スティーヴン・S・デナイト監督、ジョン・ボイエガ、ケイリー・スピーニー、スコット・イーストウッド、チャーリー・デイ、バーン・ゴーマン、ジン・ティエン、菊地凛子、カラン・ブラル、アドリア・アルホナ、ウェスリー・ウォン、マックス・チャン、その他出演の『パシフィック・リム:アップライジング』。

 

太平洋の深海から現われた“カイジュウ(怪獣)”と人類との戦いが終結してから10年。巨大ロボット“イェーガー”の元パイロット、ジェイク・ペントコスト(ジョン・ボイエガ)は今は破壊されたイェーガーの部品を盗んで売る裏商売で生きていたが、小型のイェーガーを自作している少女アマーラ(ケイリー・スピーニー)との出会いをきっかけにかつて所属していた環太平洋防衛軍 (PPDC) に戻ることになる。

 

2013年公開の『パシフィック・リム』の続篇。IMAX3D字幕版を鑑賞。

 

シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督による前作の大ヒット後に、ファンたちに熱望されつつも5年後にしてようやく第2弾が公開。

 

前作はやはりIMAX3Dで観たうえに、座席が可動してさまざまなエフェクト満載の4DXでも観て、大興奮しました。

 

生まれて初めて4DXなるものを観た記念すべき作品であると同時に、その後観た『ゼロ・グラビティ』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と並んで個人的に三大4DX映画の1本として記憶しています。

 

だからあの時の興奮をもう一度、という気持ちで臨みました。また4DXでも観る気満々で。

 

今回デルトロさんは製作にまわり、監督はこれまでTVドラマを多く手がけてきた別の人に交代。

 

スター・ウォーズの“フィン”ことジョン・ボイエガとイーストウッドJr.のスコット・イーストウッドという、出演作が続いてる旬の若手俳優たちが組んでいるってことだけでも期待できるし、怪獣の国・日本が舞台になるということで、その日本からは新田真剣佑が出演。千葉真一の息子がどんな活躍を見せてくれるのか楽しみにしていました。

 

…と、ここで早速ですが、この映画を観て大いに楽しまれたかた、大好き!というかたがたはこれから書く文章を読まれて気分を害される恐れがありますので、読むのをひかえられるか「こーゆー意見の奴もいる┐(´∀`)┌ヤレヤレ」と寛大な心で受け流していただければ幸いです。

 

けっしてこの映画のファンの人たちを揶揄したり批判しているのではありません。

 

前作『パシフィック・リム』と本作品『同:アップライジング』のネタバレがありますので、ご了承くださいませ。

 

 

実のところ予告篇の段階でちょっと予感していたところはあって、あの“パシリム”の続篇なんだから当然面白さは保証付きだろうと思っていたんだけど、いざ待ちに待ったはずの日本版の劇場予告を目にするとイマイチ燃えていない自分がいたのでした。

 

日本版予告

 

 

なんか、うおぉぉ~、キタ~!!!ってアガる感じがあまりしなかったんですよね。

 

ん、…大丈夫かな?っていう不安が頭をよぎった。

 

「ドゥ・ユー・アンダスタン?」を連呼するボイエガにも、「お前、親父(ペントコスト司令官)に続いてまた中身のないスピーチかよ^_^;」と思ったし。

 

いや、今観返すと普通に面白そうでよくできた予告だと思いますけどね。

 

でも、100%楽しむ気でIMAXで観たにもかかわらず、どこかノりそびれてしまいました。

 

基本的にはイェーガーやカイジュウの造形も前作を踏襲していて設定に大幅な変更があるわけじゃないし、巨大ロボと巨大怪獣のドツき合い、という見せ場はいくつもあるから、それにノれない、というのはどういうことなのか、僕が不満に感じる部分について述べていきます。

 

1作目が好きだった、とはいえ、そもそも前作だってツッコミどころは満載の作品だったし(ちょうど3作目まではお付き合いしたマイケル・ベイの「トランスフォーマー」シリーズみたいに)そこをこそ楽しむ映画なのは承知してるから『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の時みたいに本気でブチギレるつもりはないんですが、最大の不満はいよいよ映画全篇に渡って充満してきた「中国要素」。

 

ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』も手がけた映画会社レジェンダリー・ピクチャーズは現在中国資本で経営されていて、映画の莫大な製作費を回収して利益を上げるには巨大な中国のマーケットは無視できない存在になっている。

 

