「たしか」という言葉には2つの漢字があります。

・確か

・慥か

 

 です。

 おそらく「慥」の方は多くの人が見たことがない!と思われるでしょうが、辞書などでは同じ意味の言葉・漢字として扱われています。

 

 ですが、漢字好きの私としてはこの二つの漢字はニュアンスが微妙に異なると考えています。

 

【確】という漢字


 確という漢字を分解してみましょう。

 

 確=石+隺

 

 石は「崖の下に落ちているいし」のこと。

 隺=冖+隹

 

 冖は「はるか遠い」の意味。

 隹は「尾の短い鳥」の象形文字。

 

 つまり、「空高く鳥が飛ぶ様子」を意味します。

 

 これに石がつくと「高い空から小鳥が落とした崖の下にある石」ということになり、ここから「かたい」の意味になり、「たしか」という意味が生じました。

 

【慥】という漢字

 

 慥という漢字を分解してみましょう。

 

 慥=忄+造

 

 忄は「心」が変形した偏で、もともとは心。心臓の象形文字で、心のはたらきや感情などを表す漢字の部首です。

 

 造=辶(辵)+告

 

 辶は「十字路と立ち止まった足」の象形文字で「おこない」や「みち」に関係する漢字の部首です。

 

 告=牛+口

 

 牛は「角の生えた牡牛」の象形文字。

 口は「神に捧げる器」または「くち」の象形文字。

 

 「生贄を捧げて神よりおつげを得る」の意味から「つげる」の意味になりました。

 

 そこから「つげるまでの工程」の意味になり、生贄を形作ることから「つくる」の意味になりました。どちらかというと、手作業で人がつくる「作」よりも、道具を使ってさまざまな工程を経て「つくる」というより複雑なものを意味します。

 

 このつくると心が結びついて「複雑な工程をふんだ考えをつくる」という意味になり、「しっかり考えた意見や明確な感情」となって「たしか」という意味になっています。

 

 最終的にはどちらも「たしか」なのですが、心理的・非物理的なものは「慥か」、物理的・目に見えるものは「確か」というニュアンスが漢字の原義からする使い分けとしてはいいのではないかと思います。