子肌育Blog アトピーに負けない生活。 -22ページ目

子肌育Blog アトピーに負けない生活。

子どものアトピー性皮膚炎治療、スキンケアなどについての正しい知識を、わかりやすくまとめています。

このブログの記事中のリンク表示について


このブログの記事にあるリンクには、リンク先の違いが、ひと目でわかるように、リンクの末尾にマークをつけています。


ただし、携帯で表示されるリンクには、マークを表示できていません。


マークを表示できているのは、PC、スマートフォンのみ。


リンク先によって、次のようにリンク末尾のマークの表示を変えています。


1) リンク先がブログ内の場合


リンク識別アイコン:内部リンク


テキストリンクの末尾に同ウィンドウマーク がついているものは、リンク先がブログ内。


クリックすると、リンク先を同じウィンドウで開きます。


2) リンク先がブログ外の場合


リンク識別アイコン:外部リンク


テキストリンクの末尾に新規ウィンドウマークがついているものは、リンク先がブログ外。


クリックすると、新しいウィンドウでリンク先を開きます。


3) リンク先がPDFの場合


リンク識別アイコン:PDFファイル


テキストリンクの末尾にPDFマークがついているものは、リンク先がPDFファイルです。


クリックすると、新しいウィンドウで、PDFファイルを開きます。


リンク先のPDFを保存だけしたい場合は、リンクをクリックせず・・・


Windowsのパソコンなら、マウスを右クリックで、「名前を付けてリンク先を保存」をクリック。


Macのパソコンなら、キーボードのControlキーを押しながらクリックで保存できます。


記事中のリンク表示:ユーザビリティ


さらなるブログの使い勝手を考えて


これからも、さらにブログのユーザビリティ(使い勝手)を考えて、できるだけの配慮を続けていきたいと思っています。


関連記事:

こいつが記事を書いています

質問はお気軽にどうぞ

きちんとした先生に子どものアトピーを診てもらいたい

どんな食べ物で、食物アレルギーが出ることが多いのか?


こんにちは。橋本です。


「ほんとうに食物アレルギーがあるか?」


「どの食べ物に食物アレルギーがあるか?」


これをはっきりさせるには、じつは、想像以上に手間がかかったりします。


というのも、食物除去試験・食物負荷試験というダブルチェックしないと、食物アレルギーは、はっきり確定させられないからです。


つまり、特定の食べ物、症状の容疑者となる食べ物を、最終的に1つずつ試していかないことには、正しい答えが出ないということです。


すべてを疑うのは混乱のもと


しかし、食事は1日3食、毎日食べるもの。


すべての食べ物を、あてずっぽうに食物アレルギーの容疑者と疑ってしまうと、わけがわからなくなってしまいます。


とくに、ジワジワと湿疹とか、蕁麻疹(じんましん)が繰り返したりしていると。


そこで1つ知っておくと、少し助けになるだろう、ということがあります。


「どんな食べ物で、食物アレルギーが出ることが多いのか?」ということです。


即時型食物アレルギーの疫学(えきがく)


日本国内の食物アレルギーに関する疫学調査で、厚生労働科学研究班がおこなった次のような報告が参考になります 1)


調査対象は、


食後1時間以内に、食物アレルギーの症状が出て、医療機関を受診した患者3882人


短時間で症状が出る、いわゆる「即時型食物アレルギー」というものが、どの食べ物で出たかを調べたものです。


アトピーの湿疹のように1~2日かけて、ジワジワ変化する症状を診断調査したわけではないことには、注意が必要です。


全年齢層でみると原因食物は?


次の円グラフは、全年齢層を含めた患者3882人が、どの食べ物で即時型アレルギーをおこしたかをあらわしています。


食物アレルギー:原因(全年齢層)


いちばん多い鶏卵、つぎに乳製品、そして小麦


いわゆる三大食物アレルゲンといわれるものが、6割以上を占めています。


その次にエビ、カニなどの甲殻類(甲殻類)果物蕎麦(そば)と続きます。


年齢別でみた、おもな原因食物は?


