デヴィッド・エアー監督、ウィル・スミス、マーゴット・ロビー、カーラ・デルヴィーニュ、ジャレッド・レト、ジョエル・キナマン、ヴィオラ・デイヴィス、ジェイ・コートニー、ジェイ・ヘルナンデス、アドウェール・アキノエ=アグバエ、福原かれん、ベン・アフレック出演の『スーサイド・スクワッド』。



もしもスーパーマンのような“メタヒューマン(超人)”が人類の敵に回ったら、という懸念から政府組織A.R.G.U.S.のアマンダ・ウォーラーは獄中の極悪人たちを集めて「タスクフォースX」、通称“スーサイド・スクワッド(自殺部隊)”を結成する。ウォーラーは考古学者のジューン・ムーン博士に憑依した数千年前から生きる魔女エンチャントレスの心臓を手に入れ、部下のリック・フラッグ大佐にジューンを監視させていた。やがて地下鉄構内で起こった「テロ」に対して、スーサイド・スクワッドの面々が送り込まれる。


ザック・スナイダー監督の『マン・オブ・スティール』『バットマン vs スーパーマン』に続く、DCコミックスのスーパーヒーロー(と悪役)たちがクロスオーヴァーする「DCエクステンデッド・ユニヴァース」第3弾。

要するに、マーヴェル・コミックスの「アベンジャーズ」シリーズのDCコミックス版。

いや、コミックスの方ではDCの方が先だから!と息巻くファンのかたもいらっしゃるけれど、原作の方は知らないので映画についてのみ触れます。

僕は先述の『MOS』や『B vs S』はかなり酷評して、これから公開される「ジャスティス・リーグ」シリーズは観る気はない、というようなことを書いたんですが、この映画『スーサイド・スクワッド』については、ジャレッド・レトが演じるジョーカーやマーゴット・ロビーのハーレイ・クインの画像がかなり以前から出回っていて、アメコミヒーロー物の悪役たちが集う映画ということで関心を持っていました。

予告篇もQueenの曲があざとい感じで「どうせ映画本篇では使われないんだろ」と思っていたけど(結局使われてましたが)、でもなんだかんだ言ってかっこよさそうだし、バットマンも出てくるようなんでこれは観ておこう、と。

で、すでに観た人たちの反応はというとこれが賛否両論で、「これはない」という人から、「いや、よかった。泣いた」という人までさまざま。ここ最近のアメコミヒーロー映画ってベタ褒め気味の感想が多いので、これだけ評価が割れるのも面白いな、と思いました。

だから自分はどちら側になるのだろう、とちょっとそのへんの興味はあった。

結論からいうと、『MOS』や『B vs S』よりは楽しめました。最初からかなりハードルを下げていたからってのもあるけど、やっぱり主人公たちが「悪役(ヴィラン)」というのが大きかったかな。


七人のヴィラン(ヴィランじゃない人もいますが)

もっとも不満もかなりあるので、絶賛ではない。

それどころか、むしろ賛否でいえばわりと「否」寄りといった感じ。

やはり同じくチーム物ということでマーヴェルの「アベンジャーズ」シリーズ(あちらは正義のヒーローチームだが)、特に何ヵ月か前に観た『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』と比較せざるを得ない。

そうすると『スーサイド~』の粗の方がどうしたって際立ってしまう。

あれだけの人数のスーパーヒーローたちを劇中で見事に捌いていた『シビル・ウォー』に比べると、『スーサイド・スクワッド』はメンバーの数ははるかに少ないにもかかわらず、登場キャラたちの魅力を最大限に引き出しているとは言いがたい。

まぁ、ただ『シビル・ウォー』の感想ですでに『バットマン vs スーパーマン』を散々引き合いに出して後者をディスっているので、今回はなるべくそれらと重複しない部分の指摘にとどめたいですが。

それから『スーサイド・スクワッド』がちまたでなんでビミョーな評価なのかといったら、僕らはすでに『デッドプール』を観ちゃってるから。彼の方がよっぽど悪役っぽいもんな。R指定だし笑えるし。これは分が悪かったね。またしてもマーヴェルにしてやられた感じですかな。

