白癬(はくせん)ってなに?
こんにちは。橋本です。
注意しないと、アトピーと間違われることがある症状に、『白癬(はくせん)』という症状があります。
アトピーがなくても、白癬になることがありますし、アトピーの症状に白癬の症状が重なることもあります。
とくに、アトピーの治療中に白癬が出た場合は、気をつけないといけません。
実際の症例写真:体部白癬(たいぶはくせん)
白癬とは
白癬とは、よく聞く言葉でいうと、「水虫」「たむし」などのことです。
「むし」と付く名前でよばれるものの、昆虫が症状に関係するわけではありません。
白癬の原因は、白癬菌とよばれるカビ菌の一種。
この白癬菌に感染することでおこる皮膚感染症が、白癬という病気なんですね。
白癬菌による症状で、いちばん代表的なのは、足にできる水虫。
ですが、白癬がおこるのは、足だけではありません。どこにでも、できる可能性があります。
白癬のいろんな呼ばれかた
「どこにできるか」で、症状の呼ばれかたも少し変わってきます。
たとえば、
頭にできる白癬:
頭部白癬(とうぶはくせん) → シラクモ
股まわりにできる白癬:
股部白癬(こぶはくせん) → いんきんたむし
体にできる白癬:
体部白癬(たいぶはくせん) → ゼニたむし
足にできる白癬:
足白癬(あしはくせん) → 水虫
ツメにできる白癬:
爪白癬(つめはくせん)
こんな感じで、同じ白癬でも、様々な呼ばれかたをします。
どうやって感染するのか?
いちばん感染しやすいパターンが、家族内での感染です。
たとえば、白癬にかかっている人と一緒のお風呂を使ったり、足ふきマットなどを使ったりすると、白癬菌がうつることがあります。
白癬菌は、カビ類の一種なので、温かくて湿った時期、場所で繁殖しやすくなります。
汗をよくかいたり、不潔な状態、蒸れた状態だと感染、繁殖しやすくなるわけです。
白癬にかかると、感染した皮膚がうろこ状に厚くなったり、赤みが出てかゆくなったりします。
強いかゆみがあると、「アトピーが悪化したんだ」と思い込んでしまうケースもありえます。
白癬をアトピーと思い込んで治療をすると、思わぬ悪化にみまわれることにもなりかねません。
白癬をアトピーと間違えると
白癬をアトピーと間違えて、ステロイド外用薬を塗って治療をすると、白癬がひどくなります。
なぜかというと、ステロイド外用薬は炎症をおさえてくれると同時に、皮膚の抵抗力も一時的に落としてしまうから。
抵抗力が落ちた部分で、白癬菌が元気に繁殖しやすくなってしまうわけですね。
なので、白癬がある部分には、ステロイド外用薬を塗らないのが原則です。
白癬の治療には、抗真菌薬を飲んだり、塗ったり、症状にあわせて工夫をします。
アトピーによる湿疹と間違える可能性もある白癬ですが、見分けるにはいくつかポイントがあります。
白癬を見分けるポイント
典型的な体部白癬は、「赤み」が輪っかを描いたようになります。
通常、アトピーの湿疹では、これほど境界がはっきりとしたリング状の赤みは出ません。
ただし、どんな白癬でも、このような「わかりやすい形」になるわけではありません。
白癬かどうか、見た目がビミョーで、判断がつかないこともあります。
判別が難しい場合、お医者さんによっては、顕微鏡で検査をおこないます。
実際の手順としては、はがれ落ちそうになっている湿疹の一部を切り取り、それを薬品で少し溶かして、顕微鏡で観察します。
顕微鏡でのぞいて、白癬菌の菌糸(きんし)や胞子(ほうし)などが見つかれば、白癬と診断できるわけです。
また、アトピーでは、体の左右対称に湿疹があらわれやすいのに対して、体部白癬は左右対称に症状が出るとはかぎりません。
それも、アトピーと白癬を見分ける、ひとつのポイントです。
白癬の治療で大切なこと
しかし実際には、見分けるのは、なかなか素人には難しいので、気になる湿疹があらわれたときは、きちんとお医者さんの診察を受ける必要があります。
白癬は放置すると、広がったり、色素沈着が残るケースもあるので、気づいたら早めに治療することも大切。
白癬菌に感染すると、きっちり治り切るまで治療しないと、白癬菌が残り、再発を繰り返すこともあります。
よくなったように見えても、お医者さんのOKが出るまで、治療をストップしないのも、白癬の治療のポイントですね。