次にあらわすのが、年齢別でみた即時型食物アレルギーの原因食物、トップ5です。


  0歳 1歳 2、3歳 4~6歳 7~19歳 20歳以上
1 鶏卵
鶏卵
62%
鶏卵
鶏卵
45%
鶏卵
鶏卵
30%
鶏卵
鶏卵
23%
甲殻類
甲殻類
16%
甲殻類
甲殻類
18%
2 乳製品
乳製品
20%
乳製品
乳製品
16%
乳製品
乳製品
20%
乳製品
乳製品
19%
鶏卵
鶏卵
15%
小麦
小麦
15%
3 小麦
小麦
7%
小麦
小麦
7%
小麦
小麦
8%
甲殻類
甲殻類
9%
そば
そば
11%
果物類
果物類
13%
4   魚卵
魚卵
7%
そば
そば
8%
果物類
果物類
9%
小麦
小麦
10%
魚類
魚類
11%
5   魚類
魚類
5%
魚卵
魚卵
5%
ピーナッツ
ピーナッツ
6%
果物類
果物類
9%
そば
そば
7%
小計
89%
80%
71%
66%
61%
64%

いちばん下の段の「小計」は、トップ5のパーセンテージを合計したものです。


離乳食を開始する0歳では、鶏卵、乳製品、小麦だけで90%近くを占めています。


その後、1歳で魚卵、魚。


2、3歳で、蕎麦(そば)。


4~6歳で、エビ、カニなどの甲殻類(こうかくるい)、果物、ピーナッツなどが要注意になってきます。


データから「どれが」「どれだけ」要注意かを知る意味


先にもいったように、これはあくまでも、即時型食物アレルギーを調べたデータ。


アトピー悪化の要因としての「遅延型アレルギー」を調べたものではありません。


しかしながら、おおよそ「こういうものによく食物アレルギーが出るんだな」というのを知っておく。


さらに、「食べ物で悪化しているに違いない!」という過剰な思い込みがないように気をつける。


そうすれば、こういうデータは、子どもの離乳食を進める際、またはアトピー治療の参考になるわけですね。


関連記事:

ゼラチンアレルギーは気づきにくい

食物アレルギーならアトピーなのか?

妊娠中の食事制限は、アトピーの予防になるの?

引用文献:

1) 今井孝成、海老澤元宏: 平成14年・17年度厚生労働科学研究報告書.

ニキビと間違えやすい「マラセチア毛包炎」とは?


こんにちは。橋本です。


胸、背中、または額(ひたい)、こめかみ。


アトピーの治療中に限ったことではないですが、こういったところに、小さなブツブツが広がり、しつこく繰り返すことがあります。


ときに炎症をおこして、赤くなることも。


パッと見ると、ニキビや汗疹(あせも)にもみえる、この小さなブツブツ。


マラセチア毛包炎(もうほうえん)という症状の可能性もあります。


長く繰り返すようなマラセチア毛包炎は、的確な診断、それに見合った治療をすることで、いちじるしく良くなることも多い症状です。


症例写真:マラセチア毛包炎
症例写真マラセチア毛包炎


 


マラセチア毛包炎とは


マラセチア毛包炎は、ニキビと形や出かたとそっくりなブツブツです。


マラセチア毛包炎

胸、背中、肩から二の腕にかけて、または額(ひたい)、こめかみ、首などに、毛穴に一致して、ニキビのような赤い小さなブツブツが、まばらに多発する症状


小さなブツブツに「うみ」がたまることがある点、出やすい場所でも、ニキビに似ています。


ニキビが思春期以降に出やすくなるのに対し、マラセチア毛包炎は、9~10歳からの若年層でも、中年層でも、幅広い年齢層で多く見られるといわれています。


マラセチア毛包炎、単独では、かゆみは、それほど強くないといわれますが、ときとして強いかゆみを訴えるケースもあります。


 