中国は海外の映画の公開本数を制限しているので、ここ何年もの間、中国での公開を狙ってハリウッドのVFXを駆使した大作映画はその多くに中国系の俳優の出演や中国を舞台にした場面の挿入などを行なっている。

 

だからこの『アップライジング』もそういう方法論で作られています。

 

中国資本の商業映画なんだからしょうがない、と言ってる人々もいるけど、日本でこの映画を観ている僕にはそんな作り手の都合なんて知ったことではないので、中国向けの映画をなんでわざわざ金払って観なきゃならないんだ、という不満しか湧いてこない。

 

誤解しないでいただきたいんですが、僕は中国人や中国系アメリカ人に個人的になんの恨みもないし、彼らが出演する映画にも抵抗はないのです。

 

たとえば、これがアメリカを舞台にしたジャッキー・チェンやジェット・リー主演のアクション映画ならさほど違和感はないし、中国からの移民とその娘たちを描いたウェイン・ワン監督の『ジョイ・ラック・クラブ』のようなリアリティのある人間ドラマなら普通に観られるし、あるいはパキスタンからの移民の青年を主人公にした『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』のように現実に存在する人々や社会問題を扱った映画だったら、僕だって興味をそそられるだろうと思う。

 

でも、この『アップライジング』や最近の中国フィーチャー映画にはなんともいえない気持ち悪さを感じるんですよね。

 

それは作品の背後に「中国政府」の存在を感じるから。

 

僕が大いに抵抗を覚えるのは、映画を「国策」に利用することです。それは中国だろうと日本だろうとアメリカだろうと変わりない。

 

特定の国家の自画自賛みたいな映画って、観てて何が嬉しいのかさっぱりわからない。虚しくないんだろうか。

 

たまに日本を舞台にしたり日本人や日系人が出演するハリウッド映画が公開されて、昨年の『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』みたいに評価が高い作品もまれにあるけれど、僕は個人的にはアメリカの映画で日本や日本人、日本のポップカルチャーなどを描いてほしいとは思わないので、そういう映画に特別ありがたみを感じないんですよね(『ブラック・レイン』のように好きな映画もあるけど、それは単純に作品として好きだから)。

 

ハリウッドが日本や日本人、日本のモノを描いてくれた~感謝♪っていう反応って、「世界に尊敬されるニッポン凄い、偉い」な「自分大好き、みんな俺のこと褒めて~もっとちょーだいワーイヽ(゚∀゚ヽ 三 ノ゚∀゚)ノワーイ」なメンタリティにとても近い臭いがする。

 

僕なら中国や中国人を描いた映画を観たければ中国映画を観るし、日本や日本人の俳優が出演する映画が観たければ邦画を観る。

 

ハリウッドに無理やり中国要素や日本要素をぶっこんだ映画を望んでいない。

 

先ほどの中国系アメリカ人たちの映画と同様に、アラン・パーカー監督、タムリン・トミタ主演の『愛と哀しみの旅路』や工藤夕貴が出演していた『ヒマラヤ杉に降る雪』のように日系アメリカ人を真面目に描いた人間ドラマには作られる意義も感じるけど、ヒュー・ジャックマンが日本で暴れる『ウルヴァリン:SAMURAI』やキアヌ・リーヴスがサムライを演じる『47RONIN』には失笑や嫌悪感しか抱かない。単純に映画として不出来だから。

 

この『アップライジング』にも“東京”という設定の都市が登場してクライマックスにロボと怪獣たちが戦うけど、どう見たって東京じゃないし(香港か上海みたい)、ろくにロケもせずにCGでなんちゃってトーキョーやなんちゃって富士山映して済ませる作り手のテキトーな仕事ぶりにはほんとに呆れる(※あれは未来の東京で、富士山の近くに新しく作られた街、という設定らしいけど、知らんわそんなこと。よその国の首都を勝手に移動させるな)。

 

富士山のてっぺんで原子炉を搭載したロボットを爆発させるなよ(※野暮なのはわかってて敢えてツッコんでいます)。

 

そのあとジェイクとアマーラはイェーガーから降りて降り積もる雪をぶつけ合って遊んだりしてるけど、あれは「死の灰」じゃないのか(´・ω・`)

 

スポンサーや大金を落としてくれる国への妙ちきりんな配慮とか成金大国の自国アピールみたいなものには映画をただの金儲けの商品としか見ていない下劣さがあって、そんなもんは「お金こそすべて」な拝金主義や「俺サイコー」な自己愛の発露でしかないのでいちいち付き合ってらんない。

 

