デヴィッド・リーチ監督、ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アーロン・テイラー=ジョンソン、アンドリュー・小路、マシ・オカ、ローガン・ラーマン、ベニート・A・マルティネス・オカシオ、ザジー・ビーツ、福原かれん、真田広之、マイケル・シャノン、サンドラ・ブロックほか出演の『ブレット・トレイン』。R15+。

 

原作は伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」。

 

殺し屋のレディバグ(ブラッド・ピット)はマリア・ビートル(サンドラ・ブロック)からの依頼で東京発京都行きの東海道新幹線内のあるブリーフケースを回収することになったが、同じ列車には殺し屋二人組のレモン(ブライアン・タイリー・ヘンリー)とタンジェリン(アーロン・テイラー=ジョンソン)、幼い息子をビルから突き落とされて復讐するために“プリンス”と呼ばれる殺し屋を捜す木村(アンドリュー・小路)らが乗り込んでいた。

 

ネタバレがありますので、ご注意ください。

 

アトミック・ブロンド』『デッドプール2』『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』のデヴィッド・リーチ監督最新作。

 

サンドラ・ブロック主演の『ザ・ロストシティ』の上映前に予告をやっていて、ブラピ主演でサンドラ・ブロックも出てる日本を舞台にしたバカっぽい映画のようだったんで楽しみにしていました。

 

ただ、僕はハリウッド映画で描かれる「なんちゃってニッポン」って苦手で、なんとなくその辺が不安だった。

 

 

 

 

タランティーノの『キル・ビル』ぐらいに振り切れてれば異世界として笑って観ていられるんだけど。

 

 

 

『キル・ビル』だってもう20年近く前の映画だしね。今さらあれと同じようなものを作られてもな、というのもある。

 

…さて、結論から先に申し上げますが、その前に久しぶりにお断わりしておくと、このブログの映画の感想はあくまでも僕個人の意見ですから、異なる評価のかたも当然いらっしゃるかと思います。

 

この映画を楽しまれたかたがたに対してどうこう難癖つけるつもりはないですし(こういう言いまわしで、すでにお察しいただけるかと思いますが…)、自分の評価が絶対だなどとも思いません。こういう意見、反応もある、というサンプルの一つだと思っていただければ。

 

この映画が好きな人は不愉快になると思いますので、お読みにならない方がいいです。

 

それから、以前、某映画の感想の中で原作者の発言に引っかかったので原作を読んでいないにもかかわらず思わず原作者に対して批判的な文章を書いたところ、どこぞのどなた様かから「映画と原作は違ってる。恥ずかしい奴だなバーカ(大意)」みたいなコメントを食らったので、原作については触れません。

 

原作小説のあらすじを読むと映画とはかなり違ってるようですし(そもそも日本の小説をアメリカ人を主人公にして映画化してる時点で相当改変されてるだろうから)。原作小説は読んでいないので、あくまでも映画について述べています。

 

ただその前に、同じ原作者の作品を映画化した『ゴールデンスランバー』(2010) の感想を劇場公開時に書いているので、参考のために載せておきます。最近起こった現実の凶悪事件を連想させるストーリーだったり、お亡くなりになってしまったかたや現在問題の渦中にいる人物が出演していますが、他意はありません(以下は、2010年に書いたものです)。

 

こちらの感想もかなりの酷評ですので、作品がお好きなかたはご注意ください。

 

 

仙台市。首相の凱旋パレードが行なわれる中、旧友の森田(吉岡秀隆)と再会した青柳(堺雅人)は、自分が陰謀に巻き込まれていることを告げられる。その直後に、彼は首相暗殺の容疑者として警察に追われる身となるのだった。 

 

…えーっと。どうすればいいんだろ。  

 

何やら作り手が描きたかったらしい「黄金のまどろみ」の日々、人と人との繋がりの大切さ…などといったものは微塵も伝わってこなかった。

 

笑わせたいのかドキドキさせたいのか、ビックリさせたいのか感動させたいんだか狙いがまったくわかんなかった。 そのどれもできなかったし。 ストーリー展開にも俳優の演技にも演出にも何一つひっかかるものがなくて、おまけに長い(139分)!! 『踊る大捜査線2』や『マトリックス リローデッド』と同じぐらいの尺。 

 

何年かぶりに映画の途中で時間を確認してしまった。 まだあと1時間近くもあってグッタリした。 この映画の面白がりどころがわからない(マジメな話、どなたか教えてください)。