皮膚に住みつく真菌(カビ)が原因


マラセチア毛包炎の原因は、「マラセチア」という真菌(しんきん:カビ)です。


マラセチアは、日本では「癜風菌(でんぷうきん)」ともよばれています。


現在のところ10種類のマラセチアが確認されていますが、実際に皮膚の炎症に関係するのは、次の5種類だと報告されています 1)


・ マラセチア・ファーファー( Malassezia furfur )

・ マラセチア・グロボーサ( Malassezia globosa )

・ マラセチア・レストリクタ( Malassezia restricta )

・ マラセチア・シンポディアリス( Malassezia sympodialis )

・ マラセチア・ダーマティス( Malassezia dermatis )


ただし。


このマラセチアというカビは、普通なら怖いものではなく、誰の皮膚の表面にも存在している、ごくありふれたものです。


マラセチアは、皮膚表面や毛穴の皮脂を好み、栄養にします。


そのため、比較的皮脂が多く出やすい場所。


たとえば、背中から二の腕にかけて、といったところの毛穴で増えやすくなることがあります。


そうやって、毛穴の中でマラセチアが増えると、分解された皮脂は、遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)という、肌にとって刺激になりうるものに変わります。


この刺激に強く反応すると、炎症がおき、小さなブツブツができたり、うみがたまったりする、とみられているわけです。


マラセチアはカビであるがゆえに、高温多湿、不潔という条件では、増えやすくなるだろうと考えられます。


また、このマラセチアという皮膚に住むカビは、癜風(でんぷう)脂漏性皮膚炎といった、ほかの皮膚症状をおこすこともあります。


 


ニキビ、あせもなどとの判別が必要


マラセチア毛包炎の症状は、見た目が尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう:ニキビ)や汗疹(あせも)に似ています。


よく注意して見れば、マラセチア毛包炎と汗疹の違いぐらいは、わかるかもしれません。


しかし、ニキビとの見た目の違いを、素人が判別するのは、ほぼ不可能です。


にもかかわらず、それぞれの治療方法は、まったく違います。


カビが原因であるマラセチア毛包炎に対し、ニキビはアクネ桿菌(かんきん)という細菌が関係する症状です。


そのため、有効な治療方法も、薬もまったく違ってきます。


無駄な治療をしないためにも、マラセチア毛包炎とニキビを、病院の診察できちんと判別してもらうことは、とても重要なんですね。


 


どうすれば、マラセチア毛包炎だとわかるのか?


ニキビとマラセチア毛包炎を、確実に判別するには、少し手間がかかります。


どうすれば、マラセチア毛包炎だとわかるか?


患部から「マラセチア(癜風菌:でんぷうきん)」が、多く見つかれば、マラセチア毛包炎だと確定できます。


それには、顕微鏡検査をおこないます。


マラセチア・ファーファー(癜風菌:でんぷうきん)


ブツブツの内容物を顕微鏡でのぞいて、円形ピンボールだるまのような独特な形をした真菌(カビ)が、多数見つかる。


そうすれば、マラセチア毛包炎だとはっきり診断できるわけです。


 


