通信販売の違反行為「電子契約の申し込みとなることを容易に認識できるようにしていないこと」とは | 個人経営者・女性起業家のための法律とWEBの基礎知識(神戸・大阪)

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法律とWEBの専門家、消費者法務コンサルタントの赤松です。消費者センターで11年間で15万件以上の相談を経験した元行政技術職員が、契約や取引の法律対応やWEB情報発信をサポートします。一般社団法人はりまコーチング協会 代表理事。ITコーディネータ。

特定商取引法第7条(指示等)で違反となる「顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為」の3つの具体的な違反事項(特定商取引法施行規則第16条第1項)のうちの電子契約に関する2つの違反事項「①電子契約の場合、それが電子契約の申し込みとなることを容易に認識できるようにしていないこと」「②電子契約の場合、申込みの内容を容易に確認し及び訂正できるようにしていないこと」について解説します。

今回は「①電子契約の場合、それが電子契約の申し込みとなることを容易に認識できるようにしていないこと」になります。

分かりにくいのは法律の条文独特の言い回しですね。

これでも省略しているので、もう少し詳し目に引用します。

【特定商取引法施行規則第16条第1項第1号】

販売業者又は役務提供事業者が、電子契約の申込みを受ける場合において、電子契約に係る電子計算機の操作が当該電子契約の申込みとなることを、顧客が当該操作を行う際に容易に認識できるように表示していないこと

簡単に言えば、「それをクリックすると、契約の申し込みになるということが容易にわかるものでなければならない」ということです。

たとえば、「申込み」ではなく、単に「送信」と表示している場合には、「申し込みボタン」だと気が付かずにクリックしてしまうことがあります。

消費者庁「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」

ガイドラインでは2つのパターンで具体的に示されています。そのまま引用しても理解できると思います。

  1. 違反行為に該当しない表示方法
  2. 違反行為に該当するおそれがある表示方法

1.違反行為に該当しない表示方法

A.申込みの最終段階において、「注文内容の確認」といった表題の画面(いわゆる最終確認画面)が必ず表示され、その画面上で「この内容で注文する」といった表示のあるボタンをクリックしてはじめて申込みになる場合。

⇒通常のネット通販事業者の方法になります。しかし、最終確認画面がないような場合は別の方法が示されています。アメブロでの個人経営者などの場合は、少なくともこちらの方法をしなければならないということですね。

B.いわゆる最終確認画面がない場合であっても、以下のような措置が講じられ、最終的な申込みの操作となることが明示されている場合。
ア.最終的な申込みにあたるボタンのテキストに「私は上記の商品を購入(注文、申込み)します」と表示されている。

イ.最終的な申込みにあたるボタンに近接して「購入(注文、申込み)しますか」との表示があり、ボタンのテキストに「はい」と表示されている。

⇒これをホームページでデザインするときに意識して作成する必要があります。

2.違反行為に該当するおそれがある表示方法

A.最終的な申込みにあたるボタン上では、「購入(注文、申込み)」などといった用語ではなく、「送信」などの用語で表示がされており、また、画面上の他の部分でも「申込み」であることを明らかにする表示がない場合。

B.最終的な申込みにあたるボタンに近接して「プレゼント」と表示されているなど、有償契約の申込みではないとの誤解を招くような表示がなされている場合。

最終画面に表示すべき事項はいろいろあります

1のAでは「最終確認画面」、1のBでは「最終的な申込み」画面という表現でしたが、最終画面に表示するのは、「特定商取引法に基づく表示」など、ほかにもあります。

それらすべてをきちんと表示できていない個人事業者も少なくありません。

アメブロのフォローワーが3000人いて、大きく事業展開している女性起業家でも、「あ~、できていないなあ~」と思うことがよくあります。

次回は、「②電子契約の場合、申込みの内容を容易に確認し及び訂正できるようにしていないこと」ですが、これがメインといっていいほどで、最終確認画面が必要だなあということを改めて認識するものです。

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