前回の記事

 

‐『日朝関係の視角』のまとめ その5(『韓国人の日本人観』シリーズ)‐

 

 

・ひとりの義人弁護士を偲んで

 

 

『日本人弁護士 布施辰治』

 

https://www.youtube.com/watch?v=vxzxxjzwZn0

 

2日ぶりの更新となります。

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その1(『自由法曹団』について)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その2(柳宗悦の「予言」が適中す)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その3(日本在住外国人のトップランナーの歴史)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その4(「義人弁護士」に至るまでの生い立ち)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その5(三・一独立運動以後の『義烈団』活動について)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その6(布施辰治の仕事歴)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その7(虐殺真相究明に対する帝国政府の妨害と朴烈事件の経緯)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その8(壮観たる大法廷裁判・朴烈の四ヵ条要求)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その9(朴烈事件以後の『義烈団』金祉変の弁護について)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その10(朝鮮の土地問題・植民地化の歴史)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その11(「法曹界」のキャリアと地位を捨てた活動)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その12(台湾の反植民地闘争弁護と朝鮮共産党事件)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その13(日本の労働問題「先人たち」の努力)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その14(新潟県水力発電所・朝鮮人土工「虐殺」の話)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 その15(布施氏の「弁護士資格剥奪」と その後の趨勢)‐

 

‐シリーズ・布施辰治と在日朝鮮人 最終回(生くべくんば民衆と共に、死すべくんば民衆の為に)‐

 

6布施辰治弁護士と在日朝鮮人

 

朝鮮人にとって忘れ得ない人権擁護の日本法曹人布施辰治を銘記するための論稿である。かつてない暗い谷間の時代、在日朝鮮人にして直接または間接に布施弁護士の世話にならなかった者はいない、という。かつて虐げられた朝鮮民衆を、身をもって庇い、われわれが多大な恩恵を蒙った布施弁護士の名を、どうして忘れようか。

 

彼の墓は池袋・雑司ヶ谷の寺にあるが、その碑文には“生くべくんば民衆と共に、死すべくんば民衆の為に”とある。愚かにして民衆を翻弄し高慢ぶりを発揮する輩たち、一度はその墓前にぬかずいて襟を正すときである。

 

『日朝関係の視角』 金勉一著 ダイヤモンド社 263頁より

 

布施先生については、本シリーズで詳しく縷術させて頂きましたが、彼の功績については多くの方々が知るべきだと、こういう時代だからこそ、あらゆる“邪な企て”から自分自身を守る「盾」として、より一層、人々が歴史に対して前向きになる必要があると思います。

 

 

・『政治』によって 「差別」は生み出される

 

 

京都市南区で2009年12月に起きた朝鮮学校襲撃事件をきっかけに、差別を扇動するヘイトスピーチの取材を続けている。インターネット上でも路上でも差別や中傷がやむことのない現在は、10年余り前の事件と地続きにある。直視すべきは、私たち一人一人の内なる差別意識だ。

 

「ヘイトスピーチする人は、未来の私の姿だったかもしれない。マイノリティーに無知なままだったら、ネット上やデモでヘイトをまき散らしていたかもしれない」

 

昨年11月、市内であった襲撃事件がテーマの集会。パネリストの1人で、ヘイトスピーチ規制を研究する京都女子大4年の女性(21)の発言が印象に強く残った。

 

集会には、事件の爪痕を追う連載「ヘイト追跡」の取材で訪れた。被害の実相と差別者の実像に加え、うっすらと漂う差別意識の広がりも問題提起する-。企画のコンセプトに女性の言葉が重なった。

 

女性は、小学生で韓国ドラマやフィギュアスケート女子の金姸児(キムヨナ)選手が好きになったという。中学生になり、ネット上で在日コリアンへの差別文言に触れるように。書店に並ぶ「嫌韓本」の前書きを高校生の頃に立ち読みし、「差別されて仕方ないことがあるんだろう」と考えていた。

 

障害のある親族がいる、という。歩行が不自由で言葉が出にくい親族が、相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が殺害された事件に際し、「私も死ねばよかったんやろ」と家族に向けて言う姿を、女性は覚えていた。

 

朝鮮学校襲撃事件の存在は大学の講義で知った。ゼミで在日コリアン史を学び、京都朝鮮中高級学校(左京区)に訪問して、生徒や保護者と交流を深めた。生の声を聞き、無意識に差別を許容してきた自らに気がついた。そして、やまゆり園の事件をどこかで「仕方ない」と思う気持ちがあると悟った。そうした社会の差別意識が、親族に「死ねばよかった」と言わしめたと感じた。