マラセチア毛包炎の治療方法


マラセチア毛包炎は、治りやすい症状です。


抗真菌外用薬(カビの生育をおさえこむ塗り薬)が、マラセチア毛包炎の治療には、よく使われます。


抗真菌外用薬には、たくさんの種類がありますが。


中でもイミダゾール系(商品名:ニゾラールなど)といわれる抗真菌外用薬が、よく効くことが知られています。


症状がひどく、塗り薬がなかなか効かない場合に限り、イトラコナゾール(ITCZ)という飲み薬を1週間程度、服用することもあります。


肌を清潔に保つことも、マラセチアを増やしすぎない条件になりえますが、それで劇的に変わることはないと考えられます。


そういう意味では、


過度な清潔

無茶な消毒方法


などに効果を期待するのは、好ましくありません。


たとえば、消毒薬で肌の消毒をしたり、必要以上に体を洗う、とかですね。


ただ、「塗り薬でマラセチア毛包炎は治りやすい」とはいうものの、すぐには消えてくれません。


1~2ヶ月、症状がなくなり切るまで、コツコツ塗り続けるのが、治療のコツです。


中途半端で塗るのをやめてしまうと、また再発を繰り返すことも多くなってしまいます。


再発を繰り返すと、黒い色素沈着がなかなか消えてくれないこともあります。


 


アトピーとどう関係あるの?


アトピーとマラセチアの関係で、1つ気になることがあります。


それは、


一部のアトピーの患者では、マラセチアに対してアレルギー(IgE抗体)をもってしまい、アトピーが治りにくいのではないのか


と指摘する報告が、いくつかあることです 2, 3)


そういう意味では、アトピーもひどいけど、マラセチア毛包炎癜風(でんぷう)、脂漏性皮膚炎がひどい。


そういう場合は、きちんとそれに見合った治療をするというのも、アトピーの悪化因子を少しでも減らすことにつながるのかもしれません。


 


ステロイド外用薬は塗ってもいいのか?


アトピーとマラセチア毛包炎の症状が、いっしょのところに出ている場合。


困るのは、そこに「ステロイド外用薬を塗ってもいいか?」ということです。


なるべくなら、マラセチア毛包炎が出ている場所には、ステロイド外用薬は塗りたくありません。


なぜなら、ステロイド外用薬は、塗ったところの皮膚の炎症をおさえると同時に免疫を低下させてしまうからです。


免疫が低下するということは、マラセチアの活動をサポートすることにもつながりかねないわけです。


現在のところ、「アトピーだとマラセチア毛包炎なりやすい」などの指摘は、されていません。


ただし、ステロイド外用薬に免疫を低下させる可能性がある以上、マラセチア毛包炎を誘発させるケースがあることも考えられます。


だから、ステロイド外用薬を塗りたくない。


かといって、湿疹がひどいのにステロイド外用薬を使わないというのも、アトピーの治療を難しくしてしまいます。


そこで、アトピーとマラセチア毛包炎が混在するところは、ステロイド外用薬と抗真菌外用薬、両方を使うという道を選ばざるをえない時もあるんですね。


そういう場合、実際にどう治療の筋道を立てていくかは、


アトピーとマラセチア毛包炎の症状・経過

お医者さんの知識・経験

患者さんの意見


これらを総合して、よく相談をしたうえで決めるのがベストです。


 


 


 


関連記事:

実際にどれぐらいの人にステロイドの副作用が出るのか?

かゆみ神経は伸びる

きちんとした先生に子どものアトピーを診てもらいたい


参考文献:

1) 佐々木 靖之, 松永佳世子ほか: マラセチア毛包炎病巣部から分離されたMalassezia spp.の同定. JPT Supplement.1 48: 79, 2007.


2) 向井 秀樹, 金子 聡, 斉藤 典充, 長瀬 彰夫, 新井 達, 平松 正浩, 加藤 博司: アトピー性皮膚炎における抗マラセチア特異IgE抗体の臨床的意義. アレルギー 46(1): 26-33, 1997.


3) 神戸 俊夫, 小山 友来: マラセチアとアトピー性皮膚炎-患者血清中の抗マラセチアIgE抗体からの検討. 真菌誌: 44(2),71-75, 2003.