 

『カイジ』の時とまったく同じ役作りの香川照之、意味不明な連続殺人犯役で「びっくりした?」という口癖がとても耳障りな濱田岳、あからさまに怪しい石丸謙二郎や永島敏行、唐突にストーリーに割り込んでくる柄本明、そして昨年(註:2009年)の『なくもんか』に続いて妙に居丈高な竹内結子など、登場人物全員が安手のアニメキャラみたいに薄っぺらで…不満要素を挙げたらキリがなさ過ぎて。

 

竹内結子が堺雅人を捨てる理由に「そうそう、そういうことある」とか「わかるわかる」とかいう人いるんだろうか(いたらゴメンナサイ)。あの辺の回想シーンと本筋の事件と一体なんの関係があるのか教えてもらいたい。

 

物凄く悪い喩えで「マンガみたいな」映画でした。ちょっと実写版『20世紀少年』を思い出した。

 

てっきり硬派なポリティカル・アクションだと思ってたんだけど(「陽気なギャングが地球を回す」の伊坂幸太郎の原作でそれを期待するのが間違いだったんだが)、なんていうんだろ、週刊連載マンガみたいなの。

 

あまり話の筋とかちゃんと考えずにどんどん登場人物増やして無理やり最初と最後くっつけて一丁あがり!みたいな。

 

冒頭、これ見よがしに「お前、オズワルドにされるぞ」とか言った直後に爆死する吉岡秀隆からすでに暴走開始。自分は誰かに狙われている、何かの陰謀に巻き込まれてる。だって「首相暗殺」だよ?どんだけデカい話だ。で、現実もそうなる。でも大爆発起きたのに近くの通行人、普通に歩いてるし。 これはもう妄想の世界でしょう。

 

しかも頻繁に回想シーンが差し込まれるから余計「もしかして“電波系”の物語なんだろうか。主人公の過去にこの妄想の原因があるとか」などとなるべく好意的に想像しながら観てたんだけど、どうやらすべて現実のことらしい。 主人公は延々逃げ続けるんだけど、事件の重大な真相が明かされるわけでもなく話は一向に先に進まない。 

 

やけにもったいぶって描かれるわりには中身がない学生時代のシーンなんて、ほんとは全然必要ないんである。花火屋のバイトしてたことがわかるだけなんだから。

 

作り手の妙な思い入れに反して、主人公と仲間たちとの絆はまるで伝わってこない。 

 

なんで首相暗殺などという凶悪テロ事件の濡れ衣を主人公が着せられたのか納得のいく理由は最後まで告げられることはないし、おそらく黒幕である副首相についても言及されることはない。

 

白昼堂々とピストルやショットガンをぶっ放し、生放送中の放送局に圧力までかける警察といい、まるで犯人が町中破壊しまくって犯罪の隠蔽工作しようとする『イーグル・アイ』並みに無理があり過ぎる展開。

 

そして「整形」。映画だったらジョン・トラヴォルタとニコラス・ケイジが顔入れ替えても誰も文句言わないし、一人の俳優が合成で双子や三つ子演じたって観客はもはや誰も驚かない。現実でも昨年、整形して逃亡続けてた殺人事件の容疑者(註:「リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件」)がいたけど、整形で替え玉作るとか別人になりすまして行方くらますとか、フィクションとしてはなんの意外性もない。

 

「仙台には腕のいい整形外科医がいる」って、それで済むならなんだってアリでしょ。サム・ライミの『ダークマン』か。 これが堺雅人の妄想でないなら、サークルの後輩、劇団ひとりの妄想だったんじゃないのか。もうそういうことに(ダジャレではない)しといた方がまだマシなんではないかとすら思えてきた。

 

一国の首相が殺されるのと花火大会で堺雅人と竹内結子がキスするかどうかなんていう、きわめてどーでもいいエピソードが同じレヴェルで扱われている。TVにむかって呑気に「何やってんの青柳君」とか半笑いで呟いてる場合か、って話である。 

 

原作は読んでないからそちらの悪口言う気はありませんが、この映画はほんとに酷い。

 

…もうとにかくひたすらデタラメで冗長。いや、デタラメだってくだらなくたってなんだっていいんだよ、面白ければ!しかし、『シャンハイ・ナイト』のドニー・イェンみたいに打ち上げ花火で飛んでいく永島敏行をどう面白がれというのか。

 