 

「自分が差別者であることを忘れないでいたい」。女性は、マジョリティーとしての自らが抱える差別性へ自覚的でなければならないと言う。それでこそ、差別していることに敏感であれる。鈍感であることが何より危ない-。女性のメッセージがわが身に迫ってきた。

 

襲撃事件の発生直後、私は筆を執る立場にありながら、事件の差別性を速やかに記事で批判できなかった。その後相次いだヘイトデモの現場も取材したが、問題提起の記事は書いていなかった。差別で生じた被害にも、差別者が生まれた背景にも、踏み込んで取材してこなかった。

 

10年を経て、事件を巡る連載を同僚と書き上げた。私たち取材班は「差別を許さない」との報道姿勢を明示した。そこには、差別に敏感であり続けるという決意を込めた。

 

朝鮮学校襲撃事件 京都朝鮮第一初級学校(閉校)に「在日特権を許さない市民の会(在特会)」メンバーらが押しかけ、ヘイトスピーチを浴びせた。周辺であったデモで差別的な罵詈(ばり)雑言が乱発された。民事訴訟で京都地裁判決は人種差別と認定、高額賠償を命じた。大阪高裁が支持、最高裁で確定した。


人間は完璧でないがゆえ、時には過ちを犯す。

 

問題は、それを“自覚”して“修正”へと向かうことができるかだ年も取れば、耄碌し思考が「固着して」どうしようもない状態に陥ってしまうが(やがて自分にも訪れるだろう)、若ければ柔軟性も強いので、逆により良い次元へと飛躍できるチャンスでもあります。

 

そもそも、人間が「差別意識」を持つキッカケになる“根源”を辿ったとき、やはり政治上で生み出される関係や、それに基づきマスコミに繰り出される『情報』によって、人々の認識は形作られると思います。

 

私は前回の記事で、中国に対する「政治状況」について、この国の報道体制を問いただしていく過程で、“なぜそういうに現状あるのか”について考える機会を設けた。

 

ネトウヨはあくまでも「傍系」に過ぎない(ここを見誤ってはならない)し、彼らだけに責任を着せて正せば終わりという「単純な論理構造」ではないことは、この問題と長く接してこれられた方々ならお分かりでしょう。

 

ヘイトスピーチは行わないが、日々のマスコミ報道から、特定の国家に対して「嫌悪感情」を抱く大多数の人間たちこそが、“無自覚な共犯者”として『差別が生み出される社会』を作り上げる「大本」になっている。ここを改善しないかぎり、第二第三の迫害は生み出され、社会的分断は免れないであろう。

 

「差別」とはつまり、『二級市民』としての立場を強要する行為だが、そうした「空気」日々の情報物を通じて作り上げられるわけですが、これは現在のアメリカと日本の「政治的状況」に関連した産物であることです。

 

‐『日朝関係の視角』のまとめ その5(『韓国人の日本人観』シリーズ)‐

 

過去の人類館事件で「土人たち」と同列視されたくないとした琉球人の発想や、大日本帝国の植民地政策の中で改造された台湾の人たち、はたまた香港デモを通じて「古き良き欧米の価値観」をゴリ押す暴徒連中、さらには日本社会で「一色化」を極める北朝鮮バッシング(朝鮮学校差別に関連)の末に、自己アイデンティティを破壊された一部在日コリアンの人々の「日本化」に至るまで、その歴史的事例さまざまだった(日本人の日米同盟に対する絶対視もそう)。

 

反面、そうした考えを持っていない人たちは、“主流”から遠い隅へと追いやられ、取り上げぬ価値すらないものとスルーされたり、ご機嫌取りに作り替えるため『再教育されるべき対象』として、圧迫者側なり仲間内から物質・精神両面の「攻撃」を受けることになる。

 

そこに一貫しているのは“宗主国と相反する価値観は許容しない”姿勢だ。

 

思考停止せずに考えて頂きたい。

 

なぜ在特会連中が、なぜ「韓国学校」ではなく、京都朝鮮学校(小学校)に押しかけて、ヘイトスピーチをしたのか。そこで「どんな内容」罵詈雑言を浴びせただろうか。決して「韓国関連」ではなかったはずです。

 

そこに問題の“本質”がある。

 

 

<参考資料>

 

・『日朝関係の視角』 金勉一著 ダイヤモンド社

 

・かっちんブログ「堅忍不抜」 『<朝鮮学校襲撃事件10年>内なる差別意識 直視を』記事

 

https://ameblo.jp/sanpurena/entry-12586811634.html

 

 

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