早速ですが、このあとすぐに『バットマン vs スーパーマン』のネタバレがありますので未見のかたはご注意ください。以降は『スーサイド~』の内容についても書きます。



お話は『B vs S』からの続きで、スーパーマン亡きあと無秩序状態となった世界では“メタヒューマン”と呼ばれる特殊能力を持った者たちが続々と出現していて、人類の脅威とみなされている。

メタヒューマンという呼称は『B vs S』からいきなり出てきたような印象があるんだけど、『MOS』でもそういう台詞があったかどうかはもう覚えていません。政府の人間たちがなんかそんな話をしてたっけ。

要するにX-MENでいうところの“ミュータント”みたいなもんだと理解してますが(微妙に違うのは知ってるけど、めんどくさいので)。つまり“超人”ですな。

ただし、『B vs S』でのそのへんについての説明がかなりおざなりだったので、いまいち「敵」としてイメージしづらい。

この一連のシリーズになんともいえないモヤモヤとしたものを感じるのは、一体敵が何者なのかよくわからないところ。

なんだかよくわからないうちに戦いが始まってて、気づくと終わっている。これではヒーローたちの戦いに燃えられない。

残念なことに、それはこの『スーサイド・スクワッド』でも同じ。

一応“主人公”っぽく描かれているデッドショット(ウィル・スミス)と自殺部隊の愉快な仲間たちはさすがスーパーヒーロー物のヴィランだけあってそれぞれ魅力的なキャラなんだけど、肝腎の彼らが戦う「敵」がこれまたなんだかよくわかんない代物なのだ。

最初は「テロ」だと言われて彼らが現場に駆けつけてみると、まるでマタンゴみたいにブツブツに覆われた大量のゾンビに襲われる。

そいつらはウォーラーやリック・フラッグの手から逃れた魔女エンチャントレスが人間たちを改造して生み出した兵隊たちだったのだが、敵としての魅力に著しく欠けたこのマタンゴの群れと戦う後半が実に退屈極まりなかった。

ハリウッドのこの手の映画としてはちょっとビックリするぐらいアクションシーンが単調。しかも、同じような戦いが何度も続く。これはキツい。

この映画は完全にスーサイド・スクワッドの面々(とジョーカー)のキャラでかろうじてもっていて、敵側のボスは半裸で踊ってるねーちゃんだし、その弟はCG感丸出しのデカブツ。あとはマタンゴだけ。




その時点でもう戦いそのものにちっとも面白味がない。

時々ジョーカーが顔出して暴れるんだけど、本筋とはほとんど絡まないのでバットマン同様ゲストキャラみたいな扱い。


バットマンもちょっとだけ活躍

彼らはほぼハーレイ・クインの背景を描くためだけに出てくる。

前半の、やがてスーサイド・スクワッドのメンバーになる一人ひとりが紹介されていく場面は楽しかったんですよ。

やっぱり悪役たちの出で立ちはかっこいいし、スーパーヒーローたちを手こずらせるヴィランたちが束になって戦わなければならない相手ってどんな奴らなのか期待が高まる。

すでに多くの人たちに指摘されているように、映画の中では悪党だ極悪だと言われてるけれども、この映画のデッドショットもエル・ディアブロも、キラー・クロックも、そしてハーレイ・クインさえも自分の罪を悔いたり悲しみを胸に秘めたりしていて、ちゃんと話も通じるし、意外なほどにマトモなんだよね。

僕たちは現実の世界でけっして反省も後悔もしない、まともに会話もできないサイコなクズたちの存在を知ってしまっているから、そういう現実に存在する凶悪犯罪者や異常者たちに比べたらこの映画のヴィランたちはよっぽどイイ奴らで、これまでたくさん人を殺してきた設定なんだけど印象としてはせいぜいチンピラとかヤンキー程度。