途中、斜め後ろの席に座ってる奴が何度も音立てて欠伸するんで「うっせーなぁ」と思ったけど、そうしたい気持ちもわからなくはなかった。 あぁ、もう叫びたい、「王様の耳はロバの耳!」みたいに「この映画はつ(ピーー)い!」って。 

 

とりあえず、まずビートルズに謝りなさい。

 

 

…以上です。凄まじいですね、我ながら。ファンにぶっ〇されそうな罵倒レヴュー。

 

もうあれから映画を観返してないのでまったく内容を覚えてなくて、だから自分の感想読み返してもなんでそんなに気に入らなかったのかさっぱり思い出せないんですが。

 

感想の中でも述べていたように、以前、友人に伊坂さんの「陽気なギャングが地球を回す」を借りて読んだことを思い出した。

 

ピンときませんでしたね。僕には面白いと思えなかった。その理由が上の感想の中で書かれています。

 

でも、懲りもせずにその後同じ原作者で監督も『ゴールデンスランバー』と同じな『フィッシュストーリー』も映画館に観にいってるんだよね。

 

この10年の間にいろいろ学んだんだな。観る映画はちゃんと選ぼう、って。

 

ちなみに、『フィッシュストーリー』の感想は、

 

 

 

かいつまんで言えば、元チビノリダーが曲作ってバンドで唄ったらかつて世界の中心で愛を叫んでた男が正義の味方になってNHK連続テレビ小説のヒロインがインド人と宇宙に行く、という、“風が吹いたら桶屋が儲かる”方式の無理やりピタゴラスイッチみたいな話。

 

「最後のドンデン返しにあっと言わされ」みたいな宣伝文句を本気にして観たら「…ど・こ・が・っ!!」とキレそうになるが、フィッシュストーリー=与太話に付き合ってると思えば、まぁ気軽に愉しめる…んだろーか。

 

 

…以上です!w

 

僕は伊坂さんの作品が苦手なんだろうな。監督が違ってもそれは変わらないんだろう。あ、原作の悪口じゃないですからファンの人はカラんでこないよーに。

 

一見無関係な人々がワチャワチャやってるうちにそれぞれのエピソードがどこかでくっついて…みたいな話って、それこそクエンティン・タランティーノ監督の映画以降、2000年代あたりに日本でもやたらと作られた気がするんだけど、正直「面白い!」と思えた作品ってほとんどないんですよね。

 

面白がりどころがわからないコントを延々見せつけられてる感じで。

 

で、ようやく本題に入りますが、↓もうこの一言に尽きる。

 

 

 

デヴィッド・リーチ監督の『デッドプール2』はかなり好きだったし、「ワイスピ」シリーズのスピンオフ作品である『スーパーコンボ』もあのシリーズの世界設定をさらにぶっ壊すというか、拡張するようなハチャメチャ映画だったけど、アクション物として僕は充分楽しめたんですよね。

 

ところが、この『ブレット・トレイン』は、観始めてしばらくしてなんだか言いようのない不安と不快感にさいなまれたのだった。

 

…なんだろう、胸がドキドキする。あまり面白くなさそうな予感…。

 

ブラッド・ピットが演じる殺し屋レディバグ(テントウ虫)のキャラはタランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の時の彼とほとんど同じで、何事も冗談めかしていつも半笑いしてるような奴だし、『ザ・ロストシティ』での彼も似たようなもんだったから、そういうブラピのトレードマークのような演技がお好きな人は楽しいでしょう。『ザ・ロストシティ』と違って出ずっぱりだし。

 

…だけどなぁ。

 

ブライアン・タイリー・ヘンリーとアーロン・テイラー=ジョンソンが演じる殺し屋レモンとタンジェリン(みかん)は『パルプ・フィクション』のサミュエル・L・ジャクソンとトラヴォルタをやってるんだろうけど、前者の二人の「ダベり」の愉快さに比べて、こいつらの会話の、まぁ退屈なこと。中身のない能書きがあまりに長過ぎる。原作者へのオマージュですか?(笑)

 

 

 

「きかんしゃトーマス」の喩えは終盤のレモンの“運転”に繋がるわけだけど、そんなのトーマスの名前が出た時点で予想できちゃうでしょ。

 

タランティーノの映画って、あの無駄話を聞きながら登場人物たちにだんだん愛着が湧いてくるんだけど、この『ブレット・トレイン』に出てくる登場人物にはタランティーノの映画のような「味」とかくだらない蘊蓄の面白さがビタ一文ないんだよな。

 