「少しでもアレルギーの可能性のある食べ物は、食べなければ安全じゃん」


こんにちは。橋本です。


食物アレルギーの症状が出たときに、「何を食べたのが原因なのか」を突き止めるのに、苦労することがあります。


とくに、食べてからすぐに、急激な変化が出るわけではないタイプ。


症状がアトピーの湿疹として出るようなタイプでは、湿疹が1~2日かけてジワジワ出てくることもあります。


食物アレルギー:食事制限


2つのタイプの食物アレルギー


30分~1、2時間ほどで、急激に症状が出るタイプを「即時型アレルギー」。


一方の、症状が1~2日かけてジワジワ出てくるタイプを「遅延型アレルギー」。


専門用語では、そうよんでいます。


遅延型アレルギーとなると、「何を食べてそうなったか」の推測が難しいこともあります。


症状を確認するまでの1~2日間、何もほかのものを食べないというわけにもいかないですからね。


食べ物でアトピーが悪化するとは限らない


また、「子どものアトピーは、食物アレルギーが原因」とは、必ずしも言い切れません。


もし食物アレルギーが関与していないのにもかかわらず、もともとのアトピーの症状が悪化したタイミングと重なった場合。


「食べ物でアトピーが悪化した!」と思い込んでしまう危険性もあります。


そうなると、治療にとって意味のない、無駄な食事制限をしてしまうことにもなりかねません。


それでも、食べさせることで悪化しそうな気がすると、「なるべく食べさせないほうがいいんじゃないか」という誘惑にかられます。


しかし、「少しでもアレルギーの可能性のある食べ物は、食べなければ安全じゃん」というのは、よくありません。


必要のない食事制限のマイナス面とは


必要のない食事制限(食物除去)をすることは、


子ども → 成長にとって大切な栄養が不足してしまう

ママ → 毎日のごはんを作る手間が増えてしまう


のような、ダブルの意味で、支障が出てしまうからです。


とはいっても、根拠がしっかりした食事制限なら、症状がよくなることがあるのもたしかです。


では、「根拠がしっかりした食事制限」とは、どういうことでしょうか?