この『アップライジング』でシャッタードームの司令官を演じているマックス・チャンは、ウォン・カーウァイ監督の『グランド・マスター』で武術の達人役としてチャン・ツィイーと闘ってた俳優さんだけど、今回は得意のクンフーを披露することもなく暴走したイェーガーに攻撃されて死ぬだけの、特に彼が演じる必然性もないキャラクターだった。

 

同じく、無人イェーガーの全世界への配備を進めるシャオ産業の社長リーウェン(ジン・ティエン)もまた、とってつけたようなキャラとして描かれている。

 

 

 

この映画からは、中国の文化にも中国人にも中国人俳優にも中国映画に対してもまったく敬意が感じられないんだよね。とりあえず中国向けなんで中国要素いっぱい入れといたから、みたいなナメた姿勢がファン・ビンビン伝わってくる。

 

リーウェンの下で働くアメリカの白人で前作ではハーマン(バーン・ゴーマン)とコンビを組んでカイジュウとの戦いで活躍したニュートン(チャーリー・デイ)が今回は悪役に変貌してるんだけど、彼のリーウェンへのチャラけた物言いなんかはアジア系の人々(もちろん日本人を含む)への蔑視が顕著で、観ていてほんとにイラついた。

 

中国語を押し通して英語をほとんど喋らないリーウェンは、演じる女優さんの語学力の問題なのか、それとも自国一番主義を貫くキャラクターという設定なのか知りませんが(全世界を股にかける巨大企業の社長なら英語はペラペラだと思うのだが)、どう見たって悪役。

 

だから、ハリウッドはこの映画で中国に喧嘩売ってるのか?とちょっと面白くなっていたところ、なんのことはない、悪の親玉かと思われたリーウェン社長は実はイイ人で、最後はジェイクやアマーラたちとともに小型イェーガーに乗ってカイジュウと戦う。ムリヤリにもほどがあるキャラ変更。

 

別に中国人を悪役にしてほしいわけじゃなくて、中国人のヒロインを活躍させたいのなら最初から彼女を主役にするか、アマーラのライヴァル的なキャラとして描けばよかったんじゃないの、と思うんですよ。前作の“マコさん”こと森マコ(菊地凛子)みたいに物語の中で一人のキャラクターとして説得力があるようにしっかり描いてよ。そうじゃないなら出さないで!

 

前作で準主役だったマコもあっさり殺されちゃうし、ニュートンは悪役にされちゃうし、前作のキャラクターをほんとに使い捨てにしていてまったく愛が感じられない。


新人パイロットのアマーラを妙に敵対視するロシア人の女性パイロットが出てくるんだけど、このキャラもなんかもう、お約束で作っただけみたいな投げやりな扱いで、全然キャラが立ってないしそんなに活躍もしない。

 

単純にシナリオの組み立て方が雑でいいかげん過ぎ。

 

リーウェンを演じているジン・ティエンは、同じくレジェンダリー制作の『キングコング:髑髏島の巨神』でも、なんのために登場したのか皆目不明な中国人女性を演じていた。

 

ジン・ティエンが悪いわけじゃなくて、彼女を中国政府へのご機嫌取りみたいな役割として起用しているレジェンダリーの責任。

 

ちょっと長くなったからもうこの話題は終わりにしますが、僕はこれはただの金のかかった広告で「映画」ではないと思う。広告で観客から金を巻き上げてる。ドキュメンタリー番組だと思ってたら通信販売のCMだった、みたいな。

 

商業映画だから儲けを考えないわけにはいかないのはわかるけど、あまりにあざと過ぎる。

 

ジェイクはほぼスター・ウォーズのフィンと同じキャラでジョン・ボイエガは真面目になりそうになると茶々を入れるような愉快なアニキを好演しているし、ヒロインのアマーラを演じるケイリー・スピーニーは歌手でもあるそうだけど演技も達者で小生意気なティーンエイジャー役がぴったりだったし、前作では僕も不満を述べましたが夜間の場面が多いので見づらかったのが今回は昼間の戦闘シーンが多く、日本のいくつかのアニメから引用したイェーガーたちのデザインや戦隊ヒーロー的なポージングなど、人によってはニヤリとするんだろうし「前作よりも好き」という人たちがいるのもわかる要素はある。

 

 

 

 

 

 

最初に述べたように前作自体ツッコミどころは多くて、「チェルノ・アルファ」という名前の原子炉そのまんまなデザインのロシア製のイェーガーが登場したり、ペントコスト司令官(イドリス・エルバ)が放射線の浴び過ぎで鼻血を出す場面など無神経な描写もあって、無邪気に楽しめばいい娯楽映画とはいいつつも首を傾げる部分もあった。