確かに観客がガチで引くようなモノホンの極悪人を登場させちゃったら彼らの戦いぶりを応援するのも難しいかもしれないし、そもそもそんな奴らが協力しあってまともに敵と戦えるわけがない。

なので、ここで描かれているのはヴィランというよりも“アンチヒーロー”たちなんだよね。

“ワル”なんだけど、ヒーローでもあるという。

個人的には、とんでもなく「悪い奴ら」が裏切りあったり手を組んだりしあいながら戦うところを観たかった気はするんだけど。

で、それはわかったうえで観ていたから、僕が不満を述べているのは彼らスーサイド・スクワッドが思ってたほど悪い奴らじゃなかったことではなくて、先ほどから言ってるように彼らが戦う「敵」がつまんなかったからです。

「毒を以って毒を制す」とか言ってるわりには、巨悪であるはずの肝腎の敵がショボすぎ。

いや、規模はなんだかとてつもなくデカいんだけど、結局何やってるのかもよくわからないんですよね。

光りながらオチョダイエットみたいな踊りしてるだけで。

僕は、この映画を観る前はスーサイド・スクワッドの敵というのはもっと現実寄りの、人間の悪人たちなのかと思っていたんですよ。

コミックブックの中の悪人たちが現実に存在するサイコパスや極悪犯罪者たちを懲らしめる、という話なのかと思っていたんです。あるいはテロリストたちを殲滅するとかね。

「毒を以って毒を制す」ってそういうことでしょう。

そしたらなんだかよくわかんない魔女だのなんだのが出てきて大暴れしだしたんで、「なんだこりゃ」と。

予告篇ではまるでジョーカーが今回のヴィランのように見えるし、本当の「敵」は隠されているので、僕みたいな勘違いをした人もいるんじゃないでしょうか。

何かこう、凄くチグハグなものを見せられた気がして。

それまで自分の“力”を発揮することを拒否していたディアブロが後半になってようやく手から炎を出して戦い始めるんだけど、そんな力があるなら銃撃戦必要ないじゃん、と思ったし。




そもそも「バットマン」って、仮面をつけたり扮装した生身の人間がヒーローやヴィランとして跳梁跋扈するような世界だったと思うんだけど、そこに超常現象めいたものが思いっきり出てくると世界観が破壊されるのだ。

ジョーカーもハーレイ・クインも、魔女とかマタンゴの群れなんかとは本来馴染まないキャラでしょ。それこそX-MENやファンタスティック・フォーみたいなのが出張ってこなきゃならないような案件なわけで。

いや、原作とかアニメの方はどうなのか知りませんが。これまでの実写映画の話をしています。

デッドショットにしろキャプテン・ブーメランにしろ、あくまでも等身大のキャラであって、せいぜい武装した傭兵とか殺し屋たちと戦うぐらいが関の山のはず。超人だとか大都市破壊レヴェルのお話には似つかわしくない面子ばかりなのだ。

まぁ、それ言ったらバットマンとスーパーマンが同じ世界にいること自体がすでにおかしいんですが。

たとえば僕は、金のために一般市民も巻き添えにして殺し合いを続けてきた荒くれ者たちが最後に仲間を助けるためにメキシコ軍と撃ち合いの果てに全滅する、サム・ペキンパー監督の『ワイルドバンチ』のアメコミ・ヴィラン版みたいなのを想像してたんですよ。

そういうのだったら僕だって燃えて泣けたと思うんだがな。

でも敵が魔女とマタンゴではなぁ…。

よっぽどミラ・ジョヴォヴィッチでも呼んできた方がお似合いなんじゃないのか。

せっかくスーパーマンがお休み中なんだから、もっと等身大レヴェルの戦いにすればよかったのに。

なんかさぁ、ここ最近『ゴーストバスターズ』も『X-MEN』も『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』もそうだけど、地上から空に向かって(その逆も)光が走って雲が渦を巻いて、みたいなヴィジュアル多過ぎじゃないですか?ハリウッド映画はネタ切れなのか?




