こんにちは。行政書士もできる往年の映画ファンgonzalezです。
訪問ありがとうございます。
「カティーサーク カティーサークと何度も口の中でくりかえしていると
それはある瞬間から カティーサークでなくなってしまうような気がすることがある
それはもう緑のびんに入った 英国のウィスキーではなく
実体を失った ちょうど夢のしっぽみたいな形の
もとカティーサークという ただのことばの響きでしかない」
村上春樹 著 「象工場のハッピーエンド」収録「カティサーク自身のための広告」より
『カティーサーク』 Cutty Sark 約1,000円(税込)
現在は、税込846~1058円にて購入可。但し、我家近辺限定情報なのだが。
さて、この『カティーサーク』も『ホワイトホース』同様価格破壊のあおりを喰らった銘柄の一つである。
セールでは税抜き価格799円を見掛けるほどだ。
そんな扱いを受けてはいるが、見た目も中味も一級品といえる。標準よりもスリムで、美しい緑色のボトルに山吹色の鮮やかなラベル。実に見栄えが良い。
キャップとボトルにはかつて活躍した帆船カティーサーク号にちなんで、羅針盤を模したデザインが施されている。
やはりウィスキーに限らず、酒はボトルとラベルが重要アイテムと心得よ。
では、肝心の中味を吟味しようではないか。
開栓。香りは軽~くヨード香。そしてエナメル系刺激臭。悪い印象ではない。
むしろヨードの香りが期待感を高めている。
ここで少量口に含んでみよう…麦芽風味?でも目立ったクセが無くかなりライト。
昨年4/20に紹介した『Black&White』並みの軽さだ。
但し、風味がもっと強く、華やかさも感じさせる。これはストレートでもいける。
次いで、加水してみる。むぅ…加水するとさらにグイグイいけちゃう。口当たりがかなり良い。
そして、グラスの残り香にはうっすらと樽香が。ここ重要。
全体的な印象としては、ライトでマイルド。しかしそれなりの個性を有しており安酒感は全くない。
さすが1923年誕生のロングセラーブランドだけある。初心者でもトライしやすいだろう。
米国市場を意識したライト感覚のブレンドだ。1980年の映画『アトランティック・シティ』で、海岸沿いの歩道にでっかく看板が掲げてあったのを思い出す。
*『アトランティック・シティ』 画面奥の看板に注目*
*ついでにスーザン・サランドン*
なお、現在では誕生以来の“SCOTS WHISKY”というラベル表記が“SCOTCH~”と変更されている。
*SCOTS SCOTCH WHISKY* *ボトル裏面には羅針盤を模した刻印*
主要モルトはグレンロセス、タムドゥーなどの穏やかなスペイサイドモルトが中心らしい。アイラモルトもブナハーブンのようにアイラの中で最も軽いモルトを使用。これらを眺めれば、なるほど華やかさも備えたマイルドな味わいにも納得。
これなら日常用には十分なレベル。というかもったいないくらいだろう。やはり財布に優しくお父さんも安心の銘柄といえようか。コストパフォーマンスほぼ満点。
村上春樹も気に入ったのかも知れない。冒頭の「象工場のハッピーエンド」や「ねじまき鳥クロニクル」にも登場するし。
で、冒頭の続き。〆の言葉は・・・
「そんなただのことばの響きの中に氷を入れて飲むと おいしいよ」
本日も最後までお付き合い下さりありがとうございました。
追記:このテイスティング記事は2015年5月執筆。
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