作】 梶よう子 『広重ぶるう』
【脚本】 吉澤智子
【音楽】 遠藤浩二
【語り】 檀 ふみ
【出演】 阿部サダヲ 優香
勝村政信 笹野高史 渡辺いっけい 黒沢あすか 中島ひろ子 小松和重 前野朋哉 みのすけ
山本裕子 若林時英 野添義弘 吹越満 髙嶋政伸 / 長塚京三
【演出】井上昌典
【制作統括】 佐野元彦(NHKエンタープライズ)、松田裕佑(松竹)、遠藤理史(NHK)
今回は3話に分けて放送されていますが、時間帯が朝の6時10分からということで視聴するにはちょっと厳しい時間帯です。そして、この時間帯は時刻が表示されるということで、非常に目障りですしましてや天気予報までテロップで表示されています。深夜帯でもいいのでもう少し放映の時間帯に工夫が欲しいものです。また、なぜ総合では110分版で放送されないんでしょぅなぁ。疑問の残るところです。
ところで別番組ですが、6月26日午後10時からは「歴史探偵 江戸の大ヒットメーカー 歌川広重」という番組が放送されます。まあ、こちらはその広重の作品を分析する番組ですからよくあるものです。それより、広重の人となりを知ることができるこのドラマの方がはるかに魅力的というものです。
さあ、見てから読むか、読んでから見るか?知らない広重の世界が垣間見えます。