だからこの映画で描かれる敵との戦いにはまったくノれなかった。それこそが見どころだったはずなのに。

とにかく僕には、本作品も含めて一連のDCコミックスの実写化映画では「敵」の設定に致命的な誤りがあるように思えてならないのです。

それに、これは意図的にそう描かれてるんだろうけど、ほんとにたちが悪いのはどう考えてもヴィオラ・デイヴィス演じるアマンダ・ウォーラーだよね。

彼女がすべての元凶と言ってもいいでしょう。

ほんとなら最後にヴィランたちが倒さなきゃならないのはこのウォーラーだ。

でも彼女はデッドショットからも「まだ生きてたのか?」と呆れられるほどにしぶとく生き残る。そして最後まで断罪されない。

だからまったくスカッとしない。

悪人たちが主役なんだったら、最後にはお上に楯突いて暴れるのが本懐じゃないのか?政府の高官の命令に従って戦い、最後もそのままおとなしく刑務所に入るんじゃどこにもカタルシスはないじゃないか。政府の犬になって終わり、ってことだから。

ニューヨーク1997』を観なさいよ。

そもそも、ウォーラー役にヴィオラ・デイヴィスをキャスティングした理由はなんなんだろう。

そりゃ彼女はオスカーにもノミネートされた実力派女優だけど、口封じのために部下たちを撃ち殺しまくったり、ヘリが墜ちても銃を手にマタンゴたちを掃射したり、やってることがぶっ飛んでるわりには見た目は普通のおばちゃんなので、そのギャップがなんかスゴいのだ。

演じてるのがパム・グリアとかアンジェラ・バセットとかならわかるけど、見た目普通のおばちゃんがなんでそんなに戦闘力が高いんですか^_^;

見た目と中身の違いの意外性で見せようとしたんだろうか。

まぁ、原作やアニメ版はもっといかついおばさんらしいので映画版では見た目はかなりソフトになってるけど、でもおっかないキャラをわざわざソフトにしちゃったら意味なくないですかね。

 
ほぼマツコなアニメ版アマンダ・ウォーラー

それこそ『ゴーストバスターズ』の女ジャイアンみたいなレスリー・ジョーンズあたりが演じたらピッタリだったろうに。

それにウォーラーは最初からスーサイド・スクワッドをただの捨てゴマとして利用しようとしている様子が描かれていたから、キャラクターとしての意外性などまったくないし。

彼女は今後も何本かの映画に登場するようだから、「アベンジャーズ」におけるあのアイパッチのおっさんみたいな役回りなんだろうけど、釈然としないなぁ。


…またいつものようにイチャモンが続いちゃってますが、ほんとにこれはもっともっと面白くなったはずなんだよね。

予告篇を観てイメージしたような悪人たちが高笑いして大暴れするお祭り映画を期待すると、確かにその通りではあるんだけど、なんかテンポがあまりよくないのだ。

特にジョーカー関連のシーンが大幅にカットされたようなことも言われてるけど、でもカットした場面を確認すると本筋にはそんなに影響しないようなものばかりで、やはり監督自らが書いたもともとの脚本が粗くて編集もかなりの突貫工事だったのがわかる。

もったいないな~。


キャストについては、観る前には「ウィル・スミスの接待映画」という感想もあったので「またかよ」と思っていたんだけど、彼が演じるデッドショットを主役として描くことで烏合の衆であるスーサイド・スクワッドが一応チームとしての体(てい)を成していたし、なんだかんだ言ってさすがはウィル・スミスだけあってやっぱり存在感がある。


特殊メイクをとると誰なのかわからない人もいますが

もしもデッドショットを他の俳優が演じていたら、もっとキャラが薄くなってたと思う。

そしてヒロインであるハーレイ・クイン役のマーゴット・ロビーには大満足。

  

  


だからやっぱり登場するキャラクターたちはどれもイイんです。

ちょっと目尻が上がって大きな瞳のマーゴット・ロビーは小悪魔役がハマっていて、ツインテールも似合ってるしバインバインの太腿もプリップリのおケツも最高。

僕は90年代に地上波で放映されていたアニメ版の「バットマン」を観ていたんだけど、そこに登場した道化師姿のハーレイ・クインが可愛くて好きだったんですね。

 