食事制限を考える場合の、4つの根拠を少しみていきたいと思います。


血液検査


病院では、どんな食べ物にアレルギーをもっているかを、血液検査で調べることができます。


「特異的IgE抗体検査」とか、「RAST検査(ラストけんさ)」といわれるものですね。


この検査は手軽で、出た結果は参考になります。


ですが、「この食べ物にアレルギーがありますよー」という結果が出たのにもかかわらず、その食べ物を食べても全然平気、というケースもあります。


血液検査の結果だけを理由に食事制限をするというのは、根拠としては弱いです。


プリックテスト


食物アレルギーの検査では、プリックテストも使われることがあります。


皮膚に食べ物のエキスをたらし、そこを専用の針で刺す。


そうすると食べ物のエキスが皮膚の中に侵入するため、10~15分ほどでアレルギー反応の有無がわかる。


それがプリックテストです。


皮膚がどれだけ「ぷっくりはれるか」で、アレルギーの強さをみます。


ただ、プリックテストでみられるのは、あくまでも、「即時型」の食物アレルギー。


1~2日かけてジワジワ湿疹が出てくるタイプの食物アレルギーがあるかどうか。


いわゆる「遅延型アレルギー」があるかどうかは、プリックテストではわかりません。


プリックテストの結果だけを理由に、食事制限をする。


それもまた、根拠としては弱いんですね。


エピソード


食事制限するかどうかを決めるのに、お医者さんによる問診は、とても重要です。


「これを食べてから症状がひどくなった気がするんですが・・・」


そういった具体的なエピソードも、食物アレルギーの原因を探っていく助けになります。


「食物日誌」といって、毎回の食事内容、症状の変化を記録するノートを作ると、お医者さんとの問診、相談に役立つこともあります。


ただしこれも、「遅延型」の症状が出る場合、アトピーが関与する場合は注意が必要です。


なぜなら、アトピーを悪化させる原因は、複数に渡るケースが多く、食べ物以外で悪化しても、食べ物が原因と思い込んでしまうことがありうるからです。


ていねいにエピソードを分析することは大事です。


しかし、エピソードには、「思い込みが入り込む可能性が大きい」と、少し疑ってかかる必要があります。


エピソードだけを根拠に食事制限することもまた、根拠としては弱いです。


最終的には


以上、「血液検査」「プリックテスト」「エピソード」という、食事制限の判断材料をみてきました。


時と場合によっては、たとえば「血液検査」だけを根拠に、食事制限をするというのもありなのかもしれません。


かかる手間や症状の程度。


様々なものを天秤にかけて、個人個人のケースで考えるものだと思います。


でも、上であげたような3つの根拠だけでは、無駄な食事制限をおこなう可能性があるのも事実です。


では、最終的に食事制限の根拠として、より確かなもの、より強いものは、何でしょうか?


それは、


食物除去試験:

特定のものを食べなければ症状が出ないか?


食物負荷試験:

特定のものを食べれば症状が出るか?


食物除去試験・食物負荷試験のダブルチェックです。


「少しでもアレルギーの可能性のある食べ物は、食べなければ安全じゃん」という考え方。


これは一見、安全にみえて、じつは、子どもにもママにも負担を負わせるだけ、無駄な食事制限にもなりかねません。


できれば、食物除去試験・食物負荷試験のダブルチェックを、食事制限の根拠にするのが、より理想的な治療となるわけです。


参考記事:
子どものアトピーは、食事制限したほうがいいのか?を決めるための5ステップ


関連記事:

食物アレルギーを調べることができる病院

食物アレルギーと間違えやすいこと

卵アレルギーを正しく判定するポイント

疥癬(かいせん)をアトピーと思い込むとどうなる?