 

ストーリーだって結局はデカいロボと怪獣を戦わせるための理由付けでしかないので、異次元からやってくる怪獣とかほとんど『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』と変わんなくて、ぶっちゃけ内容はどーだっていいような代物。

 

ペントコスト司令官の最期のように、自己犠牲の美化みたいなのも鼻につく。

 

だけど、全長80メートルの巨大ロボットの建造の過程やそれが動き出す迫力を丁寧に描いていて、子どもの頃にロボットアニメや特撮ヒーロー物を観て育った僕を燃えさせてくれたんだよね。

 

4DXで観た時には主人公が乗るイェーガー「ジプシー・デンジャー」の頭部が降下して身体に合体する場面では観ている自分も一緒に移動している錯覚に陥ったし、映画を観ている間、二人のパイロットとシンクロして自分がロボットと一体になったように感じたのでした。

 

「体感映画」「アトラクション・ムーヴィー」として計算して演出されていたんですね。

 

そういう快感を僕は今回の続篇でほとんど得ることができなかった。

 

ビルをぶっ壊したり武器を使って攻撃したり、前作と同じような派手な描写はいくつもあるにもかかわらず。

 

この5年間にさまざまなVFXを駆使した大作映画が封切られて目が慣れてしまったということもあるかもしれないけど、でもやっぱり1作目は面白かったんだよ。IMAX観たあとにわざわざもう一度遠くにある別の映画館の4DXで観たぐらいだから。

 

視覚的な面で1作目の迫力や気持ちよさを超えられなかったのが、続篇に燃えられなかった一番の理由かなぁ。

 

始まってからしばらくは登場人物の紹介が続くから、IMAX3Dのありがたみがほとんどなかったし。

 

前作のテーマ曲が流れ出すと一瞬アガりかけるんだけど、長続きしない。音楽の力も大きかったんだなぁ、って(音楽は前作のラミン・ジャヴァディからローン・バルフェに交代)。

 

そして繰り返しになるけど、いかに荒唐無稽な話とはいえ、ストーリーの組み立てがあまりに杜撰。

 

まず、主人公ジェイクとアマーラ、そしてジェイクとは10年前のパイロット時代の同僚であったネイサン(スコット・イーストウッド)のそれぞれのエピソードが描写不足なので、物語的なカタルシスがあまり感じられないんですね。

 

だから出撃前に「俺たちは家族だ!」とかスピーチされても何も響かない。あんたはヴィン・ディーゼルか。

 

 

 

ジェイクはかつて無許可でイェ-ガーで無謀な出撃をしたために事故を起こして実の父親にPPDCをクビにされたんだけど、それが台詞で説明されるだけなので、ずっと「偉大なる父」との間にわだかまりを抱えたままだった彼がその後悔の念を克服する、という、ドラマ的な盛り上がりに欠ける。

 

これは要するにトム・クルーズ主演の『トップガン』的な物語でもあるんだけど、両者を比べてみると『トップガン』がいかにシナリオのセオリーに従って主人公の成長を丁寧に描いていたかわかるし、一方この『アップライジング』の物語の駆け足気味で散漫なところが目につく。

 

ジェイクはカイジュウに両親を殺されて天涯孤独になったアマーラとともに戦って彼女の悲しみに寄り添うことで自分自身の過去とも決別できた、ともいえるんだけど、性格が違うネイサンとのコンビが中途半端なままで終わったり(整備士の女性とのこととかマジで不要)、上映時間を2時間以内に収めるために無理矢理ドラマ部分をカットしたような印象がある。

 

スコット・イーストウッドは出演作を結構目にするようになったけど、いまいち役柄に恵まれていない気がする。彼こそジェイク的な葛藤=「偉大なる父」を持つ男なんだし、無駄遣いが実にもったいない。

 

 

 

まぁ、あまり人間ドラマに時間を割かれてもロボットと怪獣のバトルを観たい観客にとっては退屈だろうからなかなか難しいところではあるんだけど、だったら余計な枝葉はなるべく切ってジェイクとアマーラの話に絞ればよかったと思う。

 

つくづく中国要素が余分だった。

 

会社からムチャ振りされた監督や脚本家には同情するけど、観客の立場としてはダメなもんはダメだとハッキリ言わなきゃいけないと思う。

 

