ブラッド・ペイトン監督、ドウェイン・ジョンソン、ナオミ・ハリス、マリン・アッカーマン、ジェイク・レイシー、ジェフリー・ディーン・モーガン出演の『ランペイジ 巨獣大乱闘』。

 

宇宙から飛来した遺伝子サンプルによって巨大化した動物たちが暴れ始める。元特殊部隊員で霊長類学者のデイヴィス(ドウェイン・ジョンソン)は馴染みのあったゴリラのジョージが巨大化したために、かつてエナジン社で遺伝子研究者として働いていたケイト(ナオミ・ハリス)とともに怪獣たちの暴走を食い止めようと奔走する。一方、遺伝子サンプルを生み出したエナジン社の経営者のワイデン姉弟(マリン・アッカーマン、ジェイク・レイシー)は、低周波でシカゴに巨獣たちをおびき寄せようとする。

 

ネタバレがありますよ。

 

 

予告篇でVFXが結構イイ感じで気になってたのと、怪獣好きに評判の映画なので、やってるところが少ない字幕版を観てきました。

 

ゴリラやオオカミ、ワニが巨大化したものだから怪獣ではない、という意見もあるけれど、単に実在の動物がデカくなっただけじゃなくて、遺伝子サンプルの影響かやたらとツノやキバが生えてきたりエリマキみたいなエラがついてたり、ムササビみたいに飛べるようになってたりと突然変異しているので充分“怪獣”の要素は満たしてるんじゃないかと思いますけどね。

 

 

 

 

 

ムササビオオカミが意外とあっちゃりやられちゃったのは肩すかし気味ではあったけど、少なくとも僕は巨大ロボと“カイジュウ”が闘う『パシフィック・リム:アップライジング』よりも「怪獣映画」として面白かったし燃えましたよ。ウン、こーゆーのが観たいんだよね、と。

 

原作はゲームなんだそうですが。

 

“巨獣”たちのサイズも絶妙で、ビルよりデカいともはや現実感がないのが、身長が20メートルぐらいだと周囲の建物の破壊描写や戦車、ヘリとの戦いにリアリティがある。
 
ただし、これは「災害映画」や「戦争映画」ではないので必要以上に人々の被災の模様は描かれないし、わかりやすい悪役がいる勧善懲悪モノだからその悪役はラストで悲惨な最期を遂げる。

 

ちょうど昭和のゴジラ映画みたいな感じ。

 

なんだかよくわかんない生き物がワチャワチャ大量に出てきたり造形にこだわりが感じられないようなモンスター映画にはあまり興味が湧かないんだけど、こういう「とにかくほんとにデカく見える異形の生物が町で暴れる映画」って映画館の大きなスクリーンで観てこそほんとに楽しめるし、元の動物がゴリラやオオカミ、ワニというのも怪獣の造形の基本を押さえてる感じで作り手が非常に「わかってる」のが伝わるんですよね。

 

予告篇で最初にオオカミ(ラルフ)がビルを突き破ってムササビみたいに飛ぶ場面を観た時には、「ハリウッドが『大怪獣バラン』をリメイクか?」と思ったぐらいだし、作り手は絶対意識してるよねw

 

 

『大怪獣バラン』(1958) 監督:本多猪四郎 出演:野村浩三 園田あゆみ 千田是也 平田昭彦

 

 

アルビノ・ゴリラのジョージはキングコングかマイティ・ジョーで、ワニのリジーはジュラシック・パークとか泳いでるとこなんかはもろゴジラのノリだし(残念ながら彼らが今後ゴジラと共演することはないんだそうですが)。

 

劇場用ポスターはかなりハッタリが効いた感じだけど邦題に偽りなくちゃんと乱闘して、映画本篇はこのイメージそのまんまなんで実に良心的。町が豪快に破壊されて“巨獣”たちもその巨大感はなかなかのもの。

 

ワンちゃんを驚かしたりヘリを墜落させたり、ビルをよじ登って倒壊させたりと、なかなか景気のいい暴れっぷりでした。

 

 

 

 

 

 

これは映画のせいではまったくなくて僕の方の勝手な事情なんだけど、この映画を観る前に黒澤明の『七人の侍』(上映時間207分)を映画館で観たもんだから、ちょっと体力的にバテてたところがあって実はところどころウトウトしてしまったんですが(;^_^A

 

でもまぁ、作品自体は王道の怪獣映画していて(主人公がドウェイン・ジョンソンというイレギュラーな要素はあるが)、心地よかったです。

 

怪獣映画って、相手が巨大なだけに人間の登場人物とどうカラめるのかが毎度課題になると思うんですが、画的に怪獣と対峙してもまったく負けていない存在として“ザ・ロック”を持ってくるというのはまったくもって正しい判断で、これは僕はアリだと思いましたね。

 

 

 

 

だってアントニオ猪木と怪獣がガチで闘う映画とか、あるなら観たいじゃないですかw

 