タランティーノは最新のアクションやVFXではなくてあくまでも役者に興味があって、だから彼の映画での出演者たちは魅力的なんだけど、どうも『キル・ビル』なんかを観て勘違いしちゃってる手合いが多い。

 

あの映画はタランティーノ作品の中ではむしろ例外的で、彼が好きな60~70年代の武侠映画やヤクザ映画、マカロニ・ウエスタンなど、あくまでも“フィクション”の中で描かれた世界を彼流にアレンジして、それらへの愛をぶち込んだオモチャ箱みたいな作品だった。あえてローテク風の作りに仕上げていた。

 

だから、あそこで描かれる日本が現実と違ってるかどうかなんて気にならなかった。監督の頭の中の絵空事の世界だということが最初からわかってたから。

 

『ブレット・トレイン』もそのつもりで作られたんだろうし、お客さんの側もそういう「なんちゃってジャパン」を笑いながら楽しむつもりで観ているのだろうけれど、そして僕もそうだったんですが、なんかもうね、まだ『キル・ビル』モドキやってんの?今、2022年なんですけど、ってうんざりしてきちゃった。面白いんですかね、あの「ニッポン」像って。

 

カルメン・マキの「時には母のない子のように」とかさぁ、ほんとにリーチ監督はあの歌が好きで流したんだろうか。そうじゃないと思う。なんか『キル・ビル』っぽいことをやりたかっただけでしょう。聴いててほんとに不快だった。

 

 

「見世物」にされて「搾取」されてるよね、日本人。ハリウッドが日本人の原作使って日本を描いてくれた、って喜んでる場合か?

 

 

※「くそみそテクニック」というのは、「ウホッ!!いい男…」「やらないか」のあの漫画です。

 

 

ウルヴァリン:SAMURAI』は、ヒュー・ジャックマンが原爆の爆風から走って逃げるトンデモ映画だったけど。ふざけきってるよね。新幹線の屋根に乗って襲ってくるヤクザとか、同じじゃねーか、と。あの映画にも真田さん出てたけど(そして相変わらず酷い役だった)。やってることが10年前の映画から何も変わっていない。

 

 

アベンジャーズ』ですらそうだもんねぇ…。

 

こうやってマジギレしてみせると、「そんなムキになって怒らなくても、たわいない娯楽作品なんだし、もっと肩の力抜いて気軽に楽しめばいいのに」とか言われるんだけど──

 

 

 

この映画の見どころは、チャニング・テイタムとジョーイ・キングのたくましい太ももだけなんじゃないか。

 

ジョーイ・キングは『ダークナイト ライジング』や『オズ はじまりの戦い』などの子役だった頃から今ではもう20代の娘さんに成長しているけれど、『ホワイトハウス・ダウン』では父親を演じて勇敢にテロリストと戦ってたチャニング・テイタムが、この映画では「俺とイッパツやる?」とブラピを誘うバカを演じているのを見てどう感じているんだろうか。

 

 

 

ってゆーか、便利に使われ過ぎだろ、テイタム^_^; いいのかそれで。

 

ブライアン・タイリー・ヘンリーは『ゴジラvsコング』に続いてジャパン関連作品に出演。ハリウッドゴジラにはタンジェリンことアーロン・テイラー=ジョンソンも出てましたが。ゴジラ繋がりか。

 

『デッドプール2』で活躍していたザジー・ビーツもどーでもいいような役で出てきてすぐ退場するし、予告篇でちょっと予感はしてたけど、サンドラ・ブロックは電話口での会話シーンと、最後にほんのちょっと出てくるだけです。

 

 

 

 

アンドリュー・小路演じる木村が追っていた敵、ホワイト・デスの顔見て、どこのVシネの帝王かと思ったらマイケル・シャノンだったw

 

オスカー受賞作品にも出てる人なのに、出るんだ、こんな作品に(笑)

 

だからほんと、「新春かくし芸大会」みたいな映画だったですよ。

 

次から次へと有名俳優たちが出てきてはいなくなる、っていう。

 

真田さんも撮影現場はとても楽しかったと仰ってるし、そりゃ出演者のかたがたは楽しかったでしょうな。俺は観ててあまり楽しくなかったけど。

 

まぁ、ここでこうやって言いたいこと言ったんでスッキリして元は取れたし、多分、今後TVで放送でもされたら盛り上がるんじゃないですかね。

 

酩酊しながら観たら画面がキラキラしてて面白いかもしれない。

 

 

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