映画の中でもワンシーンだけピエロの扮装をしていたけど、最近ではツインテールになってるのかな。

マーゴット・ロビーが演じるハーレイ・クインはジョーカーに拷問を受けて精神が崩壊して以来彼にぞっこんで、とんでもないDV野郎であるジョーカーに依存しているが、アニメ版でも確かハーレイ・クインは一方的にジョーカーにくっついてるだけで、ジョーカーの方はツンデレ気味だった記憶が。

アメコミ版ボニー&クライドというか、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』のミッキー&マロリーみたいな狂悪カップル。

ハーレイ・クインにとってはバットマンはジョーカーとの恋路を邪魔するストーカー扱い、というのが面白い。

中性的な顔立ちで総銀歯、全身にタトゥーを施しているジャレッド・レト演じる今回のジョーカーは、実写版の歴代ジョーカーの中でももっともチンピラ度が高い。口も裂けてないし。



 


さすがに狂気では『ダークナイト』のヒース・レジャーにかなわないものの、レジャーのジョーカーはあの1作のみだったからこそ伝説になったともいえて、実際の犯罪者を取材してジャレッド・レトが今回作り上げたジョーカーはシリーズ物では妥当な線ではないだろうか(エンチャントレスに願いを聞かれてハーレイ・クインが空想する場面でレトの素顔が映る)。

ハーレイ・クインことハーリーン・クインゼルに命じて薬品の中に身を投じさせて見捨てて消えようとして思いとどまるところなど、人間っぽさ、ツンデレなところなどこれまでに映画では描かれたことがない面を見せている。

この先公開される予定のベン・アフレック監督・主演のバットマンの新作(※追記:その後、ベン・アフレックは監督及びバットマン役を降板)にレトのジョーカーやロビーのハーレイ・クインが登場するのかどうかは知りませんが、『B vs S』に続いてやたらと「ロビン殺し」を強調しているところなど、そのエピソードが描かれる可能性はありますね。

スーサイド・スクワッドを率いるリック・フラッグ大佐を演じるジョエル・キナマンはリブート版『ロボコップ』でタイトルロールを演じてた人で、いっそのことロボコップも参加すればよかったのに、と思いましたが。




このリック・フラッグは一見まともなんだけど困ったキャラで、彼が今回のラスボスである魔女エンチャントレスが取り憑いた女性を好きになっちゃったからいろいろややこしいことになったわけだし、地下鉄構内でエンチャントレスに逃げられたのも彼のせい。

最後にスーサイド・スクワッドが命を懸けて戦うのも彼の恋人を救うため。

なんか「イイ話」みたいに描かれているけど、超迷惑な野郎である。

やっぱり彼にはスースクの連中とともに最後に上司であるウォーラーをぶっ殺してほしかったなぁ。

キャプテン・ブーメランを演じてる人にも見覚えがあったんだけど、確認してようやくシュワちゃんの『ターミネーター:新起動/ジェニシス』で未来からタイムスリップしてきたゴリマッチョなカイル・リース役だったジェイ・コートニーだったことがわかった。ヒゲ生やしてると誰だかわかんなかった。




ディアブロ役のジェイ・ヘルナンデスは素顔はまったく違うんだけど、劇中でスキンヘッドにして顔にタトゥーが入った状態だとジェイソン・ステイサムに見えてしかたなかった。

スリップノット役のアダム・ビーチは『ウインドトーカーズ』や『父親たちの星条旗』で重要な役を演じていた人だけど、今回はメンバーの一人にもかかわらず戦う前に首っ玉ふっ飛ばされて速攻で死んでいた。

ヒドい扱いだな^_^;

 


そういえば、クリント・イーストウッドの息子のスコット・イーストウッドがリック・フラッグの部下役で出ていた。集中して観ていないと見逃すほどささやかな出演だったけど、地道に頑張ってますね(彼も父親が監督した『父親たちの星条旗』にも出ていた)。

