小さなブツブツが「貨幣状湿疹」になることも
こんにちは。橋本です。
「貨幣状湿疹」は、病名ではありません。症状の形状。見た目からつけられた名前。
おもに、乾燥肌からおこるもの。または、アトピーによる症状のひとつを指したものです。
コイン状に丸く湿疹ができるので、「貨幣状湿疹」とよんでいるわけですね
通常、1個単独であらわれることはなく、まばらにいくつも現れます。
貨幣状湿疹はどれも同じような見た目ではなく、いろいろなバリエーションがあります。
また、金属、ゴム製品、塗り薬などの接触皮膚炎が関係する症状もあると報告されています。1)
できる場所
はじめ、足のすねにあらわれることが多く、体幹、腕などに広がる症状です。
「急にあらわれるもの」ではない
貨幣状湿疹は、小さなブツブツから始まることが多い症状。徐々に発展してできる症状です。
始めは小さなブツブツ。
だんだんかゆみが強くなって、かいているうちに大きくなる。
「かき壊してジュクジュクになる、かさぶたができる、かき壊す」を繰り返すうちに、ひどくなっていきます。
さらにひどくなると、「自家感作性皮膚炎」とよばれる全身に広がる炎症に発展していくこともあるので、注意が必要です。
ほかの病気との判別
症状が似ているほかの病気と間違えることがあります。
・ 乾癬 (かんせん)
・ 扁平苔癬 (へんぺいたいせん)
・ 菌状息肉症 (きんじょうそくにくしょう)
・ ボーエン病
・ 体部白癬 (たいぶはくせん=体にできる水虫)
・ ジベルばら色粃糠疹 ( - いろひこうしん)
など。もちろん、それぞれの病気で治療方法は違います。
貨幣状湿疹かどうかは、専門医による的確な診断が必要です。
治療方法
ごく普通のアトピーの治療と変わりありません。
ただし、患部は、強い炎症が繰り返しやすくなっています。
比較的、強いランクのステロイド外用薬を使うことになるので、薬の使いかたをお医者さんとよく相談し、皮膚のチェックを定期的に受ける必要があります。
貨幣状湿疹からわかること
貨幣状湿疹からわかること。
それは、「早期治療の大切さ」です。
貨幣状湿疹は、突然広がるものではありません。
始めはささいなブツブツだったものが、発展してしまうパターンが多いんですね。
貨幣状湿疹になってしまってから治療をしても、ぶり返す炎症をおさえるのが大変。
うまくおさえても、あとが残り、色が戻るのにも時間がかかります。
そう考えると、炎症が軽いブツブツのうちに手を打ってあげるのが、「いかに楽なことか」がよくわかります。
早く治療をすれば、あとは残りません。自家感作性皮膚炎をおこすこともありません。
参考文献:
1) Fleming C, Parry E, Forsyth A, et al. Patch testing in discoid eczema. Contact Dermatitis 36. 261-4, 1997.