お好きな人には腹立たしいことをぐだぐだと言い続けて大変申し訳ありませんが、前作の鑑賞後に後ろの席で観ていたカップルが二人ともテンション上がり気味で「みんなに薦めたい」と語り合っていて僕も同感だったんだけど、今回上映後に場内が明るくなっても特に皆さんリアクションもなく^_^;黙って退場されていきました。この反応がすべてを物語っているんじゃないだろうか。

 

悪いけど、僕は今後のハリウッドのVFX超大作がこういう作品ばかりになったらほんとに困る。

 

IMAXや4DX向けなら、ぜひまた『怒りのデス・ロード』のような傑作を作ってくれることを望みます。

 

『怒りのデス・ロード』のことも「ストーリーがない」などと言ってる人がいたけれど、あの映画は延々続く戦いの描写でストーリーを物語っていた。4DX映画としても最高だったし。

 

『アップライジング』は『怒りの~』と同様にIMAX3Dで観たにもかかわらず、アトラクションとして充分に堪能できなかったのは非常に残念だった。

 

巨大ロボと怪獣の戦い、というフォーマットを守ろうとすると、意外と戦い方にヴァリエーションがないというか、結局は毎度同じようなことの繰り返しになってしまうんですよね。

 

子どもの時には毎週同じような戦いが行なわれるスーパー戦隊モノやロボットアニメを飽きもせずに観ていたんだけど、さすがにおっさんになったらだんだんキツくなってきて。

 

今回は小型のトランスフォーマーみたいな変形ロボが出てきたり、ロボットの腕にミサイルを溶接して空飛ばしてましたが。

 

最後に捕らえられたニュートンにジェイクが「次はこっちから宇宙に行ってやる」と言ってたけど、そうしたらそれこそスター・ウォーズと変わんなくなっちゃうでしょ^_^;

 

「トランスフォーマー」も1本目の時には僕はちょっと涙ぐんだりしたんですよ、巨大ロボたちの雄姿に感動して。

 

でも2本目、3本目と続けて観ていくうちに飽きてきて、「もういっか」と思って“卒業”しました。

 

それでも「トランスフォーマー」はこれまでに5本作られてますが、『パシフィック・リム』は意外とシリーズ向きではなかったのかもしれない。一応、さらなる続篇を匂わすような終わり方はするけど、次回作については具体的には何も決まってないようで。

 

僕が読者登録させていただいているあるかたのブログの感想にも書かれていたんですが、ギレルモ・デル・トロは前作でやるべきことをほとんどやり尽くしちゃったんじゃないでしょうか。

 

だから新しい監督さんはもう何やったらいいのかわかんなかったのかも。

 

致命的なのは、前作よりもさらにカイジュウ1体1体に個性が感じられないこと。デザインに目新しさもないし、彼らの得意技もよくわからなくて存在自体が全然印象に残らない。作り手にモンスターとか怪獣への愛着やこだわりがないのが丸わかりで。

 

 

 

それはイェーガーにも言えて、やはり個体ごとの特徴があまり描かれていないので、誰がどの機体に乗っているのかもよくわかんなかったり、それ以前に乗組員の顔すら記憶に残らない。

 

肝腎の日本代表、新田真剣佑は、いつも隅っこの方にいて台詞が「気をつけ!」と「敵だ!」の二言ぐらいしかないほとんど端役で、わざわざ予告篇で顔映すようなキャラじゃないし、多分『ちはやふる』の休憩時間に撮ってたんじゃないのか^_^;

 

 

 

チャーリー・ハナムが演じた前作の主人公ローリーはジェイクの台詞の中に一言その名前が出てくるだけで、顔写真すら映し出されない。

 

カイジュウとの戦いでの殉職者の中に彼がいないことからもどうやらローリーはまだ生きているという設定らしいから、今後チャーリー・ハナムのスケジュールが合えば再登場の可能性もあるかもしれないですね。

 

ただまぁ、僕はさらなる続篇にお付き合いするのはもういいかなぁ。自分でも驚くほどこのシリーズに対する関心が薄れていってるのを感じる。この映画は4DXでは観ないと思います。

 

みんなでワイワイとツッコミ入れながら楽しめばいい映画にいちいち文句つけるのは無粋なのはわかってますが、前作と本作品の違いが気になるし自分は何がどう不満だったのか書き残しておきたかったものですから。

 

 

さて、もうすでにスピルバーグの最新作『レディ・プレイヤー1』の公開が始まってますが、あちらも日本要素がいくつもあるようですね。果たしてどうなんでしょうか。

 

ちなみに、前作でジェイクの父、ペントコスト司令官を演じていたイドリス・エルバは、27日から公開されるアベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に出演してます。こちらも楽しみ♪

 

 

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