スーサイド・スクワッドのメンバーは、ジェイ・ヘルナンデスはメキシコ系、アダム・ビーチはネイティヴ・アメリカンの血を引いてるし、女剣士カタナ役の福原かれんは日系人と、白人以外のいろんな人種が混ざってるのが特徴的(ワニ男キラー・クロック役のアドウェール・アキノエ=アグバエは特殊メイクのせいで本人の肌の色がわからないがアフリカ系)。




そこんところはメンバーが白人と黒人のみのアベンジャーズよりもヴァラエティに富んでていいと思うんだけど、ディアブロはメキシカン・ギャングだし、カタナは女サムライだし、基本ステレオタイプのキャラ以上には描かれていないので、人種混交チームという印象はあまりない。

カタナちゃんはなぁ…^_^;




なんちゃってニッポンで「助ケテクーレー」とかインチキな日本語を喋るヤクザと戦ったり(映画館の客席から失笑が洩れていた)、彼女自身の微妙に言い回しが間違ってる日本語の台詞が大変耳障りでしたが。ヤンキーの特攻服みたいなコスチュームは面白いし殺陣もキマってたから、一言も喋んなきゃもっとよかったのに。

僕はハリウッド映画における安っぽくてデタラメなニッポン描写が大嫌いで(それを笑って楽しめるほど大人ではないので)、いまだに30年前や40年前、ヘタすりゃ戦前のままの欧米人の適当にもほどがある“フシギの国ニッポン”のイメージを映画で垂れ流されるのが我慢ならないんですが、要するに奴らにとっては非白人とか非アメリカ人なんて昔ながらのステレオタイプの“キャラ”でしかないんだよな。それ以上の興味などないのだ。

でも、お願いだからせめて日本語がちゃんとできる人に演じていただきたいのだが。

魔女エンチャントレス役のカーラ・デルヴィーニュは、ちょうどエマ・ワトソンをもうちょっとワイルドにしたような顔で目ヂカラと意志の強そうな鼻が特徴的な人だけど、映画を観ているうちにだんだん彼女の顔が加賀美セイラに見えてきてw

 
似てます?w

エンチャントレスはTVドラマでスーパーガールやフラッシュと戦ってたけど、やっぱりX-MENのキャラっぽかったなぁ。映画ではそのあまりに強大な力がもはや射撃の名手とかブーメラン野郎などには太刀打ちできない存在になってて、結局最後もよくわかんないうちに心臓を取られて倒されていた。


今回も“早過ぎた男”フラッシュが一瞬だけ登場

かように、DCエクステンデッド・ユニヴァースの最大の欠点はクライマックスの戦いにまったくアガれないこと。

カーラ・デルヴィーニュさん本人はとても魅力的な女優さんだと思いますけどね。

加賀美セイラみたいにもともとモデルで映画への出演はそんなに多くはないようだけど、この映画では結構出ずっぱりなんで気になりました。ぜひこれからも女優としても活躍していただきたいな、と。


そんなわけで、ところどころ楽しい場面はあったし登場キャラたちはよかったけど、ストーリーや演出に残念感が漂う作品でした。

監督は軍隊経験があって脚本家に転身してからは男臭い映画に何本もかかわって、監督デビュー後も『エンド・オブ・ウォッチ』や『フューリー』などで高い評価を受けているみたいですが、僕はあいにくどれも未見なので他の作品についてはわからないけれど、どうもこの監督の資質とアメコミヒーロー映画はあまり食い合わせがよくないのではないでしょうか。

この映画もアメコミのヴィランたちではなくて生身の人間たちでやった方がよっぽど面白くなったんじゃないかなぁ。

とりあえず今は、ベン・アフレックが単身主人公を務める新生バットマンに期待しています(※追記:その後、ベン・アフレック主演の企画は立ち消えになった模様。マット・リーヴス監督、ロバート・パティンソン主演の『ザ・バットマン(原題)』が2021年22年に公開予定)。



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