もちろんドウェイン・ジョンソンが巨大化したりはしませんが、等身大の人間の役でもそう易々と死にそうにないのが彼のスゴさで、ちょうど「ワイルド・スピード」シリーズのロック様が怪獣と闘ってるようなもの。

 

ディズニーアニメ『モアナと伝説の海』では半神半人のマウイの声を演じていたし、今回もマウイと同じように「ユア・ウェルカム♪」って言ってましたなw

 

もはや人間の姿をした一種の超人なんだよな、ロック様は。銃で撃たれても死なないし。

 

それにしてもドウェイン・ジョンソン主演のアクション映画は一体年に何本公開されるんでしょうか^_^;

 

ちょっと前に『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』がやってたし、この映画の前には『タワーリング・インフェルノ』と『ダイ・ハード』が合体したような超高層ビルを舞台にしたアクション映画『スカイスクレイパー』の予告をやってて、ロック様はめっちゃ高いとこをジャンプしてた。

 

超人、といえば、この映画にはアメコミヒーロー映画『ウォッチメン』の主要キャストが2名出ていて、一人は最終的にドウェイン・ジョンソン演じる主人公デイヴィスの味方になるラッセル捜査官役のジェフリー・ディーン・モーガン。

 

 

 

 

また、怪獣を生み出すことになるエナジン社の経営者ワイデン姉弟の姉・クレア役のマリン・アッカーマン。

 

 

 

ジェフリー・ディーン・モーガンは『ウォッチメン』では、ちょうどマーヴェルの「アベンジャーズ」シリーズにおける“ウィンター・ソルジャー”的な暗殺者「コメディアン」役だったし、マリン・アッカーマンは紅一点のヒロイン「シルク・スペクターII」を演じていた。

 

 

 

 

『ウォッチメン』では汚い仕事を請け負っていたコメディアン役のモーガンが今回はイイ奴の役で、逆に正義の味方側だったアッカーマンは今回完全に悪役、というのが面白いですが。

 

そういえば、『ウォッチメン』では全身青色のフルチン入道が巨大化していた。

 

それにしても『ウォッチメン』は公開からすでに10年近く経ってますが、マリン・アッカーマンは変わらないなぁ。ちょっと昔のミシェル・ファイファー的な妖しい魅力がある。もっともっとアクション映画に出てほしいし、悪役を演じてほしい。

 

最後にこんなに気持ちよく倒される女性の悪役って久しぶりに見た気がする。

 

彼女のアホ面な弟を演じるジェイク・レイシーは、どっかで見た顔と名前だなぁ、と思っていたら、去年観たイギリス映画『人生はシネマティック!』でやはりアホ面のアメリカ兵を演じていた(その前には『キャロル』でルーニー・マーラの恋人役も)。根っからの悪人じゃないけどアホっぽい役を得意としてる人なんだろうかw

 

今回は責任を全部姉におっかぶせて逃げようとしたらビルの上から降ってきた瓦礫に潰されてお亡くなりになってましたが。

 

ジェフリー・ディーン・モーガンの方は、僕は前々からロバート・ダウニー・Jr.とハビエル・バルデムを足して2で割ったようなご面相と彼がしばしば演じる諧謔味や男性味溢れるキャラクターがいいなぁ、と思っていたんで、この人もアッカーマン同様にもっとハリウッドで活躍してくれていいんじゃないかと思うんですよね。

 

コメディアンが見せていた不敵なアンチヒーローぶりなんて実によかったし。

 

主人公側のヒロインを演じるのはナオミ・ハリス。

 

 

 

 

007のマネーペニー役や「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの預言者役からオスカー受賞作『ムーンライト』まで幅広く出演してるけど、ついに怪獣映画にも参加。

 

この人も「パイレーツ~」で巨大化してたような気がしますがw

 

巨大ムササビオオカミのラルフにチームごと全滅させられてしまったバークを演じていたヒゲ面のこわもてのジョー・マンガニエロって、サム・ライミの「スパイダーマン」シリーズで高校のイジメっ子“フラッシュ”を演じてた人なのね。

 

去年の『キングコング:髑髏島の巨神』を観ても思ったけど、やっぱり巨大なゴリラ(猿人)が出てくる映画は面白いのが多いなぁ。またその好いイメージを更新しましたね。

 

中指立てたり、それを指の輪っかの中にズッポズッポ出し入れしてアレを表現したりと、ジョージの下ネタ・ゴリラぶりに笑う。

 

実力のある俳優たちが真面目に演じてるんだけど、適度に笑いの要素があって変に深刻ぶらないし、だから無邪気に破壊とバトルの楽しさを堪能できる。

 

この映画には人類への警告とか社会的なテーマとかそういうのは潔いほどなくて、とにかくただひたすら巨獣とロック様が暴れるのを楽しめばいい。何かメッセージがあるとすれば、それは「巨獣サイコー!」ってことw

 

わかってる人たちが作る怪獣映画は実に痛快。こういう映画は必要だよなぁ。

 

 

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