こんにちは。橋本です。


アトピーときちんと区別して診断してもらいたいものに、疥癬(かいせん)という病気があります。


疥癬は、アトピーとは違い、原因がはっきりとしている感染症のひとつです。


しかしながら、アトピーと疥癬は、症状の共通点も多いので、疥癬にかかったのにもかかわらず


「アトピーがひどくなった」


と思い込んでしまう事態が、おこりうることも考えられます。


なかなか身近になく、よくわからない皮膚感染症、疥癬。


疥癬患者は、年間約8~15万人と推定されています。


そのため一生、ご縁になることのない人がほとんどだと思いますが。


この疥癬という病気のことを、頭の片隅にでも覚えておいてもらえれば、もしもの時に役立つかもしれません。


疥癬:ヒゼンダニ


疥癬とは


「疥癬」は、ヒゼンダニという、たいへん小さなダニが、人間の皮膚に住み着くためにおこる皮膚の病気。


ヒツジ、ウシ、ブタなど、家畜動物でも集団感染がみられる病気です。


疥癬にかかると、激しいかゆみが、とくに夜間に強く襲ってきます。


症例写真:子どもの疥癬
症例写真子どもがかかった疥癬


原因は「ヒゼンダニ」


疥癬は、病気のメカニズムがはっきりしています。


原因は、疥癬虫(かいせんちゅう)ともよばれるヒゼンダニです。


このヒゼンダニは、乾燥に弱く、皮膚から離れると2~3時間程で死んでしまいます。


寿命も、10~14日間と短いのですが、メスの成虫は卵を産んで、繁殖を繰り返します。


これがやっかいなんですね。


産卵の際には、手首や手のひら、指の間、ひじ、わきの下、足首や足の裏、股の間などに疥癬トンネルとよばれる横穴を掘り、そこに卵を産みつけます。


症例写真:疥癬トンネル
症例写真ヒゼンダニが作った「疥癬トンネル」


血液は吸わず、皮膚のアカを食べることで、寄生します。


メスの成虫が、人間に感染すると、約1ヵ月後に発病するといわれています。


激しいかゆみと湿疹


強いかゆみ、赤みのある湿疹ができるのが、疥癬による症状の特徴です。


湿疹は、腹部や腕、手足など、様々な場所にできる可能性があります。


股の間には、あずきのような結節(けっせつ:「ボツボツした、しこり、湿疹」のこと)が残ることもあります。


このような症状は、皮膚に住み着いたヒゼンダニそのもの、脱皮殻、排泄物によって、アレルギー反応がおこるために、あらわれてきます。


現在は老人養護施設などで、高齢者や介護者の間で集団感染する事例が、多く報告されています。


ときには、病院内で感染が広がる事例もあります。


一般に高齢者で発症しやすいといわれていますが、子どもでも発症することはあります。


子どもでは、症状として、みずぶくれ(水疱:すいほう)や、うみ(膿疱:のうほう)がみられることが多いといわれています。


症例写真:子どもの疥癬による水疱・膿疱
症例写真子どもの疥癬にみられる水疱・膿疱


アトピーの子どもが、疥癬にかかるリスクが高いなどの指摘は、今のところありません。


角化型疥癬(かっかがた・かいせん)という重症ケース


重症の疥癬では、角化型疥癬というタイプの症状がみられることがあります。


角化型疥癬は、通称、ノルウェー疥癬とよばれることもあります。


通常の疥癬は、一人の患者の皮膚に寄生するダニの数は、せいぜい1000匹程度。


しかし、何らかの原因で免疫力(抵抗力)が低下していると、ダニの数が、100~200万匹にも達するといわれています。


この状態が、「角化型疥癬」です。


ここまで重症になると、あきらかに、通常の疥癬とは症状が違い、異常にアカが吹き出したような、かさぶた状の皮膚になります。


また、通常の疥癬にくらべ、かゆみは少なくなるといわれています。


角化型疥癬は、カンタンに周りの人に感染しやすくなるため、患者には個室で生活してもらう必要がでてきます。


疥癬の診断ポイント


ヒゼンダニは、たいへん小さなダニなので直接目で見ることはできません。


メスの成虫でも、体長はわずか0.4mm。


角層を切り取って顕微鏡でみたり、ダーモスコープといわれる皮膚観察用の虫眼鏡で患部をみる。


そうすることで、ヒゼンダニが発見できれば、「疥癬」と診断できるわけです。


「疥癬トンネル」を見つけることも、診断のポイントになります。


また、アトピーが体の左右対称に症状が出やすいのに対して、疥癬はそのように出るとはかぎりません。


アトピーとの区別が大切な理由


アトピーの症状と、通常の疥癬は、強いかゆみと湿疹があらわれるという点で、症状が似ています。


しかし、疥癬に感染したのにもかかわらず、アトピーの悪化と思い込んでしまうことには、大きな危険があります。


それは、治療にステロイド外用薬を使ってしまうことです。


もちろん、アトピーの湿疹には、ステロイド外用薬がよく効きます。


ところが、疥癬の湿疹には、ステロイド外用薬は、まったく効きません。


それどころか、ステロイド外用薬を塗ることで、疥癬の症状が悪化する可能性もあります。


というのも、ステロイド外用薬には、塗った部分の免疫を低下させる作用もあるから。


皮肉にも、湿疹をおさえるために塗ったステロイド外用薬が、ヒゼンダニの活動をサポートしてしまうことにもつながりかねないというわけです。


そういう意味でも、きちんとした診断が大事。


通常では考えられないような、アトピーの悪化がみられるときは、やはり、お医者さんの診察が大切になってくるんですね。


疥癬の治療には、塗り薬も使われますが、イベルメクチン(製品名:ストロメクトール)という飲み薬が有効であることが知られています 1)


関連記事:

小さなブツブツが「貨幣状湿疹」になることも

「刺すダニ」と「アレルギーの原因になるダニ」は種類が違う

白癬(はくせん)ってなに?


参考文献:

1) 大滝倫子: イベルメクチンによる疥癬の治療. 臨床皮膚科 56: 165-167, 2002.