なんでアトピーはかゆくなるの?
こんにちは。橋本です。
アトピーはかゆいもの。
これは間違いないですが、そもそも、アトピーだと、なんでかゆくなるんでしょうか?
少しカンタンに、まとめておきたいと思います。
皮膚のバリア機能の低下
アトピーの子どもの多くは、乾燥肌であることが多いです。
乾燥肌になると、それだけ皮膚のバリア機能が弱まります。
そして、肌の水分は失われやすくなり、外部からの刺激やアレルゲンが、肌内部に侵入しやすくなります。
そうすると、繰り返される刺激やアレルギー反応によって、肌に炎症がおこります。
この炎症によって、かゆみ神経が刺激を受け、「かゆいー」という反応がうまれるわけです。
「かゆい」→「かく」の悪循環
かゆいから、かく。
皮膚が、かきこわされると、皮膚の保湿機能がさらに弱まり、バリア機能もダメージを受ける。
バリア機能が低下すると、外部から刺激やアレルゲンが、より侵入しやすくなる。
そうすると、前より強い炎症が、肌におこりやすくなる。
強い炎症で、もっとかゆくなる。
そして、かきむしる。
この繰り返しで、どんどん、かゆみが強くなってしまう悪循環におちいってしまうのが、アトピー悪化によくあるパターンです。
血液中のIgE値が高くなるパターンですね。
保湿剤で肌をサポートするケア
つまり、この場合、かゆみを強くする悪循環のはじまりは、皮膚のバリア機能の低下。
カンタンにいえば、乾燥肌です。
このような視点からみても、保湿剤により、弱った肌の保湿機能、バリア機能をサポートしてあげることが、いかに大事かわかるかと思います。
薬で、今ある炎症をおさえることが大切なのも、間違いありません。
ですが、それと同じくらい、肌を的確に保湿してあげることも大事。
的確な保湿をすることで、肌の正常な再生をサポートすることになり、炎症のおこりにくい状態に向かうことになるんですね。
乾燥肌じゃないアトピーもある?
ただし、すべてのケースで、アトピーのかゆみが、乾燥肌からはじまっているとは断定できません。
約20%のアトピー患者で、皮膚のバリア機能の低下が関係していないケースがあると指摘する報告もあります 1, 2) 。
血液中のIgE値が正常なのに、アトピーが悪化するパターンもあるんですね。
ただ同時に、皮膚のバリア機能の低下が関係していないケースは、思春期以降で発症することが多いとも報告されています 1, 2) 。
つまり逆にいうと、幼児期までに発症するアトピーで、乾燥肌がみられる子どもでは、皮膚のバリア機能の低下がアトピー、かゆみの悪化に大きくかかわっている可能性が高いわけです。
そういった子どもたちでは、保湿ケアをコツコツ続けることが、かゆみをおこりにくくすることも多いんですね。
皮膚のバリア機能が、うまく働くような状態になるようにすれば、アレルゲンに感作されるリスクも減ります。
そういう意味でも、保湿ケアによって、すべすべの肌をなるべくキープすることは、長い目で見て、炎症、かゆみを減らしていくことにつながります。
参考文献:
1) Brenninkmeijer EE, et al: Clinical differences between atopic and atopiform dermatitis. J Am Acad Dermatol 58: 407-14, 2008.
2) Tokura Y: Extrinsic and intrinsic types of atopic dermatitis. J Dermatol Sci. 58: 